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長男と次男 31 《不登校実録》

孤独感


最近、長男が少々荒かった。
次男には相変わらず優しいが
なんだか私とは揉めることが多い。

大学生になって基本的に私はノータッチ。
もし遠い大学に通っていたら
このタイミングで家を出ているわけで
18歳成人男性、選挙権もある。

まぁ家にいるから食事は用意するし
洗濯も一緒にしている。
だが大学関係は当然自力でやってもらう。
そもそも学部学科専攻が違う未知の世界なので
私にはよくわからん。

とはいえ彼は起立性調節障害。
基本的に自力で起きようとはしているが
疲れが溜まってきたのか
朝はやっぱり辛そうで声を掛けることも多い。

男子を持つ母の話を聞くと
子供とあまり会話しないことも多いらしい。
我が家の男子たちは、よく話をしてくれる。
そのことがずっと私の密かな自慢だし、
幸せでもあるのだ。

でもそれがこの1か月ほど
ちょっとしたことで八つ当たりされる。

長男も、新たな世界で少し疲れてはいるのかな。
またこれも大人になった証拠かもしれない。
もし口出しされてるように感じているなら
こちらが少し距離取りましょ。
次男の方に今は寄り添いたいし。

…そんなことを時々考えていた。

*************

ある教科の前期試験が難しかったらしい。
落としたかもしれないと長男が凹んでいた。

「クラブの先輩や友達がいるからさ、
そういう人達の存在が活きてくるよね」
と何気なく私が言ったら
キレられた。

「活かし方なんか全然わからんから
そんなん活きてくるわけないだろ!」

…なんかもう疲れてしまった。
「そっか。ごめんね」
と答えてその日は終わらせた。
もう反論する気力もなかった。

翌日、冷静になった長男から謝罪があった。
実は長男は悩んでいたそう。

中学高校とクラブなんて入れるはずもなく
先輩後輩の関係の作り方がわからない。
友達も、高校は修学旅行のおかげでできたが
大学に入って自分をどのように出せばいいのか
全然わからない、と。

小さい頃、まだ健康体だった頃の長男は
ほんとに人見知りもなく、誰にでも話し掛け
すぐに懐いて可愛がられるような子だった。

しかし、学校に行けなくなった頃から
彼は簡単には周囲に心を開かなくなった。
この数年、少ない交友関係で過ごしてきた長男は
「懐への飛び込み方」がわからなくなっていた。

*************

「先輩、教えてくださいよぉ~!」
「マジでへたくそなんすよ~!」
「これ全然わからんから教えてくれん?」

こんな言葉が出せたらどんなに楽か。
長男は孤独を感じていたのだ。

だから、ある程度何でも言える相手である私に
ぶつけてきていたのだ。
それが間違ったことであるとわかっているのに
母が悲しむのもわかっているのに
他にぶつけようがなくてキツく当たってしまった。
「本当にごめん」と長男が言った。

私としては
「よく話してくれたね」
という気持ちだった。
このまま一人で抱えていたら
きっと長男はバーストしていた。

長男が自ら話してくれたことで
母としてはひとまず十分だと思った。

私は母としてではなく、人生の先輩として
「気を配れる照れ屋な君は、可愛い友人・後輩になれる。
できないことを素直に出していいんだよ。」
と伝えた。


半歩進む気配


中学校は夏休み。
中3ともなると友人達の多くは
高校受験に向けて夏期講習に勤しむ。

次男の最近のテンションの低さと
相対するように受験に向かう同級生。
溝が開いていくのではないかと
私は少し懸念していた。

また1学期の後半から、いろいろな高校が
入学説明会、オープンスクールなどを開催するが
通信制高校も類に漏れず多々説明会がある。

次男のテンションは相変わらず低めで
「どこ見に行きたいか考えてねー」
と声を掛けていても、まったく進まない。

…困った。
あまり親がガツガツしてもいけない。
でも全く何も進まないと
最終的に次男が後悔することもあるのかも。

普段から「見守ること」「信じること」を
実践している自負はあった。
しかし、ヒント的なものが必要な場合が
あるということも経験上知っている。

私は「ダメならダメで仕方ない」と覚悟して
担任の先生からもお聞きした何校かを中心に
個別面談やオンライン説明会に申し込んでおいた。

***************

適応教室も夏休みに入るが、遠足があった。
今年度は適応教室に通級してくる子が少なめで
遠足は多いかなと思っていたところ数人だった。

次男は人数が多いところに恐怖を感じる。
少ない人数で、私達としてはありがたかった。

友達2人も参加していたらしく
自然の中でかなりワイルドで楽しい時間を過ごし
次男は十分満喫して帰ってきた。

すると…
翌日から少し英語のテキストを開いてみたり
高校説明会の話に耳を傾け始めたのだ。

テンションも上がってきたような雰囲気。
もしかしたら「夏休み」で
みんなが休みだという感覚が
彼の気持ちを軽くしているのかもしれない。

たった半歩であっても前進の兆しが見えた。

「いくつか申し込んだところがあるから
行けそうなところチャレンジしてみよか」
私がそう言うと
「わかった!ありがとう!」
と返答してきた。

焦るな私。
焦るな次男。
そして、喜び過ぎるな私。

じっくりいこう。
ここまで来て焦ってはいけない。

子供達それぞれが今までと違う環境に
少しずつ適応しようと頑張っている。


私はやっぱりその傍らで併走していこうと思う。


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