耳鼻咽喉科学 耳の疾患
外耳疾患・鼓膜疾患
①急性外耳道炎
黄色ブドウ球菌が主
水泳後などに生じやすい
軟骨部には限局性、骨部にはびまん性の化膿性炎症を生じる
症状:強い接触痛
治療:軟膏塗布 重症なら切開排膿
②慢性外耳道炎
黄色ブドウ球菌や真菌による、かゆみを伴う湿疹
③先天性耳瘻孔
耳介に孔が開く
開口部付近は発赤、腫脹、圧痛
治療:瘻孔の外科全摘
④外傷性鼓膜損傷
直達性損傷:耳かきによる
介達性損傷:平手打ちの風圧による
90%は自然閉鎖するので、抗菌薬などで感染を防ぐ
閉鎖しなかった場合は鼓室形成術を行う
中耳疾患
①急性中耳炎
気道のウイルスや肺炎球菌、インフルエンザ菌によるものが大半
上咽頭→耳管 のルートによる感染がほとんど
急性上気道炎に続発しやすい
症状:感冒症状→耳痛→耳漏(耳から膿がでてくる)
加えて伝音性難聴
小児では頻繁に再発することがある(中耳反復性)
治療:軽症なら経過観察
薬物療法・・・アモキシシリンなど
鼓膜切開により排膿
②急性乳様突起炎
炎症が乳突洞や乳突蜂巣に及んで膿瘍を形成する
症状:高熱、耳痛
耳介がそそり立つ(聳立)
Bezold膿瘍
治療:抗菌薬
改善しなければ切開排膿
頭蓋まで進展している場合は乳様突起削開術
③錐体尖炎
乳突蜂巣の最深部まで炎症が波及
症状:限局性髄膜炎、脳神経障害
治療:②と同様
④滲出性中耳炎
中耳に滲出液が貯留 3~6才好発
耳管の狭窄・開放により鼻咽頭から病原体が侵入し生じる
副鼻腔炎、アデノイド増殖症、上咽頭腫瘍に合併しやすい
症状:耳閉塞感、伝音難聴、鼓膜の内陥
治療:耳管通気法・・・耳管経由で空気を送り内圧を調整する
鼓膜切開、鼓膜換気チューブ・・・鼓膜を通しての換気
薬物療法・・・抗アレルギー薬、マクロライド系(基礎疾患に対して)
⑤慢性中耳炎
症状:慢性化により断続的耳漏、伝音難聴
治療:鼓室形成術
⑥真珠腫性中耳炎
扁平上皮細胞が鼓室に入り込むことで周囲に腫瘍を形成
サイトカインの反応により骨破壊生じる
症状:上鼓室を中心とする炎症・・・耳漏
強い骨破壊・・・耳小骨が破壊されて伝音難聴
進行すると混合性難聴、めまい、瘻孔症状
さらに進行すると脊髄炎
治療:鼓室形成術
⑦耳硬化症
あぶみ骨が固着する 日本ではまれ
症状:伝音難聴(鼓膜は正常)
治療:あぶみ骨手術・・・人工骨を植え込む
⑧耳小骨連鎖離断
事故などの外傷により伝音難聴
内耳疾患
①メニエール病
過剰なリンパ液により水腫形成
症状:激しい繰り返すめまい発作
悪心、嘔吐
難聴、耳鳴り、耳閉感
診断:聴力検査
グリセロールテスト
参考)人工内耳
1才以上、体重8kg以上
平均聴力レベル90dB以上
の場合に適応とする
特に乳幼児での難聴は言語習得への影響がおおきいので早期に対応が必要
②良性発作性頭位めまい症
特定の頭位の時に激しいめまいと眼振(方向交代性回旋性眼振)を生じる 蝸牛症状はない
耳石が半規管に入り込むパターンと、クプラに付着するパターンがある
③前庭神経炎
前庭神経がウイルス感染により脱髄
症状:数日持続する回転性めまい(反復はしない)→歩行時ふらつき
聴覚症状はない
④聴神経障害
内耳道での神経障害
聴覚症状が強い
その他
脳血管障害:歩行困難や嘔吐が強い
薬物性のめまい:薬により随伴症状異なる
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