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また先を行く台湾のデジタルノマド誘致:今日のアウトテイク#247(2024-07-22)

<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・いずれKindle本にまとめる予定


#今日のBGM

#今日のコトバ

"成功とは、情熱を失わずに失敗を繰り返した結果のことだ。"
(ウィンストン・チャーチル)

Never lose your fire! #qotd

Posted by Entrepreneur on Monday, July 22, 2024

#オフィスに連れ戻した結果、従業員エンゲージメントはゼロに

コンピュータ大手のデルは、「Tell Dell」として知られる従業員エンゲージメント調査を毎年実施しているが、今回、衝撃的なスコアが出た。

パンデミック以後、同社はこの2月にオフィスでの勤務を義務付けるRTO(Return to Office)を導入し、スタッフにリモートワーカーまたはハイブリッドワーカーであることを義務づけた。これが原因で、従業員満足度のスコア(eNPS) が大幅に低下した。

RTOについては、こちらにも書いた。

eNPSとは、デルが良い職場であると答えた従業員の割合から、そうでないと答えた従業員の割合を引いたもので、今年はそのスコアが 62から48 に低下した。さらにいくつかの小さな部署では、スコアはゼロに近いか、あるいはゼロ(!)であったと報告している。これは約98,000人の従業員からの回答に基づいている。なんとまあ。

実はデルは2020年に、従業員の60%がリモートワークを続けるか、もしくは毎週2日までは直接会って仕事をすることを期待している、としていた。にも関わらず今年2月、従業員に対し四半期に少なくとも39日、つまり週に約3日、直接会って仕事をすることを義務付け始めた。つまり、前言撤回だ。

ハイブリッド従業員のオフィスへの出勤は、入出時の社員カードのスワイプと、 VPNのモニタリングによって追跡しているというから念が入っている(まあ、テクノロジー企業だから当然でしょうが)。

さらに驚いたことに、「リモートワークを選択した従業員は昇進する資格を失い、職務を変更することもできない」という。それはヒドイ。まるで奴隷ではないか。

なお、別のリポートによると、「デルの主要オフィスの近くに住んでいるチームメンバー全体の70%近くが、ハイブリッドな役割を選択した」。

デルは地理的に分断されたチームを編成しているため、選択の余地はなかったと言う人が多い。彼らは州を移るか、承認された17のオフィスのひとつに行くために何時間も通勤しなければならなかっただろう。

こうなってくると、どこまで会社の言いなりになるのか、時間の問題ではないかしらね。ある従業員は、デルの幹部が「Tell Dell」の結果を真剣に受け止めていないと感じたと言ってるし、デルを「クソみたいな会社」と表現した社員もいるらしいから、事態は穏やかではない。

ちなみにアメリカでは、労働者のほぼ50%がリモートを選択している。また、従業員に完全な対面勤務を義務付けているのは、4月の時点で、わずか18%に過ぎない。この数字が今後どんどん下がるのは確実だ。

ところが、それでもデルのeNPSスコアは業界平均を大きく上回っているという。そういえば、Google、Amazon、Metaなど、他のテック大手もRTOポリシーを強化している。闇は深そう、というか、深くなっていきそう。

「リーダーシップが私たちのフィードバックを気にしているとは思えません。 彼らはただ、自分たちが望む方向に漕ぎ続けるだけだ」と別の社員は言う。

こういう不信感が会社と従業員の間に溝を作る。リモートワークやハイブリッドワークは社員の要求ではない。時代の要請なのだ。

いまどき、わざわざオフィスに通勤しなくとも、コワーキングを、それも生活圏内のコワーキングを利用すれば仕事はできる。

そこを理解しない、あるいは、理解できない時代遅れな経営者はもはや経営者として失格ではないかしらね。

#また先を行く台湾のデジタルノマド誘致

ごく簡単に台湾のデジタルノマド誘致の話を共有しておく。

台湾は、数千人のデジタルノマドを誘致するため、最長180日間の滞在と就労を許可する特別ビザを提供する計画を立てている。

台湾は新しいデジタルノマドビザ案を検討しており、彼らが台湾での生活を経験した後に滞在することを望んでいる、と国家発展委員会(NDC)が木曜日に述べた。

「彼らは観光客や消費者として台湾に貢献することができ、台湾での生活に魅力を感じれば、おそらく長期滞在を希望し、地元企業の原動力となるかもしれない」とNDCの責任者は語った。

ここ、非常に大事なので太字にしておいた。滞在期間が長ければ、デジタルノマドとローカルワーカーが協働、協業、共創する機会が生まれる可能性が高くなる。それを政府は期待している。

外から来る者と内にいる者とがコラボすることで新しい価値を生む、例の「知の再結合」を想定しているのは間違いない。そして、その舞台となるのがコワーキングだ。

NDCは、10万人のデジタルノマドを誘致し、少なくとも1万人が台湾に長期滞在することを望んでいる。ちなみに、パンデミックの後、デジタルノマドの数は世界で約3,500万人に増加したとされる。

今回の案では、台湾で180日間までリモートワークが可能になる。法改正は必要ないため、外務省とのやり取りが終わり次第、ビザの変更を実施することができるらしい。このスピード感は日本も見習いたい。無理か。

で、ここ、すごい大事。台湾はデジタルノマドに台湾国内で仕事することを許している。一方、日本はNG。まあ、多くの国がNGなのだが、そこを突破して、一歩、先んじようとしている。それが、「知の再結合」を生むことを知っているからだ。

で、さらに重要なことがサラッと書いてある。

また、同担当者は、180日を超える外国人労働者の滞在を支援するための措置について他の機関と協議し、地方自治体にも独自の提案を行うよう働きかけると付け加えた。

つまり、都市圏だけではこうした取り組みはうまくいかないことを彼らはよ〜く理解している。

デジタルノマドが居場所として好む(選ぶ)のは大都市ではない、地方の小さな町だ。その国のトラディショナルな文化が残っている地域に非日常の体験を期待する。

都会の便利さよりも、ローカルの不便さのほうが彼らの人生で重要な価値を持つ。都会はどこの国でも平準化されてほぼ同じで「そこならでは」なものが味わえない。それでは、わざわざ異国にいる意味がない。

だから、地方がいかにデジタルノマドを受け入れるかが、こうしたプログラムの成否を分ける。そこんとこ、日本の地方自治体は理解しているのかどうか心配。してないだろうなぁ。

NDCは、より多くの外国人専門家を誘致するため、永住権の資格を含む現行の規制を緩和する「外国人専門家の募集及び雇用に関する法律」の改正を提案している。

法律を変えてまで、外国人の「専門家」、つまり有能な人材を引き寄せようとしている。それだけ危機感を抱いているということだろう。

日本も労働人口がどんどん減っていく。ナレッジワーカーの誘致は必然だと思うのだが、そのために整備しなければならないことが山ほどある。観光業界に丸投げしてるようでは、この国の将来が思いやられるのだが、政府は判ってるんでしょうかね。

ということで、今日はこのへんで。

(カバー画像:Kaizer Bienes


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