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W杯からJリーグへの乗り換えを周囲に勧めるあなたへ

今年のW杯は日本が悔しくもベスト8の壁を越えられず。
大会自体も進み、あとはベスト4を残すのみとなった。

始まったら何だかんだ盛り上がるのがW杯とは常に色んな人が口にはしていたが、個人的には想像以上の盛り上がりを見せていたと感じる。
特に選手個々人にフォーカスを当ててサッカーの沼にハマりつつありそうな人が見受けられ、本田圭佑らが代表引退したことによる選手人気低下の懸念を払拭するかのような明るい材料が浮き彫りになった。

さて、まさしくその本田圭佑が自身のYouTubeチャンネルにて非常に頷きたくなるようなことを言っていた。

視聴者の質問に答える動画にて、「W杯キッカケでサッカーにハマったが、今から見始めるのでも遅くないか」という質問に対しての回答。
要約すると「Jリーグ見に行く人はサッカー自体を見なくても良い。雰囲気を味わって欲しい」というもの。

筆者自身、前回大会のロシアW杯からサッカーにより強い興味を持ち、数年経った今ではJリーグの横浜FCを応援するようになった。

横浜FCにハマっていった成り行きも、初めは現地観戦の楽しげな雰囲気に魅了されたから。
デブなのでスタグルの出店に舌鼓を打ち、言っちゃ悪いがサッカーはついでくらいの感覚で楽しんでいた。というか今なおスタグルには舌鼓を打っている。痩せない。痩せたい。痩せる気があるのかお前は。

とは言え、沼にハマるルートはW杯から横浜FCへの直行便が出ていたわけではない。
そもそも筆者が能動的に興味を持ち、追うようになった最初のサッカークラブはイングランド・プレミアリーグのリバプールFCだからだ。

適当に買った中古のウイニングイレブンでサッカーの見方を何となく知り、W杯で日本代表に目を奪われ、深夜帯にやっていた同年のスペインvsポルトガルの試合で海外サッカーというものの虜になり、何やかんやあってリバプール。
(W杯→リバプールの沼ルートについての詳しい経緯は別サイトで寄稿しているので興味あれば是非そちらも読んでください。)

ここから何で横浜FCに行き着くのかというと、上記の記事でも軽く触れているが友人の布教がキッカケ。
友人というのは何やかんや趣味垢のFFにもいるこいつ。大学の同級生。

こいつは仕事の関係で横浜FCのホームスタジアムの近くに引っ越し、せっかく近くで日本最上位のサッカーリーグが開催されているのなら見てみようと足を運んだのがキッカケらしい。

そんな奴に初めて誘われた時。うろ覚えだが、確かこんなニュアンスの誘い文句だったと思う。

「斉藤光毅に注目しとけ。」
※斉藤光毅は横浜FCユース最高傑作と言われる選手。現在は欧州にて日々奮闘しており、パリ五輪世代の日本代表でも10番を背負いがち。

オランダでも頑張れ

今思えばこの誘い方が上手く沼に行くための良好な交通整理になったような気もする。
いきなりあの選手もこの選手も〜と押し付けられては情報量が多すぎてパンクしてしまう。
それに自分が何を目的として横浜FCに足を踏み入れるのかがまだ不透明。

だからこそ「とりあえずこれ見とけば良いんだよ」という一つの道標だけ提案しておき、あとはこちらが何に目を奪われていくのかを時の流れのままに委ねる。
だからと言って最初に目を奪われるのがスタグルってやっぱお前痩せろマジで。

初めは仲の良い友人の誘いだからと暇潰しがてら付き合いで足を運び、次第にスタグル含めたJリーグのお祭り的な雰囲気の虜になり、奴の言っていた斉藤光毅を見て「ほーん。確かに上手えなあ…」と感心。

そして奴からは少しずつ他の選手の紹介もされていき、次第にグラウンドに目を向ける時間が長くなる。
自分でお気に入りの選手を見つけ、定めるようになる。ちなみに確か最初のお気に入りは瀬古樹でした。
※瀬古樹は現在川崎フロンターレ所属のMF。色んなポジションをこなせる万能さとスタミナ、キックの精度が持ち味。

川崎でも頑張れ

とまあ、何やかんやあって今ではクラブそのものに目を向けるようになった。


と、ここでふと思う。仮にW杯後すぐに横浜FCを布教されていたら、果たしてハマっていたのだろうかと。
多分だけど、もしそうなっていた場合、W杯の時期にだけサッカーを見るタイプの人間になっていたような気がする。(別にそれがダメとは言わないけど)

W杯でサッカーを観ること自体の楽しみを知る

リバプールで選手個々に目を向けることの楽しみを知る

Jリーグ観戦でスタジアムそのものの雰囲気を味わうことの楽しみを知る

という自分なりの段階を踏んだからこそ、上手いこと沼にハマったのではないのかと勝手に考察している。
途中の乗り換え駅をイレギュラーにしていては、沼という目的地に辿り着くまでに遠回りしてしまうか若しくは永遠に辿り着かないかもしれない。
それが筆者にとってはたまたま「W杯駅」→「リバプール駅」→「横浜FC駅」という乗り換えルートが最も適していたんだと思う。

各駅内での移動ルートも重要で、横浜FC駅に於いては友人の布教の仕方が移動ルートみたいなもの。
ここで(筆者にとって)間違った布教の仕方をされていた場合、駅の中で今なお迷い続けていたのかもしれない。

今、W杯期間で色めきだっている状況下に於いてJリーグという沼に必死で新規を引き摺り込もうと模索している方が度々Twitterで見受けられる。
決して彼らのやり方を貶すつもりはないが、時折「その布教の仕方は正解なの?」と疑問を持ってしまう瞬間がある。

W杯で伊東純也という選手の魅力を知った方々に対して「その伊東がかつて所属していたのは柏レイソルだから柏をオススメします!」と言ったところで響かない人には響かない。
だって今の柏レイソルに伊東純也がいる訳ではないのだから。

「今の日本代表海外組が原点としていたJリーグを是非見ないか!」というプレゼンの仕方。
サッカー選手の物語性を強く求めている層には合致するだろうが、別に今Jリーグを見たところでその海外組の今現在を見れるわけではない。

W杯キッカケでサッカーを観始めた人間が今現在何を求めているのか。
そしてどういう経緯、乗り換えルートが最もその人を沼にハメやすいのか。
そこの解像度が低い状態で無闇矢鱈と自分が思う魅力だけを押し付けたところで、せっかく掴みかけたファン層が深くハマらずに離れていくだけだと思う。

例えばこれは一つの提案でしかないため、あまり参考にはならないかもしれない。
伊東純也の沼にハマっている人を見つけた場合、まずは今現在の彼のクラブでの勇姿を見せる。彼についての魅力的なエピソードをもっと提供する。
伊東をより深く知る頃にはクラブ全体をある程度見れるようになっているため、以前よりもサッカーを見れるようになっていると仮定。
次の段階として身近で生観戦できるJリーグの存在を匂わせ、生でサッカーを観ることを勧める。
伊東のキャラクターにハマったクチの人であるならば、布教したいクラブの選手たちについてもキャラクター的な面からアプローチし、次第に沼にハメていく…のような流れを考えることもできる。
(最も、柏レイソルへの直行便が正解の人もいるため、結局答えのない問答ではあるが。)

筆者自身がまさしくW杯から最終的にJリーグへの興味に辿り着いた人間であるため、そういった沼への引き摺り込み方が不可能な訳ではないと思う。
ただ、引き摺り込む行為は決して簡単ではない。
場合によっては成果が出るまでそれなりの時間を要するし、ターゲットの需要とアプローチの仕方、どういうルートを歩ませるかと言ったところを履き違えてしまうと結局離れていってしまいかねない。
また、W杯にハマった全体数に対しての確率的にも決して多くはならない。

布教をしていく流れはJリーグ人気向上のためには非常に良い傾向だとは思う。
とは言え、その試みに着手している方へ。どうか焦らないで欲しい。そして、次の一手を慎重に考察し、適切な選択肢を取って欲しい。
その試みは間違っていないのだからこそ、アプローチの仕方一つでどうにでも動く可能性がある。
道のりは決して容易くはないでしょうが、良い方法を見つけられるよう応援しています。
趣味の畑、広げていきましょう。

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