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プロの「イベントレポート」は何が違う?【sentence LIVE#2】

3月18日(水)19時~、inquire主催【sentence LIVE #2 】のオンラインイベントに参加しました。タイトルは「編集者・ライター・カメラマンによる「赤入れナイト」〜ライターの腕が光るイベレポの作り方〜」。

編集者、ライター、カメラマンの3人が、自分たちが手掛けた記事をそれぞれの視点で振り返るというイベント。まるで、居酒屋でライター談義を一緒にしているような距離感と興奮感がありました。本記事ではその様子をレポートしていきます。

プロの「イベントレポート」は何が違う?

同じイベントに参加しても、とらえ方は人それぞれ。ライターがどこを切り取り、何を伝えるかで、全く違う印象を読み手が受け取ることもありますよね。そういう点で、「イベントレポート」はライターの腕が試される記事の一つといえます。
そんな中、今回の題材となった記事はこちら↓。

この記事は、初稿にほとんど赤が入ることなく、inquireのサイトに掲載されたそうです。いったい何が良かったのか。何を意識して書いたからなのか!?ライターをしているけれど文章に自信が持てない人。これまで我流でライターをしてきて行き詰っている人。そんな方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。きっと突破口が得られると思います。

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オンラインイベントはこんな様子で始まりました。まずは登壇者の紹介。左から、カメラマンの長谷川さん、編集者の鈴木さん、ライターの西山さんです。

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●今回の記事を執筆したライターの西山武志さん(左)
フリーライター。学生時代に週刊誌でライターのアルバイトを始め、卒業後すぐにフリーランスに。現在は「Forbes JAPAN」などで執筆。

●今回の記事の写真を担当した長谷川賢人さん(右)
フリーのライター兼カメラマン。「北欧、暮らしの道具店」など複数のWebメディアで執筆。

●今回のイベント企画兼編集担当の鈴木悠平さん(中央:モデレーター)
株式会社LITALICO社長室チーフエディター、NPO法人soar理事を兼任。inquireの外部パートナー。


それでは、当日のイベントをレポートしていきます!

1) イベントレポートは、報告書でも感想文でもない

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まず、モデレーターの鈴木さんから「イベントレポートとは何か」が共有されました。ここでは、「イベントの”価値”を来ていない人に”共有”する目的で制作する記事」と定義されました。

それに対して長谷川さんは、「イベントレポートを書く主体が誰なのかを明確にしておくことも大切」とし、「何が話されたのかという事実だけ書くのはただの報告書になるし、ライターの所感だけだと感想文になる」と注意を呼びかけました。西山さんも「事実を伝えながらも読み手の心を動かすには、主催者の意図やライターの人格をどうかぶせるか…。このバランスはとても意識している」と続けます。

2) イベント前の事前準備は、脳の使い方を変える

「どんな取材にも共通することですが、事前準備はマスト」と西山さんは言い切ります。できることは、参加者のプロフィール確認、テーマの関連記事を読むこと、資料の事前入手、構成を考えておく、などいくらでもあります。未然にトラブルを防ぐためにも依頼者や主催者とのコミュニケーションは必須。西山さんは「準備をすることで、イベント中はアウトプットを意識しながら聞くことができます。脳の使い方が全然変わるんですよ」。

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3) イベント中はアウトプットを見据えたメモを

イベント中のメモはどうしているか?録音に頼る?メモだけで書く?何か、コツはある・・・?と、他のライターがどうしているか気になる方も多いのではないでしょうか。

西山さんは、メモは必ず取るとのこと。驚いたのはその理由で、「見返すためではなく、手を動かすことで体に言葉を覚えさすため」。一方、長谷川さんは「正確な情報が必要な時と、面白いと感じた時だけ」とシンプル。聞き返しが必要と感じた所は録音タイムを記録し、後でそこだけ再生するそうです。「イベントレポートは即時性が求められることも多いので、この方法は有効ですよ」(長谷川さん)。メモの取り方一つとっても、アウトプットを見据えた各ライターの意図や姿勢が感じられます。

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4) 執筆の際のポイントは?構成、形式、話し言葉

構成、地の文やリード文に対する考え、文体や形式の選択、タイトルや見出しの付け方など、執筆ポイントについ、参加者から次々と質問が…。

◎構成を考える際、ポイントにしたことは?
「対談に、”書く話”と”売る話”の2つのテーマが半々で出てきました。今回は、sentenceの企画であり、掲載場所はnote。そうすると読者はライターさんなどの書き手。”書く話”に重点を置いた構成が必要だと考えました」と西山さん。さらに、「当日の対談がとてもテンポがよく軽妙だったので、その空気感も伝えることも意識しています」。

◎モデレーターの発言を出さなかったのはなぜ?
「実は、むちゃくちゃ悩んだんです・・・」と西山さん。「モデレーターは主催者の会社の社長で、当日も随所で発言をされていましたから、ライター経験が浅い時だったらこの判断はできなかったかも」と振り返りつつ、「モデレーターを入れて鼎談みたいにすると、テーマがぼやけててしまう。そこで今回は、モデレーターの発言を地の文に差し込むことにしました」と説明。長谷さんも「大事なのは対談者の2人の発言がしっかり伝わること。僕も、モデレーターはその場にいないように大胆に削りますよ」と同調しました。

◎ぶっちゃけ、話し言葉はどこまで手を入れる?
西山さんは「発言内容は変えないけれど、言いたいことをつかんだうえで、語尾や順序は変えます」。長谷川さんも賛同しつつ、さらに、文章の目的によって対応すると言います。「エンタメ記事で有名人の発言だったら、語尾にはその人らしさをつけます。でも、ビジネス記事の場合は、人柄よりもわかりやすさを優先。実物の方の話し言葉より、丁寧なものに変えてしまいますね」。
鈴木さんからは「納品時に編集者にどういう意図かを伝えておくとよいですよ。気にする人もいるのでね」とアドバイスも。

最後に

あっという間に90分が過ぎ、イベントも最終局面に。西山さんから参加者に、「完璧でなくても、『この原稿、見て!』と胸をはって言えるものを書きたいですよね。それがプロのライターとしての責任の取り方だと思っています」と熱いメッセージがありました。イベントは大盛況のうちに終了しました。

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いかがでしたででしょうか?
お三方の、文章に対する真摯で謙虚な姿勢がとても印象的でした。経験を積んだプロであっても、準備を怠らず、いつも考え抜いている。それは、自分のかかわった記事について何を質問されても、その意図を説明できることから、伝わってきました。きっと、仕事の時だけでなく普段から、言葉や文章、コミュニケーション、物事の本質を見極めることに心を配っているからできるのでしょう。そういった姿勢や人格までもが文章に現れるのだと、改めて気づかされました。

<お知らせ>

このイベントの第3弾が、4月24日(金)20:00〜21:00に予定されています!テーマは『話し言葉の「書き起こし」から、読み手を惹きつける文章を生み出すには?』。
文章を書きだす前のこの工程さえきっちり押さえられれば、執筆のスピードは各段に早くなると感じています。次回もとても気になるテーマですので、参加したいと思います!レポートもアップしますので楽しみにしていてください。

参加されたい方はこちらから申し込みがこちらからできますよ~!ぜひ一緒に学びませんか?

(文:市橋かほる)


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