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「珊瑚道」—サンゴに学ぶ生き方

 サンゴの中には、たとえ同じ種であっても、生息している場所によってその姿が大きく異なるものがいる。例えば、ハナヤサイサンゴは、波が少なく穏やかな環境では複雑な枝状の形をしているが、礁縁部の白波が立ち激しい衝撃にさらされる環境では、一つ一つの枝が太くなり、より単純な形をしている。これは、波の衝撃に耐えるために彼らが施した工夫とも言える。

 新渡戸稲造の著作である「武士道」には、「最も剛毅なる者は最も柔和なる者」という言葉がある。この一文は、精神について語っている部分が大きいが、サンゴも自らが生きていく環境に合わせてその姿を変化させることによって、厳しい自然界をたくましく生き抜いている。長い進化の歴史と自然淘汰の中でサンゴが導き出した武士道、否、「珊瑚道」は、一つの形にこだわらないということなのである。

 自然界を生き抜いてきた生き物たちから学べることは実に多い。それは、彼らが日々厳しい競争に勝ち、野生の中でたくさんの知恵を身に付けてきたからだろう。サンゴに至っては、人類が誕生する遥か昔の三畳紀からこの地球上で生活をし続けている。私たちは、この賢者たちから多くのことを学ぶとともに、敬意を払って彼らの存在を守っていくべきである。


 本日より、生き物や自然環境に関する時事をネタにした、ショートコラムを連載していこうかと思います。

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