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次男の高校入試2 《不登校実録》

面接練習


入学試験を前にしたある日
中学校に提出しなければならない書類があり
次男と一緒に久々に出向いた。

小学校の頃は給食以降は別室登校をよくしていたので
しょっちゅう連れて行っていたな。
中学校になってからは自力登校できる時はするけど
最近は2週間に1回ほどクラブに連れて行ったくらい。
今はクラブも引退したからめっきり足は遠のいている。

このまま3学期もあまり変わらないだろう。
私が中学校の中に入る回数は
とても少なかったな…などと思い返していた。

◇◇◇


職員室で担任の先生に声を掛け、別室へ向かう。
書類を最終仕上げて提出したところで
担任の先生が
「面接の練習やっとくか?」
と聞いてくださった。

断るかなと思いきや
「はい!できればお願いします」と頭を下げる次男。
急遽、面接練習が始まる。

まずはドアの入り方から先生がお手本を見せてくださる。
ノックは3回
ドアを開ける時に「失礼します」
あまり面接官にお尻を向けずにドアを閉めて…

次男、軽めにパニック
でも1つ1つの動作を何度も先生に確認しながら頭に入れている。

ゆっくり、でも確実に。
次男は次男のペースで理解を進める。

「じゃぁ1回自分でやってみようか」
先生に促され、次男が実践練習。

コンコンコン 失礼します!

までは良かったが…うーん、やっぱりプチパニック。
顔を真っ赤にしたり、頭をぐしゃぐしゃにしたりしながら
ここでも投げ出すことなく、1つ1つ練習。

私は部屋の隅っこで想定問答を書き留める。
頼まれたわけでもないが、あとで次男に渡そう。
先生がつきっきりでレクチャーしてくださった記録。
きっとこの虎の巻は彼の心の支えになる。

次男は毎日、虎の巻に目を通していた。
そんなに難しい問答ではなく、尖ってもいない。
しかし「不確定なもの」に恐怖を感じる次男にとって
通信制高校の特別選抜枠をいただいていたとはいえ、
「入試」という壁は分厚く感じられた。

入試前日の夜、次男に呼ばれ
「ドアを入るところから面接の練習がしたい」
と言われ付き合う。

驚いた。

以前に見ていた状態とは見違えるほど
スラスラ話せていた。
少し質問の仕方を変えても対応できている。

次男はきっと昼間、ひとりで練習していたのだろう。
「練習してたんだね!しっかり話せると思うよ!」
緊張した面持ちの次男は笑ってはくれなかったが
「うん」
とうなずいた。


入試本番の次男と私


だいたい次男は緊張が過ぎると挙動不審になる。
1週間前くらいからやたら喋りまくっていたが
当日の朝は比較的落ち着いていた。
(いや、おかしかったけれども)

一緒に高校に行く。
次男が試験を受けている間、親は講堂で待っていた。
かなりの人数だ。
みんな苦しんだ末、ここに辿り着いたのかな。

だいたいは合格すると聞いてはいるが、
まだ傷が癒えていない次男に万が一のことがあったらと
そこは正直言えば不安だった。

ふと周りの保護者を見ると
真剣に面接での問答を復習している方が多かった。
(面接は、保護者と本人に課せられていた)

そういえば全然自分の練習はやってなかったな。
でも緊張はない。

だって、私はこれまで note で綴ってきたから。
何を聞かれても答える自信がある。

本当に note のおかげだ。
note という場があって、発信してきてよかった。

私にはどんな質問でも掛かってきなさい。
そのぶん次男に突飛なことは聞かないでね。

そう思いながら待っていた。

◇◇◇


ついに面接の順番が回ってきた。
部屋の前に次男がカッチカチで座っている。
横に座って開口一番
「とりあえず深呼吸しよっか」
と声を掛けた。

ふぅ~~ ふぅ~~

2回の後、すぐに呼ばれた。

次男は見事に対応した。
姿勢よく座り、面接官の目を見て答える。
緊張し過ぎて、いつもの声の大きさはなかったけれど
回答は明瞭だった。

もうそれだけで私は感動していた。

親への質問の番。
何を聞かれたかあんまり覚えてないということは
それなりに緊張していたのかな。

1つだけハッキリ覚えている。

「お子さんにどういう高校生活を送って欲しいですか?」

3年経って卒業する時に
「充実してたな、頑張ったな、楽しかったな!」
と本人が思えたら、それだけで十分です!

迷うことなく答えられた。


いよいよ発表の日


数日後、合格発表の日。
いまどき珍しく貼り出す方式だった。

「受かってたらいいな。合格してたらいいな。」

試験以降、何度も言っていた次男。
この日も緊張しながらふたりで高校へ向かう。

定刻になり貼りだされる合格者。
私は必死に探したが目が悪くてよく見えない。
すると
「あった」
次男が指さす。

あった。
次男の名前があった。
そしてやっぱり私は泣き虫だった。

◇◇◇


帰り、次男に言われた。
「…まさかお母さんが泣くと思ってなかった…」

泣くよ、そりゃ。
なんで泣かんと思ったのか、それをむしろ知りたいわ。

だってあなたが頑張っていたから。
次の一歩を自分で踏み出そうとしたから。
それがなにより嬉しいんだよ。

次男、合格おめでとう🌸
次男らしく、君の速度で経験値を積んでね。
大丈夫、君なら大丈夫。
母はいつでも力になるよ。


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