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心理学・脳科学の実験や知見をご紹介

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使える心理学・脳科学の知識を集めました。
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2020年1月の記事一覧

記憶に関する「4個の原則」

一言でいうと記憶は3つか4つで 活用シーン記憶 内容ジョージ・マンドラーの研究(1969年) 一つのカテゴリーの項目が1~3個であれば、人はカテゴリー内の情報を記憶し、完ぺきに記憶から呼び起せるそうです。 各カテゴリーに含む項目が3個から増えるにつれ、思い出せる項目の数もだんだん減ってきます。項目が4から6個だった場合、人々が思い出せたのはその内80%でした。項目が80個まで増えたとき、記憶に残る割合は20%まで落ちました。 心理学的に正しいプレゼン スーザン・ワイン

自信がない人がまとう鎧

一言でいうと自信がない人ほど強い主張をする 活用シーン対人関係、自己啓発 内容デイヴィッド・ガルとデレク・ラッカーの研究(2010年) 被験者を二つのグループに分ける。 A:自信がある場合を記憶させた B:自信がない場合を記憶させた それぞれのグループの人に、 「肉食を好むか、ベジタリアンか、ヴィーガンか、あるいは他の傾向があるか」を尋ね、 「その意見にどれぐらい自信があるか」と聞いた。 Bグループは自分の食の選択について、あまり確信が持てませんでした。 そしてB

質問の仕方で答えは変わる

一言でいうと暗示を埋め込むインタビュー技術がある 活用シーンアンケート、世論操作、マクマーティン・インタビュー・テクニック 内容アメリカのマクマーティン幼稚園というところで、先生たちが数百人にも上る園児を虐待しているとされた事件がありました。園児たちも、口を揃えて「虐待された」と答えたので全米が騒然となりました。 けれども、きちんと調査してみると、ただの一軒も虐待の事実はなかったのです。 園児たちを暗示にかけるインタビューをしていたのです。 テキサス大学のセナ・ガーベ

営業におけるテストクロージングの有効性

一言でいうとミスリード(誤誘導)されても人は気づきにくい 活用シーンセールス 内容マサチューセッツ州ウィリアム・カレッジのステファン・リンゼイによる研究。 136名の大学生に79枚のスライドを見せながら、ある物語を聞かせました。 内容は 「修理工の男性が、お金と電卓をオフィスから盗み出す」 という一連の物語です。 それから48時間後、記憶のテストを行いました。 その際、リンゼイはあらかじめ「ミスリーディング(誤誘導)」というテクニックを使うという事を伝えておきました。

販売における「実物」のパワー

一言でいうと売るときには現物を見せよう 活用シーンセールス 内容カリフォルニア工科大学ベンジャミン・ブッションの実験。 参加者に3ドルを渡す。 チョコバーやポテトチップスなど80種類のお菓子を見せて、3ドル以内で好きなものを買ってもらうという実験をした。 その実験は以下の3グループのような変化をつけた。 A:お菓子の銘柄だけが告げられた。→68セント分しか買わなかった B:お菓子の銘柄とイメージ写真が添付された。→71セントしか買わなかった。 C:実物を見ながら買った

偽薬は高いほど価値がある!?

一言でいうとプラシーボ効果は高ければ高いほどいい 活用シーン思い込みの力 内容スタンフォード大学バーバ・シッブの研究。 「ソービー」というインチキなエネルギードリンクは、飲めば頭がさえる効果があると嘘をついて被験者に飲ませた。 ただし、半数の人には1.89ドルという価格ラベルが貼ってあり、 残りのグループには、1.89ドルに横線が入り、0.89ドルに値引きしてあるラベルが貼ってあった。 被験者たちは、用意されたパズルを15問解いてもらったが、値引きなしのグループのほ

監視の目があると人はまじめになる

一言でいうと「見られている」という意識が人の行動をマジメにさせる 活用シーン社会的行動を促すしかけ 内容ニューキャッスル大学のメリッサ・ベイトソンの研究。 談話室に紅茶とコーヒーが置かれていて、それを飲む人は自分でお金を入れて代金を払うようなルールがあった。しかし、皆お金を入れない。そこで、ベイトソンは、その箱に「目」を書いた貼り紙をつけると、いつもの2.76倍もの代金が入っていた。 人も自分も操れる! 暗示大全 内藤 誼人 (著) 実は、この監視効果はいろんなとこ

人は見たものに似てしまう!?

一言でいうとなりたい人を観察するとそうなれる 活用シーンセルフコントロール、モデリング 内容アイオワ州立大学のフランク・グレシャムの研究。 ひきこもりの問題を抱えている小学校3、4年生に、クラスの人気者の子供の学校生活のビデオを観察させた。 結果、ひきこもりの子供たちも、人気者の子供と同じように積極的で、活発な人気者になっていった。 人も自分も操れる! 暗示大全 内藤 誼人 (著) 脳の組織の中に、「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞があると言われています。これは

トッププレイヤーになり切れば上手くなる

一言でいうとあなたは「天才バイオリニストの〇〇です」と暗示をかけたら本当にうまくなる 活用シーンセルフコントロール・チームマネジメント 内容モスクワ大学ウラジミール・ライコフの研究。 被験者に、「あなたはウィーンの天才バイオリニストのフリッツ・クライスターです」と暗示をかけた。 その人に実際に楽器の演奏をしてもらい、専門家に評価をしてもらったところ本当に演奏がうまくできた。 他にも、「あなたはフランスの数学者アンリ・ポワンカレです」とか、「ロシアの数学者アンドレイ・コ

恐怖症を克服した方法

一言でいうとリラックスと暗示でヘビ恐怖症を克服できた 活用シーンセルフコントロール 内容カンザス大学キース・ハルぺリンの研究。 ヘビが苦手で、触ることはおろか、近づくこともできない女性に集まってもらった。この人たちを3つのグループに分けた。 A:ヘビを見せて苦手度を測定。5週間後にもう一度集まってもらい、改めて苦手度を測定。5週間の間には何もしなかったので、ヘビが苦手なままだった。 B:Aとはことなり、5週間の間、緊張した時に身体の力を抜いてリラックスするトレーニング

ネガティブな思考を止める方法

一言でいうとネガティブな思考がひろがらないように一定の刺激で思考を停止させるよう癖づける 活用シーンセルフコントロール 内容米国ペンシルバニア州ペンデル精神センターのマックス・マステロンによる研究。 良くないイメージが頭に浮かぶたびにゴムバンド法(手首に巻いたゴムバンドをパチンとはじき、それを合図に思考を停止させるように癖づける)を試すように試みたところ、1週間ほどでよくない嗜好が浮かばなくなり、9か月後の再検査でもゼロのままで、しかもゴムバンドを外しても元に戻らなかった

交渉するなら柔らかいソファで

一言でいうと身体と心はつながっている 活用シーン交渉事など 内容マサチューセッツ工科大学のジョシュア・エイカーマンの実験。 疑似的な交渉の実験をする際、被験者を二つのグループに分けた。 A:硬い木の椅子に座ってもらった状態での交渉 B:柔らかいソファに座ってもらった状態での交渉 交渉の内容は、「あなたが自動車を買いに販売店を訪れたとして、16500ドルという価格がついている自動車に、いくらの購入希望価格を提示するでしょうか?」と訊ねてみた。 Aグループは平均8,965

自分の決定は意外とどうでもいい?

一言でいうと一度騙されれば騙され続ける? 活用シーン暗示の力、自己正当化への思い込み 内容スウェーデン、ルンド大学のピーター・ヨハンソンは、参加者に2人の女性の写真を見せて、どちらが魅力的かを聞いた。(写真はトランプのカードのようなものに貼られていて、15組の女性を選択するようになっていた) 15回の選択の内 3回では実験者がトリックを使って参加者が選ばなかった方の女性を「この人ですね?」と言って見せた(つまりすり替えた)。 さらになぜこの女性を選んだかの理由を聞いた。