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サッカーとゴルフの共通点について

ゴルフの上手な人は、カップインから逆算してショットのマネジメントをするという。

まず、グリーンのどこに乗せればピンに寄せやすいか考える。次に、狙ったグリーン位置に乗せるにはどこから打つのが正解かを考える。グリーンオンを狙うために、パー4ならセカンドショット、パー5ならサードショットで、自分が得意な距離を残すようにする。ティーショットはドライバーを無理に振り回さず、広い所を狙い、狭い所を避ける。

要するに、まずティーショットを考えるのではなく、逆にカップインからどの順番で攻めるのがいいのかをイメージするということだ。

サッカーもゴルフと同じように考えるべきであろう。サッカーは、ボールを相手ゴールに入れるゲームである。いくらボールを保持していても、フィニッシュまで持っていけなければ何の意味もない。

僕は浦和レッズのサポの端くれであるが、うまくいかない時の試合を観ていると、ボールがゴールに向かっているように感じられないことが多々ある。

ただボールを回しているだけ。

相手がミスをしてくれれば、それでも得点のチャンスはあるかもしれないが、それでは単に偶然やまぐれに頼ることであり、まるで再現性がない。相手ゴールにボールを寄せていく道筋が見えていないようなゲームでは、得点の匂いがしない。

マンチェスターシティのグァルディオラ監督は、「(相手ゴール前の)最後の30メートルはアタッカーがクォリティと創造性を発揮して解決すべき舞台だ、監督の仕事はそこにクリーンなボールを送り届けることだ」と言った。言い換えれば、手前30メートルまでボールをつないでいくところにチーム戦術の存在意義があり、監督の仕事の重要な部分は、フィニッシュまでのイメージや手順をメンバー全員に共有させることにある。

まさに、「ゴールは偶然の産物ではない」のである。またこれは、ビジネスの世界にも通じる話でもある。

「PDCAサイクル」という、使い古された言葉がある。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(確認)→ Action(改善)の4段階を繰り返して業務を継続的に改善する方法のことをいう。このPDCAサイクルの発想も、目標達成というゴールから逆算した発想という点に関しては、上記のゴルフやサッカーと共通するものがある。

PDCAサイクルはもう古いとか、OODAループの方が実態に適応しているとか言われるが、情報収集と、情勢への適応、判断や行動というサイクルを繰り返すというのは、まさにPDCAサイクルと似たようなところがあり、言わんとするところは、あまり大差がないと思う。PDCAサイクルの方がやや静的なイメージであるのに対して、OODAループはより動態的で、より変化を前提としたイメージがある点が少し異なるような気がするが、せいぜいそんな程度であろう。

PDCAサイクルにせよ、OODAループにせよ、現場で正しく回していくには、正しい目標設定が必須となる。つまり「ゴール・イメージ」の共有である。

「ゴール・イメージ」が曖昧だと、現場は迷走してしまう。まさにサッカーでいえば、単にボールを回しているだけみたいな状況に陥ってしまう。経営者や管理者は、自分の束ねる組織がこんな状況になっていると感じたならば、ゴールから逆算した動きができていない原因を究明し、早急に対策を講じる必要がある。そうでないと、「ゴールは偶然の産物」になってしまっているということになる。

それでもライバルのミスや偶然性、まぐれによってたまたま勝てることもあるかもしれないが、再現性に乏しく、コンスタントに勝ちを収めることは難しくなる。

サッカーでいえば、真の実力はリーグ戦の戦績で最も顕著となる。カップ戦や天皇杯と違い、34試合の勝ち点ということになれば、偶然性やまぐれの要素は排除されるからである。

ビジネスもそれに似ている。


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