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長男と次男 1

枯渇

突然始まった次男の不登校。
でもそれは、
当然始まった不登校だったと
今となっては思う。

きっと次男はそれまでの間、
我が家の太陽として
心身を燃やしながら存在し続けてきた。
生きる力が枯渇するのは時間の問題だったのだ。

そのきっかけがたまたま
「新型コロナ」のタイミングだった。
残りの力を振り絞って
“元気に”登校していた次男は、
突然やってきた休校という事態に
リズムを崩された。

家の外はコロナが蔓延しているという恐怖心、
新学年の教室は学級崩壊、
そして先生の怒鳴り声・・・

これまでたくさんヒビが入っていた次男の心は、
様々な要素が一気に爆発し、砕けた。

次男が学校に行けなくなって、
すぐに担任の先生から電話が掛かってきた。
最初の方こそ
「無理はしないでいいですよ」
というスタンスだったが、
予想通りというか、
しばらくすると叱咤激励の嵐だった。

次男が電話に出た時、
先生の誘導が辛くてすでに泣き出しているのに
電話を切らせてもらえなかったり
(これはもう途中で私が割って入った)、
途中から別室に行った時も
「今頑張らなきゃ来られなくなるよ!
しんどくても頑張らないといけないんだ!」
と熱く説得されたり。

先生のお気持ちはわかる。
しかし、なんなら次男が一番わかっているのだ。
それでも決して次男は先生を悪く言わない。
学級崩壊させている同級生のことも
悪く言わない。

そうやって気持ちを抑え込んで抑え込んで、
なんとか行けそうな時には
1時間だけでも行かなきゃいけないと
自分に言い聞かせ、
私に「連れて行って」と言っていたのだと思う。

そんな気持ちで必死に行ったのに、
そこでまた説得されても・・・
もう受け止めきれなくなっていた。

悪い先生ではないのだろう、
ただ今のエネルギーゼロ状態の次男には無理。
私はしばらく、本当に休ませることにした。

まるごと受けとめる

当時、長男は中3。
絶賛不登校かつ、ダイエット期間。
自宅に子供がふたりいるという、
ある意味不思議な状態になっていた。

長男も週に1~2回、
次男ももう少し低い頻度で五月雨登校。

出勤時間を調整したり、
平日半休を活用したり、
私の右往左往も少し増えていた。
そして私は、
二人分の昼食とおやつ袋を用意するようになった。

長男は、
次男がこれまでいろいろ我慢してくれていたことも、
この時理解したのだと思う。

誰よりも次男を
そのまま丸ごと受け止めたのは、
他でもない長男だった。

「がんばれ」というのでもなく、
「大丈夫か?」というのでもなく、
「家に次男がいる」という
そのまんまを受け入れる。

もちろん、
自分の影響でこうなっているのかもしれないと
思ったという理由もあるだろうけれど、
昔から長男は妙なフィルターを付けることなく、
そのまま横に佇むタイプだった。
次男には間違いなくホッとする空間だっただろう。

・・・ふたりでどんな話をしていたのか、
詳しくはわからない。
でもふたりとも、
お互いがお互いの存在に安心しているように見えた。

私の自慢の子供達。
仲の良い兄弟で良かった。
優しい子供達で本当に良かった。

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