今日のアウトテイク#131「デジタルノマドが自国民に及ぼす経済的弊害」ほか【メンバーシップ特典】(2024-03-28)

<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ
・投稿せずに、いや、やっぱりやめておこう、と思った殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・要するに「伊藤の現在地点」

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何事にもいい面と悪い面がある。


#今日のBGM

#今日のコトバ

"君にできる最も価値あることはミスをすること。
完璧であろうとすると何も学べない。"
(アダム・オズボーン)

Learn from those valuable lessons.

Posted by Entrepreneur on Tuesday, March 26, 2024

#コワーキングツアーが満8歳に

8年前の今日、3月28日、「コワーキングツアー」がはじまった。これは、その第1回目の告知ページ。ナツカシイ。

告知文に、その目的を書いている。

コワーキングツアーは、日頃、あまり行ったことのない地方のコワーキングスペースに何人かでおじゃまするカツドウです。

仕事したり、イベントに参加したり、あるいは開催したり、ついでに呑み会開いてコワーキング仲間になる、ついでに、コワーキングスペースもつなぎたい、というのがその趣旨です。

基本的に月一回。近場なら1日で、遠方は3〜5日かけて廻ってみたいと思います。原則、現地集合、現地解散、途中参加・離脱OK、です。

ここにあるように、ぼくはこのカツドウで、コワーキング同士をつなげることを考えていた。非常に地味で地道だが、参加者たちも知らない土地のコワーキングに行って話すのが楽しそうで、このツアーのお陰で、ぼくも日本中にコワーキング仲間ができた。

これまでに、国内、海外合わせて127箇所のコワーキングを訪ねた。今冬はお休みしてたが、先日も書いたようび4月にはどこかへ行くつもり。追って告知します。

最初の行き先に選んだのは福岡県。参加費はなし。各自、自律的にスケジュールを調整し、汽車やヒコーキのチケットを買い、宿を予約して、現場にやってきた。

はじめてだけにどういうスケジュールで動けるのか、皆目判っていなかったが、2日間で5軒も回ったみたい。きっと、落ち着いて話もできなかったんではないだろうか。

…と思いきや、そういえばこのとき、さるウェブサイトにツアーリポートのコーナーを持っていたから、実は、しっかりインタビューして記事も書いてた。(残念ながら、そのサイトはクローズしてしまった)

当時はまだコワーキングもそう多くはなかったので、手当たり次第にアポを取って、OKもらったところにおじゃましていた。ただし、ドロップインのあるところだけ。会員だけというところには、アポがあるとはいえ、通りがかりのツアーメンバーとしては行かないことにしていた(それは、今でもそう)。

小倉の「秘密基地」の岡さん兄弟とはそれ以来お付き合いさせてもらってるし、博多の「天神仕事基地」の当時代表だった大久保さんはコワーキング協同組合の理事にもなってもらってる。有難い話。このカツドウがあればこそ、そうした人間関係ができる。

コロナ禍を経験してリモートワークが常態化したけれども、やっぱりリアルに会って話すほうが生身の人間には具合がいい。そのリアルな体験一つで、その後、しばらく会わなくても、オンラインで十分意思疎通できる。まずは会うこと。

だから、もっと移働しよう。
移働して、もっとローカルコワーキングを使おう。
そして、たくさん仲間を作ろう。

#タイは国策としてデジタルノマドを誘致する

タイがタイで働く外国人AI専門家を呼び込むため、特別ビザを発給する。デジタルノマドビザとは言っていないが、ほぼそれに近い。

タイでは人工知能関連の仕事に従事する専門家が10万人ほど必要だが、現在タイには21,000人ほどのAI専門家しかいないという。

プラサート・チャンタラルアントン・デジタル経済社会相は月曜日のセミナーで、同省がタイ投資委員会(BOI)と協力して「グローバル・デジタル・タレント・ビザ」構想を策定すると発表した。BOIがビザの詳細を決定した後、同省はこのプログラムを実施するために内閣の承認を求める予定。

重要なポイントは、ビザ発給の対象を「AI専門家」に限定しているところ。いわゆるデジタルノマドビザを発給する国は、現在、60カ国ほどあるが、特にSTEAM(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、アート、数学)の分野で優秀な人材を誘致する国もある。

それは彼らが自国のローカルワーカーとコラボすることで「知の再結合」が起こることを期待しているからだ。

しかし、タイの場合、「自国におけるAI開発」という極めて明確な意図のもとにビザを発給する。←ここが大事。

要するに、「自国に技術者が足りないのなら、外からやってきたワーカーに自国のために働いてもらおう」ということ。つまり、お客様ではなくて労働力として遇する。ここが、単に観光客目線でノマドを見ている日本と違う。

同省はEUの新しい人工知能法を研究し、タイのデジタル経済を後押しし、タイを地域のデジタルハブにするために、AI開発に関するガイドラインを利用する予定だと付け加えた。

政府はまた、スレッタ・タビシン首相が率いる国家AI委員会の下に小委員会を設置する。

同小委員会はAI政策の実施を担当するため、タイはデータセンター、クラウドセンター、高性能コンピュータの建設など、AIインフラへの投資に関する明確な運営計画を持つことになる。

しかも、タイのAI産業においては、タイ語モデルの開発にも優先的に取り組むらしい。あきらかに、「AIインフラ投資へのインセンティブを提供することで、大企業を誘致し、デジタルハブになるという国の野心を強化することを期待している 」。そういうレベルでデジタルノマドを呼び込んでこそ、国だ。

要するに、国策としてデジタルノマドを誘致する。これぐらいのガチに思い切った制度設計しないと、他国に先んじて有能な人材は呼び込めないという判断だろう。正しいと思う。で、このあとも続々と生まれるデジタルノマドビザ発給国の中で、日本の存在感はますますなくなるのではないか、と危惧する。

タイはまだデジタルノマドビザは発給していないが、この特別ビザがその試金石になる可能性は高い。日本も、もっと対象を絞り込んだ、そしてその対象ごとに発給条件を細かく設定するべきではないかと思う。

そしてそれは、単に仕事しながら旅する人のことではなくて、これからの世界の中で日本をどう位置づけどんな価値を生み生き残るかという、根本的な課題解決に直結する、という意識がほしい。

ところで、そのデジタルノマドビザが、ポルトガルで新たな火種になっている。

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「デジタルノマドが自国民に及ぼす経済的弊害」

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#デジタルノマドが自国民に及ぼす経済的弊害

ノマドがやってきたせいで起こった物価高に地元住民が悲鳴を上げている。なんとまあ。

ポルトガルは近年、高収入の外国人の効果的なリクルート活動を展開しており、高収入のワーカーにはデジタルノマドビザを発給している。当然、若くて高収入の労働者を呼び込むという点で、この作戦は大成功を収めている。

パンデミックとその後のリモートワークのトレンドは、デジタルノマドの爆発的な増加をもたらし、彼らはポルトガルのリスボンとポルトに集まった。リスボンには、昨年約16,000人のデジタルノマドが滞在したというからスゴイ。

これがしかし、地元住民に予期せぬ結果を招いている。生活費の高騰により、多くの地元住民は複数の仕事を掛け持ちするか、より良い機会を求めて移住せざるを得なくなっている、という。

ポルトガルでは、賃金の中央値よりもはるかに高い賃金を得ている労働者の割合が増加しており、食料品の価格から住宅費まで、あらゆるものに影響を及ぼしている。

リスボンやポルトのようなハブ都市では、宿泊施設は特に手が届かなくなり、政府が介入する事態となっている。

ポルトガルは、外国人が不動産を購入すればポルトガルでの居住を許可していた「ゴールデン・ビザ・プログラム」があった。これの一部を閉鎖したが、その影響はまだこの国の住宅市場に波及しているらしい。

実際、11月のデータでは、ポルトガルの首都リスボンの住宅価格は過去5年間で30%上昇し、ミラノ、マドリード、ベルリンを上回っている。

一方、高収入のデジタル・ワーカーの割合が増えたことで、リスボンやポルトで働く一般的な人々の給料を大幅に上回る家賃が、街全体で上昇している。

給与を上回る家賃なんて払えるわけがない。当然、複(副)業するか、逃げ出すかの選択肢に迫られる。

実際、この1月、ポルトガルの移民観測所によると、ポルトガルの15歳から39歳の30%が国外に出たと報じられている。30%!

国外に逃れるという感覚が、我々、島国の住民にはピンと来ないけれど、それだけ切羽詰まった状況をデジタルノマドが引き起こしていることは事実のようだ。

政府も手をこまねいていたわけではなく、

外国人労働者は給与が高いだけでなく、非居住者(NHR)制度などの税制優遇措置も利用できるため、居住者と非居住者の間で手取り給与に大きな開きが生じていた。国は昨年、この抜け穴を閉鎖する方向に動いた。

税制の優遇措置は、結構、ノマドの気を惹く。彼らはどこにいても仕事できるのだから、滞在費と税金を節約できる国に行きたがるのは当然。ただ、やりすぎると、こんな風に自国住民が生活できなくなり、紛争を巻き起こす。まったく本末転倒だ。

聞くところによると、デジタルノマドに人気のあるスペインの不動産市場でも、同様の事態が起こってるらしい。

以前、確か、中南米のどこかで、歴史ある町の文化が破壊されることを恐れて、「デジタルノマドは出ていけ」というプラカードが町中に掲げられた、ということはあったが、こういう経済的な話は今まで聞こえてこなかった。

デジタルノマドを誘致する場合、それが引き金となって起こり得る弊害と、新たに生まれる経済的効果を天秤にかけてプランする必要が、すでにあるということ。これはただ、彼らの消費に期待するというカンタンな話ではないと思う。

日本には、先行する諸外国の事案から学んで制度設計することが望まれる。

ということで、今日はこのへんで。

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