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あなたの為に・・・をやめる訳

シチリア島の州都、パレルモからの発信。 ボンジョルノ。

お天気がクルクルと変わっているパレルモ地方です。 昨日起きた時は曇り、9時位から太陽が顔を出したので相方は海へ。 少し涼しい風が吹いていました。 その後お昼過ぎにいきなり風向きが変わって、シロッコのような暑い南風。 しかし2時間後には黒い雲が出てきて、遠くでゴロゴロ鳴っている。 これは降るぞーと思っていたら又太陽が顔を出す。 

そんなこんなの繰り返しで、結局雨は降りませんでした。 そして今朝も曇り空です。

今回のタイトルですが、これは昔から思っていた事なんです。 多分ほとんどの方が経験していると思います、そしてほとんどの方は最初にこの言葉を言われたのはご両親からだと思います。 「あなたの為に言っているのよ」と言うセリフ。 私もよく母から言われました、「言いたくないけれど、あなたの為に言っている」、「ママだって怒りたくないけれど、あなたの為に怒るのよ」と。 勿論子供にとっては意味不明の言葉です、少なくとも私は理解出来ませんでした。

なぜ今こんな事を書いているかと言うと、シチリア人多いんですよこのセリフ。 しかも友人同士の間でも、「こうやった方が良い、これをやらなくてはいけない、これをしなくてはいけない」、そしてその後に「あなたの為に言っているのよ」と続きます。 流石に日本では友達にこのセリフを言うケースはあまり無いのではないかと思います。 余程親しくない限り。 ところがシチリアでは「you must」を頻繁に使います。 もしかしたらパレルモだけなのかな? シチリアでも他の土地は違うのかな? 「you have to」ではなく、「you must」、結構ヘビーです。相手はごく軽い気持ちで言っているのは分かるのですが、ウザイです(笑)。

私自身が友人に言われることもあるし、友人達の話を聞いているだけでもこのセリフが飛び交います。 私を含めここに住んでいる外国人の友人達とは「どうしてあのセリフを使うのか?」と、時々話題に上がります。 フィレンツェに住んでいた頃は気にならなかったので、シチリア特有?

そして母に言われていた事を思い出したと言う訳であります。 

このセリフは夫婦やカップルの間でも使われると思いますが、やめた方が良いと思っている私。 何故なら「あなたの為に・・・」はすぐに「あなたのせいで・・・」に転換してしまうから。 「好きなあなたの為にこれを我慢していたのに・・・」それが報われないと「あなたのせいで私は不幸だ、あんなに我慢したのに」となってしまう。 母にも「あなたの為を思って言っているのに、あなたが言う事を聞かないからママは悲しい」と言う展開で、私が一方的に悪くなります。 子供の頃はともかく、この年になっても言われる事があるのですよね。 子供は幾つになっても子供だと言うことは理解していますけど。

ごく小さな事でも例えば、「あなたの為に夕食を用意したのに、飲んでこんなに遅く帰ってきて・・・・」→「あなたのせいで私は無駄な事をする羽目になった、尊重されていない」のような流れってよくありませんか?

あなたの為に怒り、あなたの為に言いたくない事まで言って、あなたの為に掃除して、あなたの為にご飯作って・・・・。 これに対して相手からの感謝の気持ちが受け取れないと全て「あなたのせいで・・・」になってしまう。

だから私はしません、もう長い事。 料理するのも掃除するのも、笑顔でいるのも自分の為。 時々喧嘩するのも自分の為。 努力するのも(努力はあまり好きではないけど)自分の為。 そうしていれば相手に罪をなすりつけずに済むと学習したのです。 どうせしなくてはいけない日々の事、相手に為よりも自分の為にした方が気持ちが良いと言う事に気付いた訳です。

相手に何かをしてあげる時、してあげるのではなく「私がしたいから」します。 逆に「これしてくれる?」と頼まれたら、「してあげる、だから感謝してね」と(笑)。 

日々否応なしにこのセリフが耳に入ってくるので、久し振りにこんな事を考えました。 自分軸で生きるってこう言う事も含まれているのではないかと。

昨日の夜は久し振りにフィレステーキ、フィレの最後の方だからちょっと小さ目。

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相方はいつものようにレモン、オレガノ、オリーブオイルで味付けしていました。私はマスタードとお醤油で。

食後に「お皿は僕が洗うね」と言うので、「有り難う」と素直に甘えました。 「君が作ったから僕が洗うよ」と。 だけどねぇ、彼にもしょっちゅう色々言われるのですよ、そして〆のセリフはいつもこれ、「君の為に言っているんだよ」と。

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