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会計事務所の理念を考える

街にあふれる会計事務所を運営してます。

コンビニよりも多く、歯医者さんよりもおそらく圧倒的に多いと思われ、資格があるので参入障壁が高いように思われますが、毎年公認会計士・税理士で何千人もの合格者がいるので、参入障壁は低い部類だと思われます。最も競合他社の多い業種かもしれません。

また、全員が同じ法律の下で同じ制度に乗っかって業務を請け負い、作業しています。インボイス制度等、時折やって来る大改革と毎年の税制大綱でちょびちょびやることは変わるけど、基本は毎年あまり変わらない。

正直、一番安くやってくれる事務所に委託するのが一番良いのかもしれない。ただ安かろう悪かろうの部分も絶対的にある。
自分でやっていてこれほど労働集約的な業種はあるのだろうかと思う。
それもどうやらAIに取って代わられるらしく、巷では間もなく労働集約型から、自動化されたものに移り変わっていくようだ。
個人的な感想からすると、この流れは確かにそうだと思う。仕訳の多くは他愛もない飲み食い、消耗品、旅費交通費の類だ。これがクレジット決済されれば、自動化することは容易い事で、現在も領収書をスキャンして海外で仕訳入力してもらうなどのサービスはよくある。このデータが蓄積されれば多くの仕訳を自動化することはそんなに難しくないと思う。
ただ時折来る「これって経費で落ちますか系」の領収書、テキストでは載ってない科目、節税の工夫、会社にあった、社長の要望に即した仕訳、体系はなかなか機械化できない。
そもそも税理士によっても言うことが違うし、税務署の調査官によっても違うことが、自動化できる訳がない。いや、自動化できても補正が必要になる。

五万とある業種ので、変わり映えしない、AIに取って代わられる職種。
そんな中、そもそも会計事務所、というか自分の事務所の経営理念というものが何なのかを改めて考えてみた。

結果、以下の経営理念に落ち着きました。

「人格と志を養い、商いの器と愛情を育て、人の役に立つ仕事をする。」

■「人格」
人には「格」というものがあると思います。言い換えるとオーラや品のようなもの。
大企業の社長や大物政治家には「格」というものがある。大きな組織でなくても「格」を感じる人もいる。
広辞苑には、下記のような記載があります。

①人がら。人品。「―を磨く」
②〔心〕(→)パーソナリティー1に同じ。
③道徳的行為の主体としての個人。自律的意志を有し、自己決定的であるところの個人。
④法律関係、特に権利・義務が帰属し得る主体・資格。権利能力。

「自律的意志を有し、自己決定的であるところの個人」これに近い。

■「志」
志は成長、意欲。成長する気持ちや戦うマインド、世の中を変えたい気持ち、人の役に立てるように日々研鑽する習慣。強い志は死んでも残る。
広辞苑には、下記のような記載があります。

①心の向かうところ。心にめざすところ。源氏物語若紫「われにおくれてその―遂げず」。「―を果たす」
②相手が寄せてくれる厚意。親切心。または、情愛。土佐日記「屠蘇・白散・酒加へて持てきたり。―あるに似たり」。源氏物語帚木「―深からん男を置きて」。「折角の―を無にする」
③気持を表して物を贈ること。また、その贈り物。土佐日記「いとはつらくみゆれど―はせむとす」
④死者への追善供養。また、そのしるしとして物を贈ること。また、その物。狂言、俄道心「明日―の日ぢや」

■商いの器と愛情を育て
商売人の「三方良し」のマインドを持ち、「清濁併せ吞む」気持ちを持ち、「許す」気持ちを育てる。
自分を基準に考えていると、自分は本当にわがままな人間で、勝手に生きて、家族や周りに助けられ、教えられ、救われ、与えられて生きてきたと思う。一方的に支えられて生きてきたように感じる。
それを少しでも返せるように、愛情と器を育てる。
商売という感覚、決して儲けるというものだけではなく、売り手も買い手も世の中も、良くなれば良いという気持ちで臨む。

■人の役に立つ仕事をする
仕事はなぜお金をもらえるのか、それは人の役に立っているか、人を喜ばせたから。それが無くなると会社は倒産する。その感覚がなくなると仕事が仕事でなくなる。
上司や会社(事務所)、自分たちの仕事の都合を向いて顧客の方を向かない。自分たちの利益ばかりを見る。すべての大企業はこの方向性の違いから破綻する。

続く。