愛の循環が広がる未来へ! 『シン・ニホン』の魅力
1,『シン・ニホン』との出会い
『シン・ニホン』を手にしたきっかけは、SDGsやESG投資をより理解したいという思いからだった。
安宅和人さんの著書は過去にも読んだことがあり、福岡で行われた講演を聴きに行ったこともある。ファクトを基にした冷静な現状認識や分析にいつもはっとさせられる。
この本のSDGsに関連した課題で一番印象に残ったのは、2100年の東京の姿だ。2100年夏、東京の気温は40度超で台風の風速は最大90m。これが何もしなかった場合の未来だという。CO2が抑制できても台風の風速は70mで、いまの家屋では確実に吹き飛ぶ。いまの子供たちが生きているタイミングで、私の人生の大半を過ごしている東京は「住む」ことすら脅かされるのだ。
『シン・ニホン』にはSDGsや地球環境課題だけではなく、日本の教育や国家の予算配分など、幅広い領域にわたって現在の日本における課題がファクトベースで語られていた。正直知らなかったことも多く、何となく課題だと思っていることもきちんと理解しようとしていなかった自らを恥じた。
そして、この本の最大の魅力は「残すに値する未来」に向けて具体的な対応策が課題とセットで書かれているところだ。危機的とも呼べるファクトや、現実を突きつけて終わらせていない。未来は目指し、創るもの。次世代へ向けて日本をよくするための方向性や具体的なアクションを提示し、ポジティブなモノの見方が随所に感じ取れる。安宅さんの日本の未来に対する温かいまなざし、変化を起こそうとする本気度が本のなかに駆け巡っていた。
私は『シン・ニホン』に魅了され、心を躍らせながら読み進めた。読了したときは鐘が鳴るような感動がじわじわと心に広がった。安宅さんに背中を押され、未来に向けてアクションを取りたくなり、私の本業を通じて社会に貢献できるESG投資を推進する思いを強くした。
今年に入り、読書会を通じて『シン・ニホン』を広めるというシン・ニホンアンバサダー養成講座の募集を見つけた。感銘を受けたこの本に共感する方々との対話で理解をさらに深めつつ、本の魅力を伝播できる存在になれたらと迷うことなく応募した。
2,異人と伝播 ~アンバサダー養成講座の気づき~
異人ってどういう人なんだろう。読書会を重ねるにつれ、私の疑問は強くなる。「ありたい姿」をデザインし、実現に向けて未来を切り拓く人。遠い存在であれば、スティーブ・ジョブス、そして著者の安宅さんもきっと「異人」だ。『シン・ニホン』上の異人は「まったく枠には収まらないが何かに突き抜けている人材」。これらの人が未来を変える存在であり、若者の見過ごされた才能と情熱を見出し、拾いだしてチャンスを与えることが重要とあった。
これらの定義では、私は異人ではないのかもしれない。でも、私の仕事を通じ、よりよい社会にむけて貢献できることはまだまだある。ありたい未来を描き、アイディアを出し、突き進む。これを実践していくしかない。
異人は今の日本では生きにくいのではないか。多様性が叫ばれる昨今だが、本当に異質・突き抜けた存在を認め、生かすような社会になっているのか。現在の教育制度も私が新卒から所属するような大企業も、同質的存在の「良い子」のほうが生きやすく、社会に認められ、評価されているのではなかろうか。
異人は時に「良い相棒」が必要なのかもしれない。良い相棒は突き抜けたアイディアを実務に落とし込む人かもしれないし、周囲と上手くコミュニケーションを取ってくれる人かもしれない。最初は弱々しいアイディアの種。それを社会に還元できるまで育てるには、その人の強い思いに加えて、サポートする存在がきっと必要だ。異人と呼ばれる人も、最初から異人であったわけではないだろう。良き人との出会いが気持ちを奮い立たせ、歩みを前へ進ませる。人は一人では生きられない。
私は異人になれなくとも、相棒をみつけられる場づくりであれば貢献できるのではないか。公式アンバサダーとなったいま、『シン・ニホン』を触媒に、人と人とが対話のなかで気づきを得て、残すに値する日本の未来へ前進する総量を増やすことが私のミッションなのではないか。
アンバサダー養成講座での出会い。高校二年生から限界集落で風の谷を実践する方まで、多様な人材が『シン・ニホン』という一冊の本に魅せられて一同に会した。同質化集団であれば絶対に出て来ない「問い」を投げ込まれ、頭を抱えたことは何度あっただろう。SDGsやESG投資の調査のために手にしたこの本が、ここまでの世界の広がりを連れてくるなんて、思いもしなかった。
3,愛の循環が広がる未来へ ~おわりに~
本のなかに「愛の循環」という言葉がある。母校への寄付行為について語られていたワードだが、次世代に向けた活動も「愛の循環」と呼べるのではないか。未来に向けた投資や「残すに値する未来」への賛同者や応援の総量をどれだけ増やすことができるか、これからの私に問われていることだ。
コロナがなかったら、毎日遅くまで働き、飲み歩いていたからこのような活動に参加しようなんて思わなかったであろう。コロナで失ったものもあるが、得たものもある。失ったものに目を向け、悲観的になっても仕方がない。『シン・ニホン』からあふれ出す、日本やヒトに対する温かいまなざしを自身も持ちながら、未来へ投資し、愛の循環が浸透する世界が実現するよう、日々前進するのみだ。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?