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高校入試の願書受付のエピソード ~プロ意識の違い?~

エピソード1

これは私が中学3年生の担任をしていたときの話です。

私のクラスにある私立高校を受験する生徒がいて、
その願書を受付期間の初日に私が提出するという予定を組んでいました。

しかし、その日、私の住んでいる地域では珍しく大雪となり、
道路に雪が数cm積もるという大寒波にみまわれました。

車で向かうと渋滞が予測され、
ましてやノーマルタイヤである私の車では事故を起こしかねないと
思案しました。

そこで、
偶然その高校は私の住んでいるアパートの近くだったということもあり、
確実に願書を提出するために徒歩で行こうと決断しました。

願書が濡れないよう厳重に保管して道路へ出ると案の定、
車が列をなして渋滞しており、
その状況を大変だと思いながらゆっくり安全に高校へ向かいました。

向かっている最中、ふと

(そもそもこれだけ渋滞しているのであれば、
 高校側も職員が到着していないのでは…)

と頭をよぎりましたが、そのときはそのときだと割り切り、
30分ほどかけて高校に到着しました。

受付時間より少し早めについたのですが、玄関の自動ドアが開いたので、

建物内で待機できること
私の予想に反して誰か職員の方がいること

がわかり安堵しました。

すると校長?理事長らしき方、事務長らしき方、そしてあと一名の方が
すぐ私の来校に気づき、願書の受付を行ってくれました。

校長?理事長らしき方からは、
こんな大雪の中でも願書を提出しに来たことに感謝されるとともに

・自校の他の職員は渋滞で遅れていること
・生徒たちも登校できない状況であること
・願書の受付業務はきちんと行おうと考えていたこと

など、状況を丁寧に説明していただき、
受付が終了するまで暖められた部屋で
ストレスなく待機することができました。

実際、その日は事故渋滞が起こっており、
学校の教職員が集まりにくい状況であったにもかかわらず、
願書受付の体制が整っていることから推測するに

・天気予報から、事態を予測し、対応を検討していた
・願書受付業務を滞りなく実施するために必要な
 責任者等の人員配置を決定していた
・学校に前泊する or 早朝出勤 or 徒歩通勤 など
 通勤、勤務の方法を考えていた

など、前日から綿密な打ち合わせがなされていると思われ、
そのプロ意識の高さに感心させられました。

受付が終わると私のように願書をもってくる者が少ないと判断したのか、
事務長らしき方が敷地内に積もっている雪を除雪するための用具をもって、
スリップや転倒しないよう作業にとりかかっていました。

時間を無駄にせず、自校の職員、生徒、来校者のために
何をすべきか考えて行動する姿勢は見習いたいと感じたとともに、
この高校を希望する生徒を安心して任せることができると思いました。

エピソード2

これはある公立高等学校の願書を提出したときのエピソードです。

願書受付期間の初日、また私は1番先に願書を提出したいと思い、
授業の空き時間を調整してその高校へ向かいました。

結構早めに到着したので、真っ先に受付できると思っていましたが、
私と同じことを考えている他の中学校の教員の方がいたため、
残念ながら2番手となりました。

ただ、この年は入試制度の変更が少しあったため、
ちょうどこの待ち時間の間に要綱や募集要項を確認すればいいと
前向きに考えて時間をつぶしました。

1番目の中学校の受付が終了したので、
私は願書を提出し、点検が終わるまでしばらくその場で待ちました。

そして、担当の事務の方から問題なく受付したことを告げられ
受験票をいただきました。

例年だったらこれで終了だったのですが、
入試制度変更に伴って手続きも多少変わっており、

〔受験票〕と〔もう1種類別の書類〕を

返還されるはずだと思っていたので、

「先ほど提出した〇〇〇もいただかなければならないと思うんですが…」

と伝えると

「少々お待ちください」

と慌てた様子で、事務室の中で数名が集まり、
臨時会議を開いて確認していました。

しばらくすると責任者らしき方が

「おっしゃる通り、〇〇〇もお渡しいたします。
 受検の際はお忘れなきようお願いします。」

と言われたので、

(きちんと要綱や募集要項を読んでいて、良かった)

と胸をなでおろしました。
私は自分の責任を果たせたことに満足し、退出しようとすると、
その事務の方に呼び止められ

「先ほど1番目に受付を行った△△中学校には、
 〇〇〇をお渡しできなかったんです。
 先生、ちょうど同じ地域の中学校ですから、
 帰りに立ち寄ってお渡し願えませんか?」

と言われました。
突然のことで、最初は何を言われたのか分からず呆然としていましたが、
あまりにも不躾な依頼だと思い、次のようにお断りしました。

「〇〇〇の返還を忘れたのは、
 そちらの不備であって私の責任ではございません。
 
 ましてや高校入試の願書という大切な文書を、
 他校の教員に預けるというのはどのような見解なのでしょうか。
 
 もし、私が〇〇〇を紛失した場合、
 責任の所在はどのようになるのでしょうか。
 紛失したら責任をとっていただけるのでしょうか。
 
 自校の生徒の書類の場合、私が責任をもって学校へ持ち帰り、
 本人に渡す義務がありますが、
 一般教員である私が他校の書類まで一時でも管理することになった場合、 
 万が一のリスクを考えると私は責任をもてません。

 他校の生徒であっても
 生徒一人ひとりの将来がかかっていますから尚更です。
 
 本来ならばそちらがミスを認め、責任者が△△中学校に足を運び、
 謝罪するのが筋なのではないでしょうか。

 申し訳ないですが、〇〇〇を私の責任では受け取ることはできません。
 失礼いたします。」

と回答すると

(それぐらい融通利かせたらいいのに…)

という空気が流れていましたが、
もし私が△△中学校の書類を受け取り、
それを紛失して処分を受けることになったとしても、
この高校の事務の方たちは誰一人として助けてくれることはないので、
私は私の責任を果たすことだけを考えました。

おそらくですが、

すぐに〇〇〇を届けること
受付事務を完了させること

が、その高校の事務の方のプロ意識であり、

他校の生徒とはいっても
中学生のために行動しない私のことは
プロ意識がないと思われたのかもしれません。

確かに融通が利かないと言われればそれまでですが、
どうしても私には受け入れることができませんでした。

プロ意識

立場や考え方が変われば、プロ意識も全く異なるものになります。
十人十色、千差万別、考え方はいろいろありますから、
否定する気は全くありません。

ただ、エピソード1のプロ意識のほうが私には合っているようです。

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