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デジタルノマドがイタリアの人里離れた小さな村に自らデジタルノマド・コミュニテイを起ち上げた話

この2年の雌伏期間を経て、デジタルノマドの活動がまた活発になってきている。

デジタルノマドは世界各地の自分の行きたいところに赴いてしばらく滞在し、その地での生活を愉しみながら仕事もするリモートワークのエキスパートだ。

ただし、ここへ来てただ目的地を移動するだけではなく、自分たちが気に入るような滞在地を自分たちで作る、というフェーズに進む人たちも現れた。

つまり、デジタルノマドの方法論が進化しているということ。あらかじめお膳立てされた数日の旅程をこなすだけのどこぞの国のワーケーションとは発想が違う。与えられるのではなくて、自ら生み出す。

舞台は人口5,000人の小さな村

先ごろ、数人のデジタルノマドが風光明媚な田園風景に囲まれた小さな村トゥルシに、イタリア初のデジタルノマドのコミュニティを立ち上げた。

で、それはどこかというと、ここ。

トゥルシは、イタリアのバジリカータ州マテーラ県にある、人口約5,000人の自治体だ。ちなみにノマドにとって人口の多寡は問題ではない。むしろ人との関わりを密にできる規模のほうが好まれる傾向にある。

(余談:だいたい、SNSがこの世に登場してからやたらとオンラインだけの「友だち」が増えて皆気疲れするようになった。その反動でよりリアルな人間関係を求めているのではないかと思う。生身の人間が普通に他人と付き合えるのは150人が限界というロビン・ダンバーの説もうなずける。)

トゥルシのコワーキングスペースは地元のTursi Digital Nomadsという団体が提供している。こういう名称の団体が人口5,000人のローカルにちゃんとあるということにまず注目したい。

ところで、そのコワーキングは、なんと16世紀の修道院の中にある。以前、ベネツィアのデジタルノマド支援策のことを書いたが、それも歴史的建造物を保存するNPO(財団法人)が地元大学と共に展開している。

それと人口数千人の村といえば、8,200人のマデイラ島のポンタ・ド・ソル村がデジタルノマドビザを発行したのも記憶に新しい。

また、古くても手を入れれば立派に使えるものを再利用してコワーキングにすることは、町の再活性化にもつながる。そのことはここでも書いた。

日本でも寺や神社の一部がコワーキングになっている例があるが、古い村で既存の施設を改装なり改造なりしてデジタルノマドライフを愉しむのは大いにアリだと思う。

そこに地元の自治体や団体が関わることも大事ではなかろうか。ぼくは官民協働型のコワーキングが、役割分担するという意味で、ローカルには望ましいと考えているが、町の姿を維持する(サステナブル)という意味でもそういう取り組みがもっとあって良いのではないかと考えている。

モノを言うのは「村の臨場感」と「フレンドリーな地域コミュニティ」

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