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怪談・笑うピアノ|短編小説

 青鳥学園には、「笑うピアノ」という七不思議が存在する。
 筋はこうだ。昔の青鳥学園にエミコという女子学生が在籍していた。とても気質の良い明るい子で、先生に急な頼まれごとを任されても、テストで悪い点をとっても、エミコはいつも笑っていたらしい。そんなエミコは学年では大層な人気者だった。
 しかし、それをよく思わない生徒がいた。その生徒はいつも笑っていたエミコをどうにかして悲しませようとあれこれ手を回したが、何をしてもエミコはずっと笑ったままだった。それでとうとう、エミコを夜の音楽室に呼び出して、使っていないグランドピアノから拝借したピアノ線を使ってエミコをバラバラにして殺してしまった。生徒は殺したエミコをピアノの中に詰めて逃げ出したが、しばらくすると消息不明になった。
 その次の日から、夜になると音楽室から笑うようなピアノの音色が聞こえてくるようになったらしい。そしてそれを聞きつけて音楽室にやってきた人間を食べるのだとか。フフフ、グフフ、ハッハッハ。たくさんの音色は、それまで食べた人間の笑い声も奏でるらしい。中には、エミコを殺した生徒の声もあるのだとか。だから一体どれがエミコの笑い声だったのか、もう誰にも分からないとのことだった。

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即興小説リメイク作品(お題:ぐふふ、ピアノ 制限時間:15分)
リメイク前初出 2020/05/19
この作品は(pixiv/小説家になろう/アルファポリス/カクヨム)にも掲載しています。

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