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新しい朝の朝焼けの美しさを狙って

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生徒さんが作品に取りかかる前に何を描くのかを
話し合う時間を設けています。
・こんなに素敵な風景を、こんなにかわいいペットを絵にしたい。
・こんなに哀しかった思いを、絵に残しておきたい。
・こんなに嬉しい事を、みんなに伝える為に絵にしたい。
それぞれの想いや感動や想像があって、モチーフは決まって来ます。
そんな想いのこもった生徒さんの作品を、
ご紹介していきたいと思います。           若林 薫



髙ボッチ高原  F4(33.3×24.2)㎝  T.Nさん


遠くに八ヶ岳のシルエットが見えます。
中央右下には諏訪湖から立ち昇る朝霧が
淡いうす紫色に染まっています。

冬には湖面が凍る御神渡(おみわたり)の現象が見られる
神の住む湖でもあります。

これは「髙ボッチ高原」から望む
朝焼けの様子を描いた1枚です。
 
写真愛好家である作者は乗り慣れたワンボックスの車に
写真の機材をいっぱい積み込んで車を走らせ
前日からこのシャッターチャンスを狙っていたのでしょう。

作者は故郷新潟の景色はもちろん
北海道や東北の風景、更に関東一円の名だたる場所を
カメラに収めてきました。

この作品もその写真をベースにアクリル画にしています。
ドライブラシの技法を使って空のグラデーションを描いています。
黄色から始まりオレンジ、スカーレットと塗り重ね
紫色に染まった空の順に作業しています。
朝焼けの空が出来上がると近景の草むらへと筆を進め
その草の一本一本を面相筆で描き込んでいます。

半分程描き進めたところで高原の端に立つ
名も知れぬ古木に筆を移したと思います。
朝陽に向って立ち、太い根元は大地をしっかり掴み
風雪に耐え百年近くの年月をこの地で生きているのでしょう。

作者はこの古木に自己を投影したのかも知れません。
新しい朝の朝焼けの美しさはもちろんの事
その空気に包まれた老木の逆光の黒い影も
又美しいと感じます。
               絵画講師 若林薫 評






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