『Q』:A Night At The Kabukiを観劇し、一晩経っても心が打ち震えている
いつからか気になっていたNODA・MAPの『Q』:A Night At The Kabuki。先日テレビ出演されている、衣装家ひびのこづえさんを拝見したことをきっかけに、これは思い切って劇場に観に行こうと、昨夜出かけてきました。
ラストシーンで号泣、言葉にならない。一晩経った今もずっと心が震えている。これをなんとか言葉に残しておきたい、もう少し時間が経ってからも、自分がこの今の気持ちを思い出せるように。そして誰かにこの気持ちを伝えたくなる衝動。
どんなお芝居なの?は、とてもとても説明しきれないので、公式サイトのイントロダクションをご覧ください。東京公演はこの週末で千秋楽ですが、このあとロンドン、大阪、台北、とツアーは続きます。ぜひ、観た方と繋がり、語り合いたいです。
運命に翻弄されながらも愛と情熱を全うしようと葛藤する姿
生身の人間が、物語を生きている姿を、目の前で同じ空間で観られる、あるいは体感することが、演劇と映像の違うところだろうと思っています。(だいぶ久しぶりに舞台をみたので、そういう感覚を忘れていた、というのが本当の本当のところです。)ステージの上と観客席ではあるけれど、同じ場所にいて、同じ時間を生きている。わたしは2階席にいて、ステージからは離れていたかもしれないけれど、たしかにわたしはその物語の世界にいました。
432,000秒の恋に身を焦がす若き瑯壬生(ろうみお)と愁里愛(じゅりえ)。そのあとの物語を生きる、それからの瑯壬生と愁里愛。二人を取り巻く人々も、みんな運命に翻弄され、葛藤している。愛や憎しみ、情熱、欲望、すべてをさらけ出して、力いっぱい生きている姿が、とても愛おしくて切ない。
大好きな俳優、松たか子さん。ドラマや映画で観ていてもちろんずっと大好き。過去に同じくNODA・MAPの「オイル」という作品で観たのが最初だったのだけれど、ただそこにいるだけで、物語が動いていく。女優というのは松さんのことを言うのだ、と当時演劇をしていたわたしは頭をガツーンと殴られたような衝撃を受けました。それからだいぶ時は流れたけれど、松さんは今日も物語をいきいきと生きていた。真摯に。逞しく。そして美しく。ああ、どうしても言葉が足りない。ラストシーンは松さんが全開だった。
誰しも「名のある」存在である
ロミオとジュリエット、源平合戦ともに家同士の対立。愛を貫くために、家を捨て、名前を捨て、名のない存在になろうとする。
戦地で戦う兵士や被害にあった人々、当然のことながら、誰しも名のある存在で、自分の人生の主人公であるはずが、理不尽な戦争に翻弄されてしまう。どんな時代でもどんな場所でも、一人一人が、戦争という物語のその他大勢ではなくて、自分の人生の主人公なのだということを決して忘れてはいけないというメッセージを、わたしは突きつけられました。この作品は2019年に初演、今回は再演です。わたしにとって、今観たことに、とても重要な意味があったのだと感じます。
物語に寄り添うQUEENの楽曲
QUEENは、映画「ボヘミアンラプソディ」を観てから、よく聴くようになっていました。フレディ・マーキュリーの力強く美しい声と、壮大で繊細な音楽が好きです。NODA・MAPの世界の中でどのようにQUEENの楽曲が流れるのだろうか、と思っていましたが、QUEENの音楽は驚くほど物語に溶け込み、寄り添っていました。「Love Of My Life」がとても印象的でした。
改めて和訳で歌詞の意味を知り、物語とリンクしているなぁと。
ぜひロンドンの方にもこの物語を観てほしい。そしてどんな風に感じたのかを聴いてみたいです。
見終わってからパンフレットを買い、読みながら家路につきました。演出の野田秀樹さんからのあいさつ文にも心打たれました。コロナ禍になり、演劇を続けること、その難しさ、理不尽さと、ずっと戦ってきたのだろうと感じました。どうか無事にツアーを完遂し、世界中のたくさんの人々に、この作品が、感動が届きますように。
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