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心理学・脳科学の実験や知見をご紹介

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使える心理学・脳科学の知識を集めました。
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2020年2月の記事一覧

威張りたければスーツを着よう!

一言でいうと着る服で社会でのウケは変わる 活用シーン個人のブランディング 内容レフコウィッツ、ブレイク、ムートンの実験(1955年) 街で車の流れを遮り、通りを渡る実験を行った。被験者(道路を渡り、他人を先導する人)は、スーツ姿とワークシャツとズボン姿という二種類の衣装を着て行った。 結果、被験者がスーツ姿の場合、ワークシャツとズボン姿に比べ、3.5倍のひとたちが、彼について渡りました。 ビックマンの研究(1974年) 通りを歩く人を呼び止め、15メートル先にいる協力

「値段が高い」ことはそれ自体が価値である

一言でいうと希少なものは価値がある 活用シーンマーケティング、ブランディング、値付け 内容ウォーチェル、リー、アデウォールはチョコレートチップくっきーの格付け実験を行った。(1975年) A:一つのビンに10枚のクッキーを入れた B:一つのビンに同じクッキーを2枚入れた。 同じクッキーにも関わらず、被験者の評価は2枚のほうが高い評価を得た。 少ないほうが価値があると思われたのだ。(不測の原則) さらに、「こちらのビンのクッキーが少ないのは、もう一つのビンのクッキーより

オフィスにおいても「景色」は大事

一言でいうと自然の景色は癒し 活用シーン仕事の環境 内容マーク・バーマンのチームによる研究。 被験者たちに数字の逆唱を行わせ、注意力を測定。 次に被験者たちは一定の仕事を行うよう指示され、注意力を消耗させられた。 そのあと、被験者は二つのグループに分けて観察された。 Aグループ:ミシガン州アンバーの繁華街を歩かされた Bグループ:街の植物園を歩いた。 散歩の後再び数字の逆唱を行わせたところ、Bグループのほうが高い得点を取った。研究者の一人スティーブン・カプランはこれを

「暇」という苦痛、「やることがある」歓び

一言でいうと何もすることがないのは結構つらい 活用シーン充実感 内容クリストファー・シーが行った調査(2010年) 被験者に記入済みのアンケート用紙を届けてもらうことにした。 A:届け先を歩いて往復15分かかる場所に指定した B:部屋のすぐ外に届けてもらうもののそこで15分待つ場所に指定した 上記二つの条件を被験者に選ばせた。 実験は2回に分けて行い、1回目のグループには、どちらの届け先を選んだとしても、同じ菓子を提供し、2回目のグループには、2つの選択肢のどちらかを

予測不可能を楽しむ心構えこそが幸せのコツ?

一言でいうと予測不可能は「楽しい」 活用シーン成長 内容グレゴリー・バーンズの研究(2001年) コンピューター制御装置を使い、人の口に水かジュースを注ぎ、その時の脳をfMRIでスキャンした。 研究者は、実験前に、被験者の好みによって、脳に活発な動きがみられると仮説を立てた。 たとえば、ジュースが好きな被験者はジュースを与えられたとき、側坐核(楽しいできごとを経験するときに活性化する脳の領域)に活発な動きがあるだろう、と。 しかし、その予測は外れた。 側坐核が最も

環境の大切さは人の視覚の特性を知るとよくわかる?

一言でいうと全体像は周辺視野でつかんでいる 活用シーン住・学び・仕事の環境づくり 内容アダム・ラーソンとレスター・ロシュキーの研究(2009年) キッチンやリビングといった、ありふれた光景の写真を被験者に見せた。 写真は画像の外側が不明性なもの(上図)と、 中央部分が不明瞭なものを用意しました(下図)。 ごく短い時間これを被験者に見せたとき、何の写真と思うかを尋ねました。 結果、写真の中心部分が欠けていても、人は何を見ているか認識できることがわかりました。 様々な写

人を動かしたければその人がつまづかないよう配慮しよう

一言でいうと人を動かす文章は読みやすい書体で 活用シーン人を行動に誘う 内容ヒュンジン・ソンとノーバート・シュワルツの研究(2009年) ある体操の説明書きを被験者に渡した。 A:読みやすい書体で書かれた説明書き B:装飾過剰な書体 説明書を読み、体操にかかる時間はAでは8分で「さほど難しくない」と考えたのに対し、Bのグループではおよそ倍の15分もかかった。そして実行するのは難しいと、被験者は評価した。当然、進んで日課に組み込もうとはしなかった。 心理学的に正しいプ

競争させるなら少人数で!

一言でいうと競争相手が少ないほどやる気を出す。 活用シーンモチベーション 内容スティーブン・ガルシアとアビシャロム・トーの研究(2009年) SAT(アメリカの大学入試時における学力テスト)の点数を以下の条件で比較した。 A:大勢の受験者がいる部屋でテストを受けた場合 B:比較的少ない人数の部屋でテストを受けた場合 地域ごとの格差や各種の要素を考慮して点数には調整を加えましたが、その結果、人数の少ない部屋でSATを受けた生徒たちのほうが、高い点数を取った。 ガルシア

習慣化に許される休みは1日まで

一言でいうと行動を習慣化させるにおいて、2日以上休むと習慣化に遅れが生じる 活用シーン習慣化・行動管理 内容フィリッパ・ラリーの研究(2010年) 被験者に飲食や運動など、12週間毎日行う運動を決めさせた。 被験者たちは毎日オンラインでその活動を実行したかどうか、習慣表に記録をつけることを求められた。 人が習慣を形成するのにかかる平均時間は66日。 ある行動を選んだ人は18日かかり、 別の行動をとった人は、264日もかかりました。 つまりかなり幅があります。 な

「これまで思考」と「これから思考」

一言でいうと人は未完成のものに目を奪われる 活用シーン自己啓発、モチベーション、組織マネジメント、マーケティング 内容シカゴ大学の心理学者ミンジュン・クーによる2010年の調査 どちらの場合が人を目標に駆り立てるかを調査。 A:すでに完成されたものに集中する B:達成までやり残しがあるものに集中する 調査結果はBであった。 心理学的に正しいプレゼン スーザン・ワインチェンク (著) 100段の階段を上るとき、すでに上った数を数えるのを「これまで思考」。 残り何段あ

スタンプカードの一つ目のスタンプがはじめから押されている理由

一言でいうと目標に近づくほど活動の速度を増す。 活用シーンマーケティング・組織マネジメント・モチベーションマネジメント 内容ラン・キヴェッツの研究(2006年) コーヒー店のスタンプカード。 カードがいっぱいになるとコーヒー一杯が無料となります。 この場合で、以下の二つの例で被験者の行動を観察しました。 A:スタンプを押すマスは10個。最初すべてのマスが空いている。 B:スタンプを押すマスは12個。最初から2マスはすでに押してある。 すると、双方同じ10個のスタンプが

高速を運転中、人の心は70%の時間さまよっている

一言でいうと人は集中することが苦手 活用シーン集中 内容カリフォルニア州サンタバーバラ校のジョナサン・スクーラーによる研究 ●たいていの場合、人の心は10%の時間さまよっている ●ごく普通の日常的な活動で、人の心は30%の時間さまよっている。 ●すいているハイウェイで運転しているとき、70%の時間さまよっている。 心理学的に正しいプレゼン スーザン・ワインチェンク (著) あぶね!と思う人も多いかもしれませんが、人は意外と物事に集中していないものです。 たとえば、映

失敗を受け入れ成長するか、受け入れず留まるか。

一言でいうと失敗を受け入れると人は成長する 一方、失敗を受け入れられない人もいる 活用シーン学習 内容ダウナーによる2011年の研究 ①架空の場面を設定し、その場面で医師がどんな薬を処方するかを調査。 ②医師たちは正しい判断を下したか、即座にフィードバック(簡単に言えば答え合わせ)を受ける。 ③医師たちには、受けたフィードバックを活かして再挑戦する機会が与えられた。 このステップの間、医師の脳活動を観察した。 けっか、2度目の判断を下す際、一部の脳反応は問題解決の活動

プレゼンは20分で!

一言でいうとプレゼンの理想的な時間は20分 活用シーンプレゼンテーション・学習 内容モーリーン・マーフィーの研究 被験者を以下の二つのグループに分けた。 A:1時間のプレゼンテーションに出席させた。 B:1時間を20分ずつ区切り、間に休憩を入れるプレゼンテーションに出席させた Bのほうが話を楽しみ、終了直後にはより多くの情報を学んでおり、1か月後に憶えていた情報も多かった。 心理学的に正しいプレゼン スーザン・ワインチェンク (著) 結論はシンプルで、20分区切りで