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このままでは誰も教師になりたがらなくなってしまう。(私生活の確保は必須)

どうも。元教員で現ヒラ社員のかおるこです。

今回は、「これからは私生活を確保できるような労働時間にしていかないと、誰も教師になりたがらない」という話をしようと思います。

【目次】
・はじめに
・現代の若者の職業ニーズ
・教師は過労死ラインを越えるのが珍しくない
・教師になりたい人を増やすために
・さいごに

・はじめに

「あなたは定時前の早朝出勤や残業、休日出勤をしていますか?」

この質問に「いいえ、全くしていません。」と答えられる教員の方はほぼいないのではないでしょうか。

教員という仕事は「定時」や「休日」という概念が非常に希薄で、ほとんどの先生が望むと望まないにかかわらず、仕事とプライベートが一体化した生活を送っています。

しかし、このような時間無制限の労働環境が変わらない限り、今後ますます教師という職業を目指す優秀な人たちが減ってしまうという危機感を私は抱いています。

それはなぜか?
現代の若者にとって、「仕事=人生そのもの」という価値観はもうすでに崩壊していると感じるからです。


・現代の若者の職業ニーズ

若者の約6割が「仕事よりプライベートを優先したい」と回答

内閣府は16歳~29歳の男女1万人を対象にした「就労等に関する若者の意識」という調査において、
「あなたは仕事と家庭・プライベート(私生活)のどちらを大切にしたいですか」
という質問をしています。
最新(平成29年)の調査結果は以下の通りです。

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前回(平成23年)調査時と比べてみると、男女ともに「仕事よりプライベートを優先したい」と回答している人が10ポイント以上も増え、全体の約6割が仕事より私生活を大事にしたいと考えていることが判明しました。

また、内閣府は同時に「仕事を選ぶ際に重視すること」についても質問しています。その中で、若者が「収入」「仕事内容」「労働時間」の3つを重視しているのは変わりないが、このうち、「労働時間」を選ぶ人の割合が増加したとする一方、「自分を生かすこと」「自分の好きなことや趣味を生かせること」を選択した人が減少したと報告しています。

つまり、現代の若者は、仕事を選ぶ際に、自己実現につながるかどうかより、私生活を充実させられるような労働時間や労働条件であるかどうかを重視する傾向にあると言えます。

これからは「好きなことを仕事にしよう」というフレーズより「早く帰れる仕事です」という方が若者に人気が出るのかもしれません。


・教師は過労死ライン越えるのが珍しくない

公立小学校教員の3割、中学校教員の6割が過労死ライン越え

このような私生活重視の若者意識に反して、教師の仕事はプライベートを優先することが非常に難しい状況にあると言えます。

文部科学省が発表した、平成28年度の公立小中学校教員の勤務実態調査によると、小学校教員の3割、中学校教員の6割が過労死ラインである月80時間以上の時間外勤務を行っていることが判明しました。(中学校は部活動の影響が大きい)

私も公立中学校教員として働いていたのですが、月80時間は平均的で、これよりもっと長く時間外勤務をしている職員も普通にいたなという実感があります。

この調査結果は外部の人には驚きをもって迎えられ、「教員はブラックだ」というイメージを若者も強く印象づけたように思います。(おまけに残業代も出ませんし。)

このようなデータを知れば、仕事より私生活を優先したいという意識を持つ若者が、教員という職業を敬遠してしまうのも、うなずけます。


・教員になりたい人を増やすために

教師は素晴らしい仕事だが、それだけではもうなり手がいなくなる

私は、中学校教員として5年間勤めましたので、教員としての喜びやおもしろさ(いわゆるやりがい)を知っています。
しかし、それだけでは続けられなかったというのも正直なところです。多くの先生方と同じく、土日は部活動や教材研究でつぶれ、仕事とプライベートの境目がほぼなくなっていました。

しかし、ここまで見てきたように、これから職業を選択しようとする若者にとって、「私生活を優先できる労働環境や労働条件かどうか」は非常に重要な項目となっており、今の教員の働き方の実態では、当然彼らの職業の選択肢から教師は真っ先にはずれてしまうことになるでしょう。

また、一旦教員になっても、離職してしまう可能性も大きくなると言えます。

教育という分野に興味関心のある優秀な若者に学校で働き活躍してもらうためには、教師という職業を、「私生活も充実させられる職業」にしていかないいけないと強く感じています。

つまり、これから若者に教師になってもらうためには、「やりがい」を主張するのではなく、教員の「労働時間の削減」や「労働条件の改善」をアピールしていかないといけない時代になったと言えるのです。


・おわりに

今回は、若者の職業ニーズに今の教員の勤務実態は全くそぐわず、このまま放置すれば、誰も教師になりたがらなくなってしまうという話をしました。

職員室には、「遅くまで残って仕事をしている人が頑張っている先生であり、素晴らしい先生である」といったような風土があるかと思います。

しかし、そのような働き方は、若手教員やこれから教員を目指す若者の理想とは全くかけ離れていると言って良いでしょう。

教員という仕事の素晴らしさを感じつつ、自分の私生活も確保できるような生活を、先生方に一日でも早く送ってほしいと願わずにはいられません。

その実現のために、私ができることは何かを少しずつ考えていくつもりです。


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