25歳の誕生日にシックスパックを

私が25歳になるまであと128日らしい
25歳といえば大したものだ
100年を一世紀と呼ぶ時に50年は半世紀、25年は四半世紀というやつである
史上4番目の長さを誇る平成の世に生を受け、次の令和に突入した
一つの時代を生き抜いたと言ってもいい
人間の人生で言ったって結構な節目である

10代が終わって20歳になる時、子供時代が終わるようで少し悲しかった
映画やアニメに見るような青春っぽい出来事はもう私の人生には起きなくて大方予想のついた人生を歩いて行くんだと思っていた
そんな20代もとうとう後半戦
20代前半は想像以上に波乱万丈だった
がむしゃらに戦って傷ついて手に入れて守って成長して戦国時代と高度経済成長期を混ぜたような5年間だった
魔法少女になったりエヴァに乗る誘いこそ受けなかったけれど、学校と家だけを往復していただけの10代より20代の方がずっと刺激的で1人で暮らして色んな仕事をして何冊かの本を出したり丸一日以上かかるようなすごく遠い土地まで行った
色んな人と出会いや別れを繰り返して知人や友人もたくさん増えた

20代後半戦はもう少し落ち着くだろうと思っているけれど、きっとそんなこともないのだろう
20代前半でコンプレックスやら納得のいかないものやらとの戦いを一通り終えたつもりになっているけれど、あれはほんの前哨戦に過ぎなかったと30歳を目前にして思うかもしれない
落ち着くにしても過激化するにしても少なくともまるで同じということはないと思う

生後四半世紀を迎える自分の誕生日をどう祝おうかとずっと考えていた
不動産やハイブランドに関心を持たなければおおよそのものは自分に買い与える事ができるようになった
しかし、25歳の誕生日にいつでも買うような化粧品やら服やらゲームやらを買うのは芸がない

なんでも手に入るとしたら私は何が欲しいか

身長である

宝塚歌劇団やインド映画やリーチマイケル選手に憧れている私は160cmという平均的な自らの身長を常々残念に思ってきた
コンプレックスというほどではないけれど、欲しいものを問われたら可愛い顔より断然、身長である

しかし、現在骨端線が閉じきった成人が身長をのばす手段はイリザロフ法という想像するだけで恐ろしいものしか存在しない
コストもリスクも現実的ではない
よって普段は全盛期コギャルも黙って頷くような厚底の靴を履いて生きている

何故、私は身長が欲しいのだろうか
そう、かっこよくなりたいのである

身長だけ高いダサい奴なんて掃いて捨てるほどいるし、その逆もまた然りであるというのに何故か身長が高いことがかっこよさの条件だと思っていたのだ
例えばアーミル・カーンは疑いようもなくかっこいい。男性としてはかなり低い163cmであるにも関わらず、その圧倒的な存在感は他の追随を許さない
20代前半の私にひどい言葉をかけて容姿コンプレックス沼に落としてきた奴らは177cmと168cm。高いやつと高くはないやつ
つまりかっこよさに身長は関係ないのだ
ちなみに前述の2人とも今年結婚したので、かっこよさと結婚できるかどうかも別である。結婚に不安を持ついろいろな人は安心して欲しい。冠婚葬祭に鞭の打てない善良な人間なのでおめでとうの言葉だけを送りたい

私は25歳の私にかっこよさをプレゼントしようと思う

小顔じゃないとショートカットは似合わないと雑誌や美容垢の言葉を後生大事に信じて髪を伸ばしてきたけれど、高校生以来のショートカットにしてみたらこれが思いの外似合った
背が低いと着こなせないと思っていたけれど、思い切って買ったパンツスーツも思いの外似合った
割とかっこいいと思う

あとは25歳の時にもらって驚くものがいいと思った
それもなかなか手に入らないものがいい

シックスパック以外はありえないと思った

私は基本的に筋肉が好きなのである
元々筋肉質なので実家に帰れば、自らの僧帽筋や胸筋を無視されるまで家族に自慢し続けている
ただし、運動とは無縁の生活を送っているから脂肪も多いし、自然につかないようなところに筋肉はない
筋肉に貴賎はないけれど、脂肪を落とし、筋肉をつけないと現れないシックスパック-割れた腹筋-は筋肉の中でも不屈の精神と不断の努力の象徴たる憧れの筋肉ではないだろうか

25歳を迎える朝、私の腹部はキリッと割れていたらいい

調べたところ、筋トレの効果が他の人に見えるまでには3ヶ月が目安らしい
まるで婚約指輪の値段のようである

という訳で今日は筋トレを始めて78日目である
今もプランクをしながらキーボードを打っている
1分でヒイヒイ言っていたのに今は気づけば2分を超すようになった
他人の目にもわかる筋肉がつくという三ヶ月も見えてきた
筋トレを面倒だと感じなくするためにはそう感じないくらい日常に落とし込むのがコツだと思う
思考が行動を作り、行動が習慣になる事で人生が変わってゆくと思う
お風呂だけは24年間、何度入っても面倒くさいなと感じるので誰か解決策を教えて欲しい(髪が早く乾くようになって軽減はされた
体感ではすでにかなり効果が出始めているので、25歳の誕生日、私がシックスパックホルダーになっているかまた報告させて欲しい

私は轟悠にはなれない。バーフバリにもなれない。もちろん、リーチマイケルにだって

でも、今日も眠るたびに私は強くカッコよくなってゆく
25歳の誕生日に間に合うかは分からないけれど、毎日続けて行けばいつかは自分なりに理想とする自分になれると思う
生まれつきかっこよくないのを悩む時代は終わった
誰かと比べるのではなく、今日の私より明日の私の方がかっこいい事をかっこいいと呼んで20代後半戦に向かってゆく


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