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短歌 2022春夏

せっかくなので今まで書いた短歌の中でお気に入りのものを並べておく。
ただ並べるだけなのも惜しいので、何首かずつまとめて題をつけて再編してみる。
行くぜっ。




《シュー・クローゼット》
ちょっとしたパーティずっと待ってるの 靴箱で7センチヒール光る

赤い靴脱げなくなって呪われたい 可哀想っておもってくれる?

新しい服買うことと春までは生きようと思うこととは同じ

ひだりからくつひもむすべば空とんで ぼくはじくうをこえるユニコーン



《リプトン》
「今ウチらガチで『マックのJK』じゃんって思われてんじゃね」「ね」「ね、ウケる」

2Aの最前列の窓際に一生いてね ここから見てる

裏門の自転車置き場の横の花壇 アイツの飲み差しリプトン拾う

「また会えるよう忘れ物してくのよ」 ママから聞いた掟をまもる

あなただけもう夏服で走ってて あたしはほつれた毛玉をちぎる


《夕立》
「日曜の昼はカレーって決めてるの」コップから水したたって夏

冷蔵庫にアイスクリーム入れておきゆるやかな死と名付けるあそび

逃げ込んでコンビニで買う傘さえも愛しい
雨よ永遠に降れ

夕立の中にありおりいまそかり 今日が地球の最後の日です

もう地球滅亡するってのにさ愛の言葉のひとつもないの

ひそやかにゆるりと溶ける冷蔵庫のアイスのようにぼくも死にたい


《あることないこと》 
一日中あることないこと言いあって泣くほど笑って全部わすれた

笑う時ほんとに「あはは」って声でそれからはもう全部まぶしい

日陰だけ伝って生き残るゲーム ソフトクリームなんていつぶり

冗談でなら言えるのに冗談は冗談だからはじけてきえた

本当のことだけ足りない青い空 ぼくらの上に天使が通る




まとめなおすと自分の好きなモチーフが見えてきて面白い。

《シュー・クローゼット》靴のことこんなに詠んでるとは思ってなかったけど、意外とあったのでまとめてみた。そんなに靴持ってる訳じゃないのに。足元って気分出やすいからテーマにしやすいのかも。

《リプトン》高校生活へのノスタルジー。当時好きだった人がいつも紙パック500mlのリプトンレモンティー(時々ピーチティー)を飲んでた。高校の時ってみんな紙パック飲んでたよね〜。

《夕立》の章は、夕立の短歌だけ書き足した。
なんとなく夏っぽい他5首をまとめるのに夕立の歌がここにあるといいな〜と思って書いてみた。
そういや、こないだまさしく夕立に降られてべしょべしょになって走ったけど割と楽しかったな、自然の前に人間は無力だ〜と思いながら5分くらい大雨の中走った。

《あることないこと》これはある1日についての連作。会話の合間の不意な沈黙を「天使が通る」ってどこかの国のことわざで言うらしくて、しゃれてるよね。


全体的に夏っぽい短歌が集まった。夏、好きだからポジティブな感じがするものが多いね。秋冬自分がどんな短歌を作っていけるか楽しみ。



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