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臨床診断学 精神症状
診断の基本
患者の表出(表情、態度など)から患者の訴え(体験と苦悩)を聞き精神症状を捉える
その後、その症状の発端を分析し診断に至る
異常の種類
①意識の異常
意識障害:意識混濁、意識狭縮、意識変容
意識混濁:明識困難、傾眠、嗜眠、昏睡 の順に重症化
複雑な意識変容:もうろう状態・・・てんかんなどでみられる意識狭縮+意識混濁
せん妄・・・肝性脳症などでみられる意識混濁+幻覚、錯覚など
②自我の異常
自我とは、心の各要素(知覚、思考、感情など)を統合している主体
外界からのストレスから自分を守るバリアとしても働くので自我がもろくなると精神的不調をきたす
自生思考:自分のものではない考えが次々浮かぶ
させられ体験:他人の意思に操られていると感じる
思考伝播:自分の思考が周囲の人間に知れ渡っている
離人感:自分自身が行動していながら実感が伴わない、自分の体が自分のものではないように感じる
③記憶の異常
追想障害(健忘):一定の事実や一定の期間内のことを思い出せない
ある時点より前のことが思い出せない逆行性健忘
後のことが思い出せない前向性健忘
特殊な健忘:一過性全健忘・・・脳の一過性血流障害による意識障害(行動は一見ふつう)
全生活史健忘・・・自分の姓名、生年月日、家族構成など自分の生活史が追想できない いわゆる(ドラマなどでみられる)記憶喪失 ストレス性が多い
④知能の異常
後天的原因による慢性かつ進行性の低下
知能指数(IQ)は(精神年齢/生活年齢)×100で算出され、69以下が知的障害となる
⑤知覚の異常
幻覚は対象なき知覚であり存在しないものを存在するかのように知覚する
幻視:アルコール離脱症状、統合失調症など
幻聴:統合失調症の一級症状
⑥思考の異常
思考途絶:思考が急に止まる 統合失調症にみられる
保続:同じ観念が繰り返し現れ、思考が妨げられる
例)物の名前を聞かれて一度答えると、その後他の物の名前を聞かれても同じ答えを返してしまう
迂遠:思考目標は見失わないが、一つ一つの観念にこだわって説明するので回りくどく、要領が悪くなる 統合失調症にみられる
⑦思考の異常
思考制止:判断力低下、思考が進まない うつ状態にみられる
観念奔逸:観念が次々に沸き、思考の方向が定まらずにまとまらなくなる 躁状態にみられる
滅裂思考:思考の論理的連関がなくなり、まとまりがなくなる
妄想:訂正不能な誤った思考、判断
一次妄想:内容が意味不明で了解できないもの 妄想気分、妄想着想、妄想知覚など
例)今日は雨なので世界が滅ぶ
二次妄想:内容が心理学的に了解可能なもの
例)自分は盗聴されているので隣人に思考が読まれている
⑧感情の異常
気分の異常:爽快気分、抑うつ気分など動機のない気分の異常
酩酊などによる多幸症も含む
感情鈍麻:喜怒哀楽がにぶくなる 統合失調症にみられる
情動失禁:過剰に喜怒哀楽がでる 認知症にみられる
両価性(アンビバレント):一つの対象に対して相反する感情が同時に生じる 愛憎入り混じったというやつ 統合失調症にみられる
⑨意欲・行動の異常
行為心拍:思い立ったら即行動 躁状態にみられる
精神運動制止:思考・行動のテンポが遅くなる
昏迷:眠っているように意志発動がみられなくなる(意識はある)
緊張病症候群:精神運動興奮・・・一貫性のない了解不能な興奮
緊張病性昏迷
カタレプシー・・・外部から与えられた姿勢を長時間保持
からなる
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