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長男2回目 7

コロナ禍

長男中2の3学期、世界的な大問題が起こった。
新型コロナウイルスのパンデミック。
日本中、いや世界中が脅威にさらされ、さまざまな社会活動のストップを余儀なくされたあの時、教育の場でも活動ストップが頻発した。

長男の中学校は私立であったためか、かなり早い段階で授業の動画配信が始まり、先生からの連絡や宿題等もとあるサイト経由で送られてきた。
さらには、動画配信で授業を受けたかどうか、一日にどれぐらい勉強したか、もちろん体調含め、先生への報告もすることになっていた。

このおかげで長男は、自宅で1年ぶりに授業を受けることができた。
登校の必要がなく、動画は少し遅れて見ることもできたので、朝一番は無理でも動けるようになってから、毎日しっかり4時間分の動画を見るようになった。出された課題も「むっず!」と言いながら取り組む。
そりゃ難しいよ、1年ぶりなんだから。

その後約一ヶ月くらいだっただろうか、分散登校が始まった。
なんとその時、瞬間的ではあったが、長男は教室に入ることができたのだ。教室に入った長男を見届けた後、いつもお世話になっていた保健室の先生に会いに行き、私は1人でボロボロ泣きながら報告しに行った。
しかし、徐々に分散登校から全員登校に戻っていった頃には、やっぱり再び教室には入れなくなってしまった。

気持ちの変化

やっぱり教室に入れなくなった時、私は最初は凹んだ。
そりゃそうだ、教室に入っただけで勝手に涙が出てきたくらい嬉しかったのだから、まだまだ私も教室に戻ってくれることを望んでいたのだと、自分自身で気付いてしまった。

ただ、学習室に行く頻度や定期考査の受験科目が少しずつ増えていった。
後で長男に聞いた話だが、授業なんて絶対ついていけない、今さら出てもわからないと思い込んでいた長男の意識が、コロナ禍での授業動画配信を経て「あれ?もしかしたら理解できるかも」という気持ちに変わったそうだ。
動画での授業復帰がなければ、その後頑張ろうと思えてなかったと長男は言っていた。

コロナ禍の影響で生活リズムなどが変わり、学校に行けなくなった子供達が多くいたのは事実だ。まさに次男がそのタイミングから教室に入れなくなったのだが、それはまたの機会に記すつもりだ。
しかし長男のように、授業の動画配信をきっかけに、少し学校に向き合うことが出来た子が一定数いたのも事実だ。
現に我が家には、そのどちらのパターンも存在しているのだから。
「不登校の原因がコロナだった」という発言が、あったとかなかったとか聞くが、同じ親が育てている子供でもバラバラなのに、それで片付くほど世の中は単純じゃないんだ。

長男は成績は当然伸び悩んだが、私としては成績表の空白(受験できなかった教科は空白になっていた)が減っていっただけでも嬉しかった。
長男の頑張りが報いられている気がして。

もう1つ、長男がコロナで助かったことがあった。
同級生の子供達には申し訳ないが、中学校の修学旅行がなくなったのだ。
そういう意味では、全員が同じ環境になった。
後の長男は「ちょっと助かった」と笑っていた。

この頃までに、長男とは高校をどうしたいか、何回か話し合った。
最終的に長男が出した答えは「高校は(ここを)卒業したい」だった。
そうであれば、私はサポートするしかない。
ド根性でダイエットまでした長男の決意を無駄にしてはいけない。

中高一貫とはいえ、3学期には入学試験を受けなければならない。
それで落ちるようなことはないが、通過しなければならない門。
長男は必死で教室に入り、全教科受験し、無事高校入学が決まった。

ところが、中学の卒業式、長男は行かないと言ったのだ。

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