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法医学 交通外傷

外表所見と内部損傷が必ずしも一致せず、急速な体調悪化する場合に注意

歩行者の損傷

①衝突損傷

歩行中に車両に衝突されて発生

一次損傷

バンパー創:バンパーにより生じる
膝から下腿部に多い(小児だと位置が高くなる)

Messerer骨折・・・衝突による大腿骨、脛骨骨折
         力の作用は底辺から頂点方向→衝突方向が推定できる

グリル、ボンネット前縁の衝突:大腿部や臀部への多彩な損傷

二次損傷

人体がボンネットに乗り上げて打撲する損傷
時速70km以上だと天井まで跳ね上げられる

間接的衝突創

衝突部位とは別部位に生じる損傷

脊柱の過伸展による損傷など

三次損傷

車両との衝突後に道路に落下、地面などに打撲して生じる

皮下出血、挫創、骨折など

②轢過損傷

路上に横たわっている場合に轢かれて生じる
衝突後に続けて轢かれたり、飲酒後に寝ていて轢かれたりする

タイヤマーク

タイヤに轢過された場合、タイヤのトレッドパターンが靭帯表面に印象される

伸展創

皮膚が過度に牽引されて生じる浅い裂創
鼠経部に多い

デコルマン(剥皮創)

皮膚が強く牽引されて皮下組織と筋膜との間にずれが生じ、生じた空隙に血液などが貯留

腹部、背面、大腿部などに生じる

引きずり損傷

車両に着衣や体の一部がひっかかり引きずられてできる損傷
長距離引きずられるとひふや筋肉がそがれて骨の摩耗まで達することがある

運転者の損傷

①フロントガラス損傷

頭蓋骨折や頭蓋内出血などの重篤な損傷を起こすことがある

②ハンドル損傷

ハンドルと胸腹部衝突による損傷
外表部にハンドル形状が皮下出血などとして認められることがある
また、大動脈損傷から破裂を起こすこともある

③ダッシュボード(インストルメントパネル)損傷

膝関節周囲の下肢の打撲、大腿骨骨折など

④エアバッグ損傷

シートベルトをしていなかった場合、エアバッグとの衝突で顔面、頚部、胸部など損傷する

⑤シートベルト損傷

シートベルトに胸腹部を圧迫され皮下出血、臓器損傷などを引き起こす

合併症

①肺動脈血栓塞栓症

長期入院時に下肢深部静脈血栓が肺に飛ぶ

②肺炎、腹膜炎


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