人生で初めて告白して、フラれた話
年度が変わるころ、昔好きだった人を思い出す。これは私が生まれて初めて愛の告白をして、見事にフラれた話。
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私は高校1年の4月に入った瞬間から、地元のマクドナルドでアルバイトをはじめた。まだ春休み中。3月中に面接をして、本当に4月2日くらいからバイトデビューした。
マクドナルドには「クルールーム」と呼ばれる従業員専用の場所があり、そこで着替えをしたりミーティングをしたり休憩したりする。
クルールームで今のメニューやニュースなどを確認していると、ある男の子が入ってきた。春休み中なのに高校の制服を着ていて、どこか品があり、一緒にいるクルーの人と満面の笑みで笑いあっていた。
私は中学3年間女子校だったので、男子高校生なんてあまり免疫がなく、話しかけられてもドギマギしてしまったのを覚えている。何を話したかなんてよく覚えてないけど、私が私立の女子校に通っていると言ったら、彼(以後、東くん【仮名】)は私立の男子校に通っていると言っていた。頭の良い学校だった。
そして少し話をするうちに、東くんは私の2つ上で、受験勉強に専念するため、この春からバイトを休むということが分かった。バイト先の中で、都内の私立の中高一貫校に通っていたのは私と東くんだけだったので、少し寂しかった。
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約1年後の春休み前、マックのクルールームに行くと東くんがいた。「おー!横山!元気だったか!」とすごく明るく声をかけてくれて嬉しくなった。どうやら受験が終わったらしい。頭の良い大学に行くことになったらしい。
たぶん話しかけられて嬉しそうな顔をしたんだろう。あからさまに。そして何度かバイトがかぶるようになった。東くんがいる日は、とても嬉しかった。
何がキッカケか忘れてしまったけど、連絡先を交換することになった。当時は私たちの他に、いい感じの高校生男女がもう1組いて、4人でよくバイト終わりにクルールームで話をしたりしていた。
ある日の夜、自分の部屋で東くんとメールをしていたら「明日、4人でディズニーシー行かない⁉」と言われた。「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええいく」(現実ではもっとかわいく返したはず)とすでに東くんに恋をしていた私は1人でドラマのようにベッドで転がりながら大興奮したものです。前日の、しかも夜のお誘いに、それはそれはドキドキして眠れませんでした。寝不足のまま、当時のお気に入りだった服を着て地元の駅で待ち合わせをして行った。たぶんこれは、春休みだったんだろう。
このときまではたしかに、私と東くんはいい感じだった。東くんは確実に、私のことを良いと思ってくれていた。
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ディズニーシーに着いて、最初は4人でまわっていた。でも午後から2:2の別行動で行動するように。とても緊張したけど、東くんと2人でディズニーデートできるなんて、夢のようだった。嬉しすぎた。
嬉しすぎて、嬉しすぎて、しゃべりすぎた。
私のことをもっと知ってほしかったんだと思う。「私」という人間をプレゼンしたかったんだと思う。私は、それまでに経験してきた過去の恋愛話や元カレの悪口など、超オープンにしゃべりまくった。まるで同じ学校(女子校)の友達に話すように。
東くんの反応はよく覚えてないけど、「…そうかー」って言った彼の一言は覚えている。たぶんあれは「そうかー。。お前そういう奴なんだな。」っていう意味だと思う。今ならわかる。
夕陽がとってもきれいなディズニーシーで、唯一誰かに撮影してもらった2ショット写真がある。それはそれは、2人の距離は超微妙。間に人間1人分くらいの距離があった。
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その日以降、東くんは私との距離をとるようになる。それは当時高校2年の私でも分かるような。メールもそっけないし、私が押そうもんならどんどん引いていく。つらかった。当時の私はその理由がよくわかっていなくて、でもたぶんディズニーで私が何かやらかしたに違いない、ということくらいは考えられた。
東くんは私の想いにもちろん気づいていた。私は好きな人ができると超積極的なので、どんな鈍い人でも絶対に分かると思う。
春休みが終わり、キャンパスライフが始まり、東くんはとても楽しそうだった。そして勉強も忙しく、バイトにあまり入れなくなっていた。でも私はまだ好きだったし、この想いをどうしたらいいのか分からなかった。ひとつだけ分かっていたのは、東くんが私のことを好きではない、ということだけ。
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私のあまりにもひどい落ち込みように、バイト仲間が東くんも呼んで焼き肉を食べに行こうと誘ってくれた。結構な大人数だったけど、気も紛れて楽しかった。そこで私は決意する。「今日、東くんに告白しよう。」と。いつまでもどうしようもない気持ちを悶々と抱えているのがつらかった。自己満足かもしれないけど、想いを伝えてスッキリしたかった。
そして焼肉終わりに、家が同じ方面の私たちは一緒に帰った。何かを察したのか、バイト仲間が何か言ってくれたのか、東くんは私の家の前まで送ってくれた。
「ちょっと話があるんですけど…」ともう絶対告白じゃんみたいな流れで、家から30秒くらいのところにある公園で告白した。正直何を言ったか覚えていない。緊張しすぎて、告白するってこんなに大変で、こんなに過呼吸みたいになるなんて初めて知った。
東くんに何て言われたかも正直よく覚えていないけど、「ごめんなさい」ということだけは覚えている。
あースッキリした!!!!と自分の部屋に帰ってから思ったのと同時に、涙がぽろぽろと溢れ出てきて、こんなに好きだったんだなぁ。と一人で思い知った。告白するって、すごいことなんだなぁ。疲れたなぁと。色々な感情が溢れ出てきて、ようやく悶々とした気持ちを吐き出すことができた。
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その後私は、自分のどこがいけなかったのかを振り返って猛省した。初めてのデートであんなに過去の恋愛話をペラペラと喋りまくるもんじゃない、と。
きっと東くんは、純粋で控えめな私を想像していたんだろう。いざフタをあけてみたら、おしゃべりで女子校ノリ全開な私がいて、それは理想とかけ離れていたんだと思う。こればっかりは仕方ない。でももしあのディズニーデートでうまくいっていたとしても、つきあってすぐに私の本性はバレるだろう。学校でのノリと、好きな人の前での態度は少し変えなければならない。まぁ本当の自分を好きになってくれないと困るから、これはこれでよかったのかもしれないけどね。
東くんは大学生活が忙しくなりバイトを辞め、それからたぶん1度も会ってない。Facebookでつながったときに一言交わしたけど、それだけ。でもFacebookを見る限り、とても素敵な人になっていて、やっぱり私の見る目は間違っていなかったのね、と思った。
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