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SUPER BEAVERが好きな人、どこか心が疲れている説

突然ですが、SUPER BEAVERというバンドを知っていますか?
知らない人のために一応下に数曲ほど適当にリンクを貼っておきます。と言ってもこの記事読むためには曲を聞かないといけないとか特に無いような文を書くつもりなので、無理に聞かなくても大丈夫です。気が向いたら聞いてみてください。

さて、めちゃくちゃ僕の主観になってしまうんですけど昨年は彼らにとって飛躍の一年になったのではないかな、と思います。
もの凄い端的な言い方をすると2019年に知名度と人気がだいぶ上がったのではないかな、ということです。
なんでそう思ったのか?決して贔屓目ではありませんよ。確かに僕も彼らの音楽は割と好きですけど、贔屓目でそう言っているとは思っていません。一応自分の中でそう思う確固たる理由が2つほどあります。まずそれを説明しますね。


①CDJにて初のメインステージ

前に書いた記事で軽く触れたのですが、僕は昨年の年末にCOUNTDOWN JAPAN(以下CDJ)という音楽フェスに行って参りました。

そこでSUPER BEAVERを生で見てきたのですが、曲間MCの間に彼らはこんな旨のことを発言していました。

「CDJで初のメインステージ」

音楽フェスというのは各ステージで収容できるお客さんの数に差があるため、キャパが一番大きいメインステージにはフェス主催の方々が選ぶ、いわゆる「たくさんの集客が見込めるアーティスト」が並ぶわけです。
もちろんフェスの規模によってメインステージに立つアーティストの格は変わってくるものですが、このCDJというのは日本有数の音楽フェスを運営する会社「ロッキング・オン・グループ」が主催です。
そんなCDJにて初めてメインステージに大抜擢。これは人気が急上昇したことに他ならないと言えるのではないでしょうか?
(ちなみに僕の知ってる範囲ですが、彼ら恐らくCDJはおろかロッキング・オン・グループ主催のフェスをトータルで見ても初のメインステージだったと思われます。)
以上が一つ目の根拠です。余談ですが、邦楽をあまり知らないけど人気どころから開拓してみたいという方がもしいたら、このロッキング・オン・グループ主催の音楽フェスのメインステージのメンツを調べるのがオススメです。
基本的にこの会社のフェスは邦楽界の人気者たちをひたすら集める傾向なので分かりやすいかと思います。他の会社の音楽フェスだとステージが少なくて判断に困ったり、洋楽アーティストも呼んでる場合があるので…。

②個人的なツテで聞いた話

これに関しては完全に僕が個人的なツテで聞いた情報なので、見てる人からしたら余計にゴシップ色を強く感じると思います。ご了承ください。
僕、実は個人的な知り合いに大学の学園祭のコンサートやお笑いライブに出る演者の仲介業務をしている方がいます。
どんなお仕事かと言うと、簡単に言えば学園祭の運営をしている生徒が希望するアーティストやお笑い芸人に声を掛けて、学園祭に出てもらえるよう交渉するというものです。
そんな仕事をしている方と昨年の上半期(冬〜春辺り。具体的な月は忘れましたごめんなさい…。)にお食事をご一緒させていただける機会がありまして。
そこで、アーティストに関してこんな裏話を聞かせていただきました。

「今年(2019年当時)の学園祭人気が強いバンドはねー、King GnuとSUPER BEAVERだよ。」

King Gnuの昨年の飛躍に関してはもはや説明不要ですよね。そうなんです。学園祭を運営する生徒たちからはあのKing Gnuと肩を並べての根強い人気があったというんです。
これ、ゴシップ色強いとはいえなかなか興味深い情報だと思うんですよ。大学生なんて流行の最先端、場合によっては流行の第一人者になってたりするような人種ですからね。そんな大学生にたくさんの評価を貰っていたんですよ。
そのため、この話もSUPER BEAVERが急上昇している根拠の一つとして強く推したいと思います。


以上がSUPER BEAVERが人気急上昇バンドであると推測する理由です。その上で僕はこんな説を唱えたいです。

SUPER BEAVERが好きな人、どこか心が疲れている説

ようやくタイトル回収です。誤解のないように言わせていただくと、決してファンの方々をバカにしているわけではありませんよ。
むしろ言い方を変えれば、こんな時代だからこそ彼らは売れるべくして売れているのではないか?というわけです。
ここからは、ファンの方々に強く支持されている彼らの音楽パフォーマンスの特徴について2点ほど説明させていただきます。

①真っ直ぐすぎる日本語をふんだんに使用した歌詞

1点目の特徴はこれです。これについては説明するよりまず幾つか例を見てもらいましょう。
(※歌詞の一部をそのまま記載しますが、この行為について不適切であるという指摘があればすぐに削除等の対応を致します。)

・らしさ(2014年リリース)より引用

・ありがとう(2014年リリース)より引用

・秘密(2016年リリース)より引用

どうでしょう?めちゃくちゃポエミーだと思いました?まるで国語の教科書に載っていても違和感の無い文章ですよね。
聞いてて思うんですけど、彼らの歌詞って本当に日本語というか言葉の持つ心理的な力を存分に活用してくるんですよね。
それこそ最近のバンドって誰しもが響きの良い英語歌詞を織り交ぜたり、言葉遊びの面が強い歌詞を歌い上げたりというパターンが多数派だと思うんですよ。
というか心に訴えかける歌詞を書く場合でも端的に表現したりありがちな恋愛模様をロマンチスト寄りに描いたりというものが多いと思うんです。
その点彼らは、どこかリアリティのある訴えかけを強引にメロディに乗せてこちらに投げてくる手法が色濃く特徴として表れています。
中身の無い根性論でもなく、非現実的なロマンチスト的表現でも無い、地に足を付けた心理的訴えの強さがある歌詞。これが彼らの大きな特徴の一つです。
そんなSUPER BEAVERの曲を主に書いているのはこの人です。

ギターコーラス担当、柳沢亮太。
学生時代に国語の成績めっちゃ良かった感じがしますよね。
学生時代ってクラスに1人は国語のセンスある奴とかいましたよね。ノー勉なのに感覚でテストはいつも高得点っていうやつ。
あれ、本人に何でできるのか聞いても「感覚」とか「センス」みたいなことしか答えようがないから周りからしたらウザく感じますよね。
ちなみに僕はセンスある奴側でした。これマジです。noteの文章力はクソみたいなものですけどマジです。
とりあえず歌詞というのが彼らの特徴の一つ目でした。

②生で聞く人を泣かせるMC

そんな柳沢の書く歌詞ですが、それを余すことなく歌い上げてオーディエンス1人1人に伝える役割を果たしているのがボーカルの渋谷龍太。

そんな彼が曲間に紡ぐMCの言葉も特徴の一つです。例として、VIVALA ROCK 2019での出番にて話されたMCを以下に記載します。

「平成から令和に変わるときに、いいことだけ持っていくことなんかそもそも無理でしょう。
ムカつくこととか、絶対やっちゃダメだけど誰かを殺したいって思う気持ちとか、どんな想いもあなたしか抱くことができなかった大事な財産です。誰が決めた節目か知らないけれど、自分を見つめ直す機会になったらいいね。
最後の曲はいつかは絶対にいなくなってしまうあなたの大事な人にあなたが伝えなければ意味がない言葉を俺らは、紛れもなく目の前のあなたに歌って帰ろうと思います」

(https://vivalarock.jp/2019/report/super-beaver.html より引用)

文字で見てどう思ったかは人それぞれです。正直、SUPER BEAVERというバンドを知らない人からしたら「分かったようなことを言われても」「説教くさい」と思うかもしれません。
ただ、仕方ないことだとは思います。だって、いきなり知らない人の言葉を見せられた上でそれを感情に落とし込めと言われても無理がありますよね。
しかし、渋谷のこういった言葉を紡ぐMCに涙を流し、感銘を受けて心の支えとしているファンが多く存在するというのもまた事実です。

こればっかりは実際にライブに行ってみないことには分からないことです…というのが本音ではありますが、何故こんなにもライブ会場という生の声でここまで心を掴むのかを一応個人的に考察してみました。
まず大前提として、よっぽど無関心・よっぽど嫌いというわけではない限り、生で見るアーティストの演奏というものは非常に魅力的に映ります。
よく、フェス等に行って「あのアーティスト好きになった!」となる現象はそれです。生のライブ会場にいるという事実故に気持ちが上がっているのが前提条件にあるため、その中で生で見るアーティストというのはより一層補正がかかるわけです。
悪い言い方をすれば、客の多くがCDやYouTube等で見聞きする際よりも楽しめるハードルの難易度が下がっているため、割となんでも評価されやすい傾向にあるということです。
だからこそ、フェスに出れるほどちゃんと音楽に対してひたむきに取り組んできたアーティストがアウェーな空気になることはまずそうそうありません。
そんなアウェーになりづらい空間に、感傷的で心を揺さぶる言葉を投げかければもう完全にアーティストのターンですよね。
目の前の大きなステージに立っているほどの人間がライブ会場で紡ぐ言葉を冷めた目で見るような客は、そもそも高い金払ってわざわざ会場に来ませんし。
そしてもう一つは、渋谷の話し方の巧さにあるのかなと思います。
あくまで僕個人の感想ではありますが、まず選ぶ単語の一つ一つを考えて発している知的な一面があるように見受けられました。
また、話すスピードや声の大小、テンション等を話の内容や重要なポイントに合わせて変えているため、何が言いたいのかスッと入ってきやすいのだと思います。
もしここら辺が僕の気のせいでは無いのだとしたら、渋谷自身の表現者としての天性の才能ですね。
色々考察してしまいましたが、とりあえず気になる方は是非生で聞いてみてください。若い人が虜になる秘密が分かるかもしれません。


さて、ここまでは「歌詞」と「MC」というSUPER BEAVERの2つの魅力について語らせていただきました。
その上で今一度現代の日本に目を向けてみましょう。
日本国民の心の状況を語る際に言われがちなのが、先進国の割に幸福度が低いという話です。
実際、国連が発表する幸福度ランキングにおいても年々50位台の辺りを彷徨っています。(ちなみに下記の2019年版データに於いては58位でした。)

(http://worldhappiness.report/ より引用)

ところで、現代人が抱える苦悩というものは何が思い浮かぶでしょう?どんな印象があるでしょう?
企業のブラック化問題?少子高齢化問題?定期的に発生する自然災害への対応問題?
色々思い浮かぶとは思いますが、その多くが社会の現実をまじまじと見させられるものですよね。
僕も含めてそうですが、若い世代の人々は生活環境の科学的発達に反比例するかのように命を繋ぐことのみでいっぱいいっぱいになってきているように感じます。
若者の◯◯離れ?それは果たして若者が趣味に無関心すぎるから?それもあるかもしれませんが、若者は手元に余裕が無くなる生き方を強いられている故に手軽さの無いもの以外に手を出しづらくなってきているというのもあると思います。

一方、日本の音楽シーンに目を向けてみましょう。
日本の音楽産業は年々手軽さが売りになってきています。家でCDを聴いていたり、外にCDプレーヤーを持ち出して音楽を聴いていたような時代は2000年代に小型音楽プレーヤーの誕生でぶち壊されました。
わざわざCDを買って聴くか、音楽番組で聴くしかなかった時代は2010年代にYouTubeの普及や(YouTube自体は2000年代からありましたけども。)Apple Music等の音楽聴き放題月額課金制、サブスクリプションの誕生でぶち壊されました。
音楽の情報を雑誌や音楽ショップ、テレビ等でしか知り得なかった時代は2010年代のSNSの普及でぶち壊されました。
「ライブ」という視点で見た場合も、インターネットとスマートフォンの普及により誰でもどこでも指を動かすだけでチケットの確保が容易くなりました。(と言っても、容易いのは手段だけであって当選率という点では相変わらず争奪戦にはなります。)

音楽の手軽化というものは、まさしく余裕がない現代人にとってドンピシャの進化と言えるのではないでしょうか。
これによって音楽1つ1つを手に入れる敷居が低くなり、それまで本腰を入れて楽しむ趣味の一つであった音楽が、現代人にとって容易く泣きつくことのできる心の拠り所と化していると思われます。
そんな時代であるからこそ、音楽はもはや楽しむだけのものではなくメンタルケアの一環という役割をより一層与えられつつあると実感します。

その上でSUPER BEAVERの音楽スタイルです。
表面だけを綺麗に取り繕った言葉を投げかけるわけではない。むしろ泥臭く地に足をつけた訴えかけをしてくる音楽。
よく、鬱病の人に言ってはいけない言葉として挙げられるのが「頑張れ」等という無責任な上辺だけの励まし文句です。
現代人が全員鬱病というわけではありませんが、心に現実的な闇を落としつつある人が多い故に鬱病に近い領域で生きている人が多いのもまた事実ではないでしょうか?
そして、SUPER BEAVERの音楽性はそんなものではありません。中身の無い、励ましているようで実は突き放している「頑張れ」のような言葉なんて彼らには存在しません。
いわばSUPER BEAVERは、現代の情勢や音楽事情と相まって「簡単に手に入れられるメンタルケアの薬」という存在と言えると思います。
ところで、僕は今回の記事にこんなタイトルを付けています。

「SUPER BEAVERが好きな人、どこか心が疲れている説」

このタイトルは、どこか疲れた気持ちで生きている人に刺さっているのではないか。そんな人が増えている現代だからこそ売れてきているのではないか。
そんな思いで付けさせていただきました。文を書き終えた今も、タイトルに疑いはありません。その上で視点を変えて裏のタイトルを提示したいと思います。

SUPER BEAVERは心の薬になり得る説

何はともあれ、興味があれば是非SUPER BEAVERを生で聞きに行ってみてください。
そして既にSUPER BEAVERが好きな人、今後もお互いSUPER BEAVERを心の支えの一つとして死なない程度に心を保って生きていきましょう。
最後にSUPER BEAVERの歌詞で文を締め…とやろうと思ったのですが、常々生で見に行くことを推奨しているので、最後くらい文字だけで彼らの良さをプレゼンしようとするのは辞めておきます。
繰り返します。是非SUPER BEAVERのライブに行ってみてください。

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