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夢を追いかける人たち

「プロになりたくて」

彼らの夢は大きい。その道のプロになると言うことは大変な努力と運が必要になる。もちろんそれだけじゃない。実力もあり、センスも磨かれていなければいけないし、全てにおいて最高級でいる必要がある。

私がそんな夢を追いかけるサッカー選手たちと深く触れ合うようになったのは6年くらい前のこと。


友人に「選手たちを送り込むから面倒みてあげて」と言われたことが始まりだった。


彼らは目を輝かせて空港に降り立つ。大事そうにスーツケースからスパイクを取り出して手入れをする。


その年にやってきた選手たちは10人くらいいたが誰もチームさえも決まっていない。これから彼らはライバルとして仲間としてオーストラリアでサッカーをすることになる。

もちろんみんなプロを目指しているのだけれど、日本でしかサッカーをしたことがなかったり、日本人相手としか戦ったことがない場合はいろいろな壁を乗り越えなければならない。


外国人枠というものがあってひとつのチームには外国人は二人までしかとることが出来ない。しかも外国人は日本人だけじゃなくてヨーロッパや南米からもやってくる。

それでもこの国は、特にアデレードは優しいところなのでプレイを見せればすぐに認めてくれるし、ちゃんと仲間として扱ってもらえる。

そうやって彼らは「日本人選手」と言う存在をこの街にアピールしてくれて、今では常にいくつかのチームで日本人選手がプレイしている。


初めの頃は「日本ではこうなのに」とヤキモキしていた彼らを知っている。

「こう言うプレイをしたい」を英語で上手く言えなくて悔しい想いをしていた彼らを知っている。

体の大きさやプレイスタイルが違いすぎて怖気そうになった彼らを知っている。


だから彼らの試合を見るときは、全力で応援したい。

オーストラリアのスタイルと上手く合わせたり、日本人の良さを披露したり、もちろんスタメンから外れたり、カードをもらって出れなくなる試合もある。

それでも必死に戦い続ける。


観客席で日本人選手の名前が叫ばれると私は誇らしく思う。

こうやって地元の人たちからも愛され期待される選手たちがどんどん増えていく。


もちろんビザの関係で毎年何人かはこの国を去って行くけれど、新しいシーズンを迎える頃にはまた新入りさんがやってきて、チーム探しを始める。


その繰り返しだけれど、みんなめちゃめちゃいい経験をしているなぁって思う。

もうすぐ今シーズンは終了だけど、ゆっくり休んだ後はまた新しい挑戦が始まる。


試合終了の笛が響き、泣き崩れる彼らを、チーム一丸となって喜ぶ彼らを私は応援したい。






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