外山薫

小説家。「君の背中に見た夢は」(KADOKAWA)「息が詰まるようなこの場所で」(同)…

外山薫

小説家。「君の背中に見た夢は」(KADOKAWA)「息が詰まるようなこの場所で」(同)など。

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小説『君の背中に見た夢は』の印税の一部をあしなが育英会に寄付しました

2ヶ月ほど前になるが、小学校受験をテーマとした小説『君の背中に見た夢は』を上梓した。小学校受験は想像していたよりも奥深く、取材を始める前に持っていたネガティブなイメージは一変した。本作の執筆は非常に刺激的な体験だった。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322310000951/ 社会の停滞感が強まる中、教育に対する人々の関心は高まる一方だ。大学の選抜方法や中学受験の傾向、早期英語教育のあり方など、SNSを開けば毎日のように喧々諤々の議

    • 啓文堂書店小説大賞の受賞に寄せて

      少し前の話になりますが、拙著『息が詰まるようなこの場所で』が啓文堂書店小説大賞2023を頂きました。推薦してくださったKADOKAWAの社員の方々、何の実績もない新人作家の本を目立つ位置に並べてくださった啓文堂書店の書店員の皆様、手に取っていただいた読者の方々のおかげです、重ねてお礼申し上げます。ちゃんと御礼を言えないまま締切に追われており、大変失礼しました。 「1年に1冊くらいのペースで新刊を出す」 今から1年ちょっと前。小説を出版するにあたり、さらに言うと「外山薫」と

      • 「本当に欲しかったものは、もう――Twitter文学アンソロジー」あとがき

        「タワマン高層階は気圧が低いから米が硬い」というジョークをネタにTwitterに小説を書くようになってから1年半。単著が出て、それが重版を重ねるというだけでも宝くじに当たるような僥倖だというのに、今度はプロの作家と名前を並べた本を集英社から出して頂くという名誉を得た。 紀伊國屋書店新宿本店のバックヤードで本にサインを書きながら、大盛堂で木爾チレン先生とトークイベントで対談しながら、 「このシーンは絶対に死ぬ間際に流れる走馬灯に挿入してもらわないとな…」 と、他人が主演するド

        • 小説「息が詰まるようなこの場所で」の印税の一部をあしなが育英会に寄付しました

          「印税入ったら何に使うんですか?」 最近、こんなことをよく聞かれるようになった。正直、何も考えていなかった。正確には、考えないようにしていた。 もともと、作家を目指して文学賞に応募していた訳でもない。いくつもの偶然が重なった結果、趣味でTwitterに細々と書いていた話が長編小説として刊行されるという、宝くじが当たるような望外の僥倖を得るに至っただけだ。 自分が紡いだ物語が印刷された本が店頭に並んだ時点で、そしてその話を面白かったと評価してくれる読者がいたことで、私の夢

        小説『君の背中に見た夢は』の印税の一部をあしなが育英会に寄付しました

        • 啓文堂書店小説大賞の受賞に寄せて

        • 「本当に欲しかったものは、もう――Twitter文学アンソロジー」あとがき

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          「息が詰まるようなこの場所で」あとがき

          「タワマン文学を書籍化してみませんか?」 TwitterでこんなDMを貰ってから約一年後。私は渋谷のスクランブル交差点に突っ立っていた。目の前の大型スクリーンには鮮やかな湾岸の夜景と、「息が詰まるようなこの場所で」という小説のCMが流れていた。 数年ぶりに訪れたセンター街は昔と変わらずうるさくて、小汚くて、そして若い活力に満ち溢れていた。大学生の頃、飲み会が始まるまで時間を潰していた大盛堂書店には、外山薫と書かれたその本が棚に大々的に並べられていた。 思えば、遠くに来て

          「息が詰まるようなこの場所で」あとがき