沖縄伝統の簪
沖縄には“ジーファー”という伝統的な簪がある。
琉球王朝時代から使われ始めたとされている“ジーファー”は、性別によって形状が異なり、身分によって素材が違った。
高い身分の人々は金銀など貴金属素材の“ジーファー”を使い、平民たちは真鍮(しんちゅう)や木で作られたものを使っていたのだ。
女性用の“ジーファー”はまるでパフェ用スプーンのような形状をしているが、軸の先端は鋭利になっている。
この女性用“ジーファー”は女性の立ち姿を表しているとされており、現代でも沖縄では琉装(りゅうそう:沖縄の伝統衣装)を着用して伝統的な舞踊を踊る際、まとめ上げた髪に挿して使われるもの。
一方で、男性用“ジーファー”は装飾部分が満開になった花のような形をしており、女性用とはかなり見た目が違う。
この“ジーファー”は護身用の武器として使われることが多かったほかに、火災が発生した際、髪に挿していた“ジーファー”を投げ入れたら鎮火した、というなんとも神秘的な逸話がある。
沖縄の人々にとって、“ジーファー”はとても貴重で大切な伝統工芸品であり、専門の職人さん一族のみが作っているのが現状。
“ジーファー”は現在ではかなり貴重な簪であるため、現地に行っても気軽に買えるものではない。
それほどに“ジーファー”は沖縄県民の誇りともいえる存在でもある。
歌手の安室奈美恵氏は県民栄誉賞を受賞した際に、“ジーファー”も贈られたのだが、その“ジーファー”も唯一残っている専門の職人さんが作られたお品で、かなり貴重な簪といえるだろう。
私も“ジーファー”の魅力や逸話、そして沖縄県民から愛されている様子を知り、とても欲しくなったのだ。
とてもありがたいことに、琉装や三味線などを取り扱う専門店とご縁が出来て、純銀製の“ジーファー”を購入することが叶った。
銀はもともと魔除け効果もあり、“ジーファー”には神秘的なパワーが込められているため、髪を飾るだけではなくお守りとして、“ジーファー”を迎えたかったのだ。
念願の“ジーファー”は銀製であるため重みがあり、きちんと高く結った髪でないと、普通に挿してもスルッと抜け落ちてしまう。
でも私のもとへ来てくれた“ジーファー”は、シンプルな形状も美しいし、琉球の大自然のパワーをもらえるような気がした。
そして現在では枕元に“ジーファー”を置き、護身用などのお守りとして愛用している。
もちろん髪に挿して出掛けることもあるため、様々な簪を収集している私も、すっかり“ジーファー”に魅了されていた。
私は“ジーファー”を大事にすることは、沖縄の方々の伝統美を愛することにも繋がると考えているので、より愛おしく感じている。
あなたもぜひ“ジーファー”が欲しくなり、無事にお迎えすることが出来たら、大切に使って愛してほしいと願う。
そして沖縄の方々、職人さんにも感謝の気持ちを送るようにしよう!
“ジーファー”は沖縄独自の伝統的な簪でもあるため、決して粗末に扱わないようにすべき。
やっぱり“ジーファー”自体が神秘的な存在なので、簪にも沖縄の方々にも敬意を持つのが正しいことだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?