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テープ起こしの「汲み取り」と「言い換え」【sentence LIVE#3】

4月24日(金)19時~、inquire主催【sentence LIVE #3 】のオンラインイベントに参加しました。タイトルは「話し言葉の「書き起こし」から、読み手を惹きつける文章を生み出すには?〜」。

テープ起こし、苦手・・・。
時間もかかるし、なんとかしたい・・・。

ライターならこんな悩み、ありますよね。今回のイベントでも「テープ起こし”あるある”」がたくさん出て、とても盛り上がりました。でも、醍醐味はなんといっても、「実際のテープ起こし文が、こうなちゃうの?!」というビフォア&アフターの比較を見せて頂いたこと!

うーん、ここをこう表現しちゃうのか・・・。
あー、この言葉よさそうだけど、ばっさりカットしたんだ・・・。

うーん、うーんとうなされっぱなし。

アフター文章(実際にメディアに掲載された文章)と、ビフォア文章(取材のテープ起こし文)を比較するのって、舞台の裏側をのぞき見しているような感覚です。前回のsentence#2のイベント「赤入れ」とはまた違う、大局的な視点を得ることができました。

ライターは原稿を書く時に、取材者が言っていないことを書き加えたり、言い換えたりしています。しかし、他のライターがどうしているのか、なかなか聞けないし、見せないところ・・・。それだけに編集者の岡島たくみさんが、実例をもとにぐんぐん解説していってくれたのは、とても貴重でした。私は、これまで経験や感覚に頼ってやってきたところがありましが、今回のイベントで、しっかりフレームワークに落とし込むことができました。
本記事ではその一部をお伝えしていきたいと思います!

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テープ起こしからすべきことは「汲み取り」と「言い換え」

今回お話いただいたのはアル株式会社の編集者の岡島たくみんさん(写真下)。複数のウェブメディア運営や書籍制作をされています。

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1)取材記事は執筆でなく編集

まず、岡島さんから「取材記事は執筆ではなく編集」という考えが共有されました。あくまで目的は取材者の主張を届けること。だから、自分の主張を書くのとは違って、取材者の話言葉をひたすら、書き言葉にして整えていく作業になります。

2)取材原稿を書く6つフロー

では、実際にどうするか。具体的なフローは6ステップ。

①文字起こし
②いらない情報を削る
③情報の並び替え
④言葉の精度を高める
⑤記事の形に整える
⑥ファクトチェック

3) 言葉の精度を高める=「汲み取り」「言い換え」

上記フローの中で、岡島さんが特に大切にしている「④言葉の精度を高める」について、ビフォアとアフターを比較しながら解説してくれました。残念ながらこのレポートでは、その詳細までお伝えすることができませんので、ポイントだけ共有させてもらいます!

●基本的に話し言葉はそのまま使わない
基本的に話し言葉はスピード重視。すぐに思い浮かぶ言葉で語られることが多いので、ぴったりな表現を追及せよ。

「汲み取り」と「言い換え」を徹底
1)汲み取りとは、取材者が省略した意味を書き足すこと
2)言い換えとは、より伝わりやすい表現に書き換えること

●「汲み取り」「言い換え」に必要な4つの能力
1)文脈を読む力を鍛える
2)文法・品詞について正しく理解する
3)能動態と受動態の言い換えを試す
4)同義語・類義語を使う

●最後に言葉の意味を一つ一つ確かめる
自分の文章を読んだときに違和感があったらその正体をとことん調べることが大切。

4)その他

・基本的に「主語」「根拠」「具体例」の順番に並び替えるとよい。(大抵の場合、話し言葉を逆にしていくとよい)
・バイアス表現には注意する
・人柄を伝えることよりも、中味を伝えること
・正式名称などは「敬意をもってコピぺ」(間違いは許されない)
・1時間の取材の編集に6・7時間はかかっている

あとがき

「1時間の取材を原稿にするのに、6・7時間はかかっています」
と岡島さんが言った時、正直とても驚きました。ウェブライターの世界だといかに「早く、効率よく」書くかということが求められがち。「そんなに時間かけているの?」と馬鹿にされそうで、私は自分がどれだけ原稿執筆に時間をかけているか話せませんでした。ですが、プロのライターでもここまでされている。いや、上記にあるような「汲み取り」「言い換え」をして、一つ一つの意味を確かめ、違和感をつぶして言っていたら、それは時間はかかりますよね。

「時間がかかるからといって、それを怠っているのは、プロのライターとはいえない」
そんなメッセージも伝わってきました。私は、「汲み取り」をする時に勇気がいります。「もし読み間違えていたら(汲み取り間違いをしたら)?」
理解していないのがばれて恥ずかしいし、時間をかけたのにバカみたいだし‥‥。ええい、それなら、もう話し言葉のまま残しておこう。そんな風に考えてしまうこともありました。でも、それではライターの役割は果たせていません。間違ったとしても、「失敗してもやらなきゃいけないところ!」と思わされた時間でした。

前回のイベントに引き続き、プロのライターとしての在り方を学ぶことが出来ました。sentenceのイベントに参加したのはこれで2回目。オンラインですが、チャットで参加者が質問できので、他のライターの視点にも気づかされます。ライターは孤独な仕事と思っていましたが、sentenceのイベントに参加するようになってからは、一緒に成長させてもらっている感があり、視野も広がりました。また次回のイベントも企画中とのこと。それまでにこれまでの内容をしっかり身についておきたいと思います。

前回のイベントはこちら!プロのライターによるイベントレポートの書き方がよくわかると思います!ぜひ合わせお読みください。


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