今日のアウトテイク#143「デジタルノマドが自国民にもたらす経済的不利益にどう対応するか」ほか【メンバーシップ特典】(2024-04-09)

<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ、殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」

※noteメンバーシップ「Beyond the Coworking 〜移働の時代〜」に参加いただくと有料記事も全文読めます。初月度無料です。

無料と有料、分けるの案外むずかしい。


#今日のBGM

#今日のコトバ

"旅はいつも楽しいわけではない。
いつも快適とも限らない。
時には辛いこともあるし、君の心を傷つけることさえある。
でも、それでいいんだ。
旅は君を変える。
変えるはずだ。"
(アンソニー・ボーデイン)

#Twitter (X)、おかしい

数日前から、Twitter(X)に1秒だけの動画と通常の長さの動画を2つ並べて投稿してくるのがうじゃうじゃと現れた。
あ、スマホの話。
これが鬱陶しい。どうも再生回数稼ぎらしい。
どっか他所でやってくれんかな。

と思ってたら、今度は、その動画が自動的に再生しなくなった。
画面の中央でクルクル回るだけ。
こんな感じ。

アプリのバージョンか設定に原因があるらしいけれど、動画が見られなくても別に困らんな、と思い始めている。

デジタルデトックスする、いい機会かな。

#ちらっとだけ予告

5月の末頃、コワーキングのイベントが東の方の町である。
詳細は来週明らかに。
以上、ちらっとだけ。

#同じ本を買ってしまう理由

社会学者の岸政彦さんが芥川賞作家の柴崎友香さんとの共著で2021年に出された『大阪』が、文庫版で出た。

単行本では持ってたので(右)、いつもならスルーするのだけれど、文庫化に際しておふたりとも「書き下ろしを一編ずつ収録」なんていうもんだから、それが読みたくてやっぱり買った。まんまと出版社の思うツボ。

でも、それだけの価値あるよ、この本は。

これは大阪に来た人(=岸政彦)と大阪を出た人(=柴崎友香)が書いたエッセイが交互に綴られる構成。かといって、いちいち対比していないで、それぞれが大阪について書きたいことを書いてる。そこがいい。

文庫版の裏表紙にこうある。

「大阪」を書くことで、いま街の中で生きる自分の人生を書くーー90年代から2010年代に至るまでの時代と人の呼吸を活写した、「大阪へ来た人」と「大阪を出た人」による初共著エッセイ。かつていた場所と、いまいる場所が「私」を通して交差する。

エッセイは個人的なことを書くのを旨とするから、あくまで「私」が書かれなければいけない。そこに共通のテーマ「大阪」を持ってきて、このおふたりを指名したのは企画の勝利と言っていいと思う。

ところで、カバーの小川雅章さんの絵がとてもいい味を出しているのだけれど、単行本のほうには前後の見返しにも見開きの絵が載ってる。裏表紙にも違う絵がある。これがまたジワる。(あえて画像は貼らない)

「大阪」らしいといえばらしいのだが、もっと広く「関西」を感じる。かといって、いわゆるコテコテの大阪、関西、ではない。言ってみれば、誰にでも見覚えのある、かつての日本の街、下町、の小さな風景が記憶の奥底をくすぐる。

で、これが文庫版には、残念ながら、ない。
だから、両方、買っといてね、ということかな。

**********

ここから先は、有料コンテンツになります。

この記事単品を300円で購入、あるいは、初月度無料のnoteメンバーシップ「Beyond the Coworking 〜移働の時代〜」に参加してお読みください。

メンバーシップに参加いただくと、すべての有料記事を、過去の記事も含めて全文読めます。

「今日のアウトテイク」には、月に15〜20本ぐらい、1本300円の有料記事がありますが、それが月1,000円のコースで全記事読めるのでかなりお得です。

2,000円のコースは月に一回開催している、オンラインのトークイベントにも参加いただけます。

メンバーシップは<初月度無料>なので、参加いただいだ最初の月は無料です。月末までに解約すれば費用はかかりませんので、お気軽に試してみてください。

**********

#デジタルノマドが自国民にもたらす経済的不利益にどう対応するか

スペインには2013年から、50万ユーロ(541,250ドル)以上の不動産を購入する非EU投資家に居住権を与える「ゴールデンビザ」というプログラムがあった。それが終わる。

このプログラムは多額の外国投資を集めたが、「現地の不動産価格をつり上げ、富裕層に不釣り合いな利益をもたらし、実質的な経済的利益をもたらしていないという批判に直面してきた 」。あれ、どこかで聞いた話。

これだ。ポルトガルではデジタルノマドビザを発給したせいで、賃金の中央値よりもはるかに高い賃金を得ている労働者の割合が増加し、食料品の価格から住宅費まで、あらゆるものに影響を及ぼしている。

で、ポルトガルでも外国人が不動産を購入すれば居住を許可する「ゴールデンビザ」があったけれども、一部を閉鎖した。ただ、その影響はまだこの国の住宅市場に波及していて、リスボンやポルトで働く一般的な人々の給料を大幅に上回る家賃が、街全体でまかり通っている。

当然、給与を上回る家賃なんて払えるわけがないから、複(副)業するか、逃げ出すかの選択肢に迫られる。実際、この1月、ポルトガルの移民観測所によると、ポルトガルの15歳から39歳の30%が国外に出たと報じられている。30%ってなにそれ!

ところでヨーロッパには、世界に先駆けて起こることが、結構、ある。デジタルノマドビザも、いち早く発給しだしたのは確かヨーロッパだ(ったはず)。それだけ、世界の動静を見る目が肥えている。

それに多様性を重んじるからだろうか、我々日本人の感覚からすると意思決定が早いように思える。もちろん、国ごとにそれぞれ利害関係はあるけれども、四の五の言ってないで、さっさとやる気風、文化がしっかり根を張っている。で、ダメならいったんやめて、修正してまた違う方策を考えて動く。「早く失敗しろ」という、あれ。

今回の「ゴールデンビザ」もそういう流れになるのだろう。ヨーロッパには「ゴールデンビザ」を発給している国は他にもあるそうだから、ポルトガルやスペインの顛末を教訓として、各国が方向修正する公算は大きい。

一方、他国に遅れてデジタルノマドビザを発給し始めたばかりの日本は、この転換をどう見るのか。見てないかもしれないが。ぼくはこのニュースを読んで、それをまず考えた。

なにしろ、日本は一度決めたことは絶対に変えない、変えたくないというおかしな伝統がある上に、何か決まっても、もしうまくいかなかったら誰が責任取るんだ、みたいな不毛なことを言い出すやつがいるから、日本は何をやるにしても遅い。

とりあえずやってみて、今回のポルトガルやスペインみたいに、やる前には思いもしなかった事態に遭遇したら(遭遇することは想定しておいて)、その解決策に知恵を出し合って、またそれを試す、この繰り返しでいい。

日本はやたら完成形を求めるきらいがあるけれど、こういうことに完成なんかない。世の中の変化とともにルールや方法を変えながら継続する。だから、ずーっと進行形。それでいい。その進行形に付き合い続けることがキモ。

そういう割り切りが必要だと思う。これ、国とか行政とかに限らず、国民もそう。もっとはっきり言うと、「なんとかなる」と腹をくくって流れに乗る、もしくは流れを作る。で、実際、なんとかなる。我々日本人、もう長いこと、なんとかやってきたんだから。

ただ、その前に、デジタルノマドが自国にどんな変化をもたらすのか、で、その中には自国民の不利益になることもあるいは潜んでいるのではないか。そういうことに考えを巡らしておいたほうがいいかと思う。

まさか不動産がバカ高くなって、日本人が家賃を払えなくなって気づいたらみんな町を出ていった、なんてことにならないよう。

ということで、今日はこのへんで。


ここから先は

0字

最後までお読みいただき有難うございます! この記事がお役に立ちましたらウレシイです。 いただいたサポートは今後の活動に活用させていただきます。