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眼科学 緑内障

緑内障は40歳以上の約20人に1人発症し、日本における視覚障害の原因第一位となっている

定義

緑内障診療ガイドライン第四版より
視神経乳頭、視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患

眼圧とは、眼球の内圧のことで眼球が球状に保たれるのはこれのおかげ

房水産生と排泄のバランスで決まる

分類

①原発緑内障:原因不明のもの 原発開放隅角緑内障と原発閉塞隅角緑内障に分かれる

       原発開放隅角緑内障・・・隅角の繊維柱帯~シュレム管の異常により高眼圧

初期は自覚症状に乏しい また、視力は維持される

原発閉塞隅角緑内障・・・隅角が閉塞して眼圧上昇


②続発緑内障:他の原疾患が存在するもの

③小児緑内障:胎生期の隅角発育異常による眼圧異常

※隅角・・・角膜と虹彩が接するところ より正確には強膜移行部と虹彩根部に囲まれた空間


房水産生

毛様体無色素上皮細胞で産生→後房→瞳孔→前房→隅角と流れ

その後90%が経シュレム管流出路(網状組織→シュレム管)

   10%が経ぶどう膜強膜流出路(虹彩などを通って強膜側へ)

検査

①眼圧検査

ゴールドマン圧平眼圧計:接触式 高精度

アイケア:接触式 携帯性が高いので往診に便利

ノンコンタクト眼圧計:非接触式

②眼底検査:主に視神経乳頭の変化を観察する

血管走行の変化、出血、視神経乳頭陥凹の拡大、神経線維束欠損など

③視野検査

静的量的視野検査:初期の変化や中心視野の検出

動的量的視野検査:中期以後の変化や周辺視野の検出

症状

視野障害:進行性かつ非可逆性

特にBjerrum領域周辺の線維束が障害されやすい

治療

原発開放隅角緑内障:点眼薬による眼圧下降

30%低下させれば進行を予防できる

          点眼薬でコントロール不可なら手術

薬の種類・・・プロスタグランジン関連薬(第一選択)→房水排出促進

       交感神経β遮断薬→房水産生抑制 喘息、心疾患患者には禁忌

       炭酸脱水酵素阻害薬→房水産生抑制

手術・・・繊維柱帯切除術→強膜を少し切って房水流出路を確保

マイトマイシンCの使用により眼圧調整率が改善するが視力低下などの問題もある

     繊維柱帯切開術→シュレム管と前房が直接つながる

降圧効果は低いが合併症は少ない 小児ではこちらが第一選択

原発閉塞隅角緑内障

相対的瞳孔ブロックと台形虹彩により閉塞する

また、急性と慢性がある

相対的瞳孔ブロック:水晶体と虹彩が近すぎて房水がながれず、虹彩が膨らんだ状態 さらに進行すると隅角が閉塞

台形虹彩:虹彩の根部が急激に屈折し繊維柱帯と接するもの

閉塞隅角緑内障:急激な片眼性の眼圧上昇 激しい頭痛や吐き気、視力低下をなどを伴う

 治療:ピロカルピンの頻回点眼

    炭酸脱水酵素阻害薬

    高浸透圧薬

    その後、手術

 手術の種類

 ①レーザー周辺虹彩切開術:瞳孔ブロック解除

 ②周辺虹彩切除術

 ③白内障手術

慢性閉塞隅角緑内障:徐々に閉塞し眼圧が上がっていく 進行するまで自覚症状に乏しい

治療:基本的に白内障手術

その他の緑内障

①続発緑内障:ステロイド、落屑によるものが多い

他にPosner-Schlossman症候群に続発する場合など

 ステロイド緑内障・・・基本的に原因薬剤の投与中止で治る

 落屑緑内障・・・グリコサミノグリカンなどの落屑物質が蓄積して生じる

進行すると水晶体亜脱臼

②血管新生緑内障:網膜が酸欠になると虹彩に新生血管が生じる

これが隅角で起きると房水流出が阻害される

難治性である

糖尿病に続発しやすい

③小児緑内障:隅角の発育異常で、全身にも異常生じる

10才まで→早発型

それ以降→遅発型 

に分かれる

 早発型小児緑内障:多くは両眼性で、痙攣などを伴いやすい

手術治療が第一選択





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