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高価な器は、高くない。

大好きな陶芸作家さんの作品を、個展のたびに買う。でも、一度にたくさん買えるほど裕福ではないから、小さいものをひとつだけ買う。
だから、うちには数はそこそこあるけれども、揃っているものはほとんどない。
いつだったか、3枚一組で買ったトーストを乗せるのにぴったりなサイズのお皿だけだ。

今回買ったのは6600円のスープ用の器。ひとつだけ取っ手がついていて、上から見るとほんのり楕円形になっている。
スープカップよりは大きく、深さもあって、少し広げた手にすっぽりと安定しておさまって、たっぷりと入る。
前から欲しかった形で、宇宙ブルーの色もよかった。

デザインが素敵な器というだけなら、今はいくらでも安く売られているし、そういう器も持っている。
高いと言っても、1個何万円もするわけではないから、ほんとうの焼き物好きから見たら、6600円のスープ器はまったく高くはない。とはいえ、私にとっては高価な器なんだ。

だけどね。このスープ器で食べると、いつもの簡単なべ料理が、特別な逸品みたいに見えるのだ。
外に飲みにも行きたいけれど、寒いし忙しいからおうちで食べる、という日には、こういう器で食事をする。
食事がすんだら、食器洗い機には入れず、自分の手で洗う。洗う時にも、触るのが楽しいので、いやじゃない。これは家族の数が減ったので、そういう余裕もできたということではあるけれど。
10年くらい前までは、食器を洗うのがほんとうに嫌いだったなぁ。

眺めているだけで、触っているだけで、気持ちが癒される器でいただく食事は、おなかだけを満たすのではないんだ。
この器で食べる時は、よそ見をしない。ちゃんと器と器の中のごはんを見る。
お金に換算できないものを、体に養ってくれる道具なんだよね。

ほんとうはもっときれいなブルー。私のスマホの限界…。

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