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宮島 奥の院〜青海苔浦

5/18
広島ではオリンピック聖火ランナーの日、コロナ禍でなければ今日は宮島スタートだったと聞き〜
登るなら今日が良いなーと、こっそり一人宮島へ。
大願寺で山登りの安全を祈願したら雨が降ってきた。
でも、大粒土砂降りでは無かったので、レインコートを着てそのまま、今日は大元コースから登り始める。


(大願寺前の龍神)

(大元公園の大元神社)


5年くらい前から、年に2回は登っているかな。
山を登っている時間は、自分の身体の感覚に敏感になるし、野性のカンみたいなのを取り戻す気がする。
それは大事な事だと思っている。

(橋を渡り山道へ。大元コース)

同時に、色んな思いが湧き出てくる。
私の場合は、今心の中で引っかかっている事。
そういうのも、登っていると浄化される気がするというか。
自分の中心に戻れる気がする。

今日は登り前半、先日、習っているチェロのレッスンで言われた事を考えていた。
技術をいくら練習しても、そのやり方が間違っていたら、何年経っても弾ける様にならない。
もっと多方面からアプローチして、沢山の経験を積む必要があると。

(大元コースは、もののけ姫の道みたいだとよく言われる)

途中で幸い、雨も上がった。
12時過ぎに大元公園に入り、今日は写真を撮ったり立ち止まりながらゆっくり歩いたけど、13時半には駒が林の岩の上へ。
弁当を食べる。
雲が速い流れで飛んでいくのは幻想的。
前日の仕事帰り、友人から「龍雲」と写真が送られてきたので、空の写真を撮りながら帰ったけれど〜
今日は龍雲が見られるどころか、天狗でも居そうな景色だった。




大聖院コースの仁王門に着く。
この後、いつもなら御山神社という、三女神の美しい神社にお参りして、気が向けば弥山山頂へ登り下山するのだけれど…

ふと、奥の院に行ってみたくなった。

(奥の院へ)

奥の院は、ずいぶん昔に途中まで行った事があるけれど、そこが奥の院だったのかよく分からないまま引き返した覚えがある。
以来、奥の院は避けていた。
もう10年くらい前か…奥の院から迷子になった女性の方がいて、2日間だったか、見つかるまでけっこう大規模な捜索があった記憶が。

宮島は標高はそれほど高い山では無いけれど、海抜0メートルから一気に登ることになるし、島の大部分が原始林。
必ずしも安全な山では無いと思う。

だから行かないようにしていたのに、
どうしてか、今日は奥の院に向かってしまった。
無事それらしきところに辿り着いたけれど、前と同じ感覚。
霊気が強くて冷んやりする。

(奥の院の菩薩像)

ここは苦手かもしれない、早く立ち去ろうと思っていると、ふと、横道にお堂があるのを見つけた。
綺麗なお堂。
横に地蔵が並んでいる。


お参りし、そっとお堂の扉を開けてみた。
少しドキドキする。
全く別の場所だけど、以前、人が滅多に訪ねそうにない山の中の神社の扉を開けかけると、一気にもやっとした空気が流れてきて慌てて閉めた事があったのだ。

このお堂は大丈夫だった。
澄んだ空気が流れて来た。
誰だか分からないけれど、導かれて来た気がしたので、
ここまで招いてくださってありがとう〜、と心の中で言う。
中に入るのはやめておいた。
中も特別な霊気を感じる。



元来た道を戻りかけたが、また山道を登ろうという気にならなかった。
多々良という下り道の看板がある。
この道で下山できるのだろうか。
登る前に歩いた町家通りで、島の年配の人達の立ち話が聞こえていた。
「今朝はタタラまで散歩してから来たんよ」
「そりゃ、よう歩いたね」
「ほうよ、2時間歩いたよ」

年配の人が歩けるなら、私も歩けるのでは?

そう思い、御山神社にお参り出来なかったのが心残りだったけれど、またリベンジすれば良いと、多々良行きの道を下り始めた。

ああ、ここが今日の間違いポイント。
コンクリートの舗装路で、奥の院からは下り道なのでこちらから下りたくなるけれど…
こちらは、わざわざ行こうと思う人以外はお勧めでは無いと思う。
家に帰ってから多々良を調べると、海岸だけど奥の院からかなり遠い。
上りだと思っても、弥山方面に戻って下山した方が近道だ。

川沿いの多々良行きの道を下りながら、
京都の貴船神社から駅まで歩いて下った道を思い出す。
道自体は、気持ち良い。




下っていると、標識を見つけた。
「青海苔浦」と矢印がある。
「浦」とあるから海岸に出るのかな。
時刻は午後3時。
駒が林まで1時間ちょっとで登るから、浦までの下りもそれくらいだろう、近道かもしれない〜
と、調べもせずに入ったのが間違いポイントの2番目。

この道こそ、入ってみれば早い時間から計画的に、出来れば一人ではなく道に慣れた人と行くべきだと思った。



そして、家に帰ってから調べると、まさに10年近く前に女性が奥の院から迷子になり捜索が出たルートの様だ。

ところどころ、ロープの張ってある急坂。
分かりやすい一本道、とは限らず、
木に貼ってある赤いテープを見つけながら進む。

(道は急坂。木が倒れていたりと、若干難所)

(天狗が座りそうな木だと思う。綺麗な写真が撮れた)

(ここは、先峠?!の右側へ)


「陶晴賢」の碑に行ける分かれ道を見つけたが、そのまま直進。
小さな川に出たら、川の反対に赤いテープがあるのを見つけて川を渡る。


綺麗なシダ道を通り抜けたりしながら、慎重に、わりと順調に進んだかと思っていたら、ある地点で赤いテープが見えなくなったのに気づく。
でも、少し前に赤いテープを見たので大きくは外れていないはず。
周りを見渡し、上の方に大きめの岩を見つけたので、岩からコースを眺めて探そうと思い岩まで登る。
岩の横をすり抜け越えたところで、また赤いテープを見つけ安堵。

目の前にまた新しい山が見えてきた。
もしかして、浦に出るのに山越えしなくては行けないのだろうか?と内心焦っていると
「岩船岳」と「青海苔浦」の矢印が書かれた手書きの札を見つけた。

「岳」とあれば山だろう。
さらに山を登るわけにはいかないと、振り返ると斜め後ろに別の道があり、そちらに「青海苔浦」と矢印があるのを見つけた。
(帰って調べると、岩船岳も登山家には秘かに知られているようだ。岩が船のように積んである不思議な場所らしい)

夕方4時。
早く下ろうと、青海苔浦行きの道に入る。
きっと海岸に出るのだろうけれど、どちらの方面の海岸に出るのだろう。



そう思ったけど、調べる気力が無かった。
奥の院から下り始めた時は、てっきり厳島神社側に出るものと思っていた。
けれど、歩いてみた方向感覚は、どう考えても本州から見て島の裏側だ。

分かれ道からの青海苔浦行きの道は、これも難所だった。
木がいくつも倒れている。
しばらく行くと、人一人の身幅より狭いシダ道があり、それを下ると雑木林に出た。
どう見ても、道らしき道が見えない。
赤いテープも見つからない。

これはコースアウトしたと思った。
けれど、時刻的に山道を戻る方が危ない。
海側に行く方が安全だろう。
Googleマップをつけると、近くに川があり、川が海に向かって流れていて、そこが青海苔浦というのだと分かった。



川の音を頼りに川を見つけ、流れの下り方面に歩き出すと、しばらくして山道を見つけた。
赤いテープもある。
広い道まで抜けて出た時には安堵した。



コンクリートの道に出たところで、脇道に「青海苔浦神社」と手書きの矢印があったので入ってみる。



海に出た!
立派な神社で感動!

(青海苔浦神社)

(動物の足跡がある)



さて、海岸をつたって帰れば良いと思ったけれど、海岸は岩岸で、歩ける道では無かった。
コンクリートの道に戻り、Googleマップをつけると、どうやらそれが包ヶ浦まで続いている事が分かった。
これを辿れば帰れるはず!

けれど、マップの経路によると青海苔浦から厳島神社まで13キロ、3時間弱とある。
時刻は17:14分。
気が遠くなる思いがした。
けれど、帰らなければ!



3時間もかけてられないと、歩いたり走ったり…。
この行程でさらに走っている私、鉄人かと自分で突っ込みたくなる。

(シラサギかな?!)

1時間以上歩くと突然、大きな鉄門で閉ざされた。
え?!
鉄門をよじ登ってみたが、反対側に降りるのに、どうにも足が届かない。
どうしようかとあたりを見ると、海岸側に崖を少し下れば鉄門の向こうに通り抜けられそうだった。
無事、鉄門向こうの舗装路に戻る。
包が浦まで8.5キロと標識がある。
もう道が閉ざされません様に!



途中、海岸で二つの小さな神社をお参りした。

宮島の外回りには、七浦あるとか。
船のある知人に、いつか七浦巡りに連れて行ってもらいたいと思っている。
けれど、歩いてお参りした人は、そんなに多くは無いだろうと、綺麗な景色を見ながら思う。

(腰細浦神社)

(龍雲だと自分で思えばそうだと聞いたので撮ってみた雲)

(鷹巣浦神社)


海岸を見下ろしながら歩く舗装路は、とても美しかった。
けれど、時刻が時刻だけに、心細くもあった。
何とか暗くなる前に包ヶ浦までは戻りたい。
包ヶ浦まで行けば、そこから桟橋までは何度か歩いたことがあるので大丈夫だ。

途中、ブヒブヒと動物の鼻を鳴らす音が聞こえる。
もしや?と思っていると、林の中を駆ける音がして、道路の先にイノシシの親子が現れた。
イノシシ!!!
薄暗くなっていたがこちらを見ている。
目が合う。
どうしよう!
と思ったらイノシシ親子が林の中に逃げてくれた。
助かった!
舗装路だからといって安全では無い事が分かった。



時々鹿にも会った。
鹿も逃げてくれたからホッとした。
実は登山口のある大元公園に入った時、沢山の鹿が餌をねだりについて来たから怖かったのだ。
この道まで、今日は一人も出会わなかった。
鹿も食べ物に飢えているのだ。

2時間歩いた夜の7時。
Googleマップを開くと桟橋まであと1時間とある。
夜8時の船には乗りたい。
急いでいると、頭の中が遠のく気がした。
幻想的な道は、現実の世界を歩いているのか、夢の中を歩いているのか分からない気がしてきた。



私は夜の夢の中でもしょっちゅう山の中や神社や海を旅している。
それも、かなりリアルに。

夜の7時半近く、無事、包ヶ浦へ到着。
笛の音が聞こえる。
池でカエルも鳴いている。
ネットボトルと水筒2本の中身はほとんど飲み干していた。
自販機が販売中で命拾いする。

(包ヶ浦はキャンプ場&海水浴場)

平地になると、頭もシャンとしてきた。
夜8時15分の船で帰宅。

(包ヶ浦から海岸を歩く)

(長浜神社の鳥居。月も出てきた)

無事帰ることが出来て本当にホッとした!
うちの人に無事で良かったと、喜んでほしい位だったけれど。
自分で自分に、
(おかえり、よく無事に帰ってきた)
と心の中で言う。

今日の行程は自分の意思というより、見えない何かに連れて行かれる様な感覚だった。
行程8時間か。
危険な箇所もあったので人には勧められないけれど、本当に美しい道のりで貴重な体験。

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