救急医学　循環器系

急性冠症候群

冠動脈の粥状硬化を基盤とする疾患群

①不安定狭心症
心筋虚血から急性心筋梗塞に進展する

治療：発作には硝酸薬
　　　非発作時は血管拡張薬、スタチン、ACE阻害薬→経皮的冠動脈インターベンション（PCI）

②急性心筋梗塞
冠動脈内腔に血栓形成→心筋虚血遷延で壊死
胸痛、上腹部痛、呼吸困難、吐き気など生じる

治療：PCI

③虚血性突然心停止
心筋虚血後に致死的不整脈により心肺停止する

治療：一次、二次救命処置

心不全

心機能低下により十分な心拍出量が確保できない状態

症状
うっ血・・・異常呼吸音、呼吸困難、
心拍量低下・・・低血圧、意識障害、不穏、乏尿など
Ⅲ音、Ⅳ音亢進

治療
酸素投与
体位管理
前負荷調節：利尿剤で静脈圧下げる
後負荷調節：降圧剤
呼吸管理

致死的不整脈

心肺停止となる不整脈、および失神やショックを呈する不整脈

①心室静止
心室の電気活動が止まり、平坦波形

②無脈性電気活動
心電図は正常だが脈を触れない状態
心タンポナーデ、緊張性気胸、肺塞栓などによる

③心室細動
多数のリエントリによる心筋細胞の無秩序な興奮

④心室頻拍

⑤無脈性心室頻拍
脈を触れない心室頻拍

⑥Torsades de pointes
心室頻拍の中で、多源性でQRS波が一拍ごとに変化するもの

⑦WPWに伴う心房細動
房室副伝導路により頻拍発作

⑧完全房室ブロック
房室間の伝導が完全に遮断される

⑨洞機能不全症候群
洞徐脈、洞房ブロック、洞停止、徐脈頻脈症候群

症状
心拍出の低下を招き、失神、ショック、心肺停止

治療
心停止・心室細動→アドレナリン静注
心室頻拍、Tdp、WPW→電気的除細動

急性大動脈解離

大動脈の中膜が解離して血液や血栓が充満

症状
急激な背部痛、胸痛
失神、ショック
脳梗塞、心筋梗塞、急性腎不全など

診断
胸部X線で縦隔拡大
確定診断は体部CTスキャン

治療
血圧管理：硝酸薬、カルシウム拮抗薬、β遮断薬
手術適応：A型は緊急手術
　　　　　B型は降圧療法主体で、ショックなどあれば手術

大動脈瘤

大動脈壁の瘤状拡張
前後径が50%以上の限局的拡張

症状
胸部大動脈瘤：胸痛、嗄声など　無症状も多い
腹部大動脈瘤：無症状多い　圧迫により尿管閉塞、下肢動脈閉塞、腹痛など

治療
臓器穿通や破裂があれば緊急手術
未破裂なら経過観察

高血圧性緊急症

高血圧緊急症
血圧の高度上昇により脳、腎、心、大血管などに急性障害生じる

治療
持続静注

高血圧切迫症
相対的な血圧上昇するが臓器障害は見られない

acute hypertensive episode
収縮期血圧180mmHg以上または拡張期血圧110mmHg以上
臓器障害の進行はみられない

transient hypertension
不安、中毒、アルコール離脱症状などによる一時的高血圧