Episode6 大学時代〜社会人時代 生と死⑤

どこから聞いたのか、
家に着いてからは近所の人から学校の先生まで、たくさんの方が焼香に来てくれて、
皆口々に、あんなにパワフルな人だったのに早すぎる死だよ、と言い、
大学で一人暮らしのわたしと、単身赴任が長くなっていた残りの家族は、もう父がいない生活に慣れてしまっていたので、
実感なんてものは全くありませんでした。


母は必要な手続きや、父の単身赴任先の家の引き払いとか、
とにかく落ち着く暇もなく、手伝いに来てくれていた叔母とバタバタとして休みない日々で、
これからどうやって生活していくのか母は当然戸惑っていたけれど、そんなことを感じる暇もないくらいでした。


父の代わりにそんな母を支えるべきで、わたしは大学を辞めて働かないといけないのか、
まだ小学生の妹のいる家族のために、わたしが先頭を切って力にならないといけないはずなのに、
悲しさと気管支が雑巾絞りされるような胸の苦しさから、実家にいるのがどうしても絶えられませんでした。
そして一人暮らしの家に残して来た冷蔵庫のちらし寿司とか、借りたままのレンタルCDが延滞してる事ばっかりが気になって、
テスト期間がまだ終わっていなかったこともあり、母にも一度戻っていいと言われ逃げるように実家を離れました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?