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オンライン合唱動画を作って通じて見えたこと

私は中学生の時に、学校の有志で構成される合唱団のメンバーとして活動していました。合唱の伝統が根付く学校で、過去の様々な大会で素晴らしい成績を残している中学校です。(横浜国立大学教育人間科学部(現教育学部)附属鎌倉中学校)

卒業後も仲間たちと何度か会う機会には恵まれましたが、時間が経つにつれて皆で歌う機会を作るのは非常に難しくなっていきました。

なかなか予定が合わない…

住んでいる場所が違う…

そんな中、ふとしたきっかけで再び合唱団が集まる機会が生まれたのです。

今回はその様子とそこから見えてきたことについてお話ししていこうと思います。

制作した動画はこちら↓


1.きっかけはnコンの中止

日常が大きく変容した2020年。

これまで当たり前にできていたことが、突然できなくなってしまいました。

人々が集まることが難しくなり、その結果として学生たちの青春の舞台である、スポーツ、文化系の大会の場が次々に中止となり失われていきました。

その大会の一つである、NHK全国学校音楽コンクール、通称nコン。この大会は合唱に青春をかける学生たちにとって、大きな目標となる舞台の一つです。そんなnコンの中止が2020年5月に決定されたのです。

この報道を聞いたときは、

やはりnコンも中止になってしまったか…

と純粋に残念に感じましたが、気がかりになったこと一つ。

かつての自分たちのように、nコンを目標に頑張っていた学生たちはどのような心境なのだろうかと。

突然大きな目標が消えてしまい、非常に悔しい思いをしているのではないか。辛い気持ちなのに、友達とそのモヤモヤを共有することもできていないのではないか。などと様々なことが頭の中を駆け巡りました。

そんな彼らに何かnコンに向けて青春を捧げた者として、エールを送ることはできないか。もしかしたらただの自己満足に終わってしまうかもしれないけど、何かしたい!と思ってしまった(これはふぞくっこの悪い癖)結果、以下の企画を思いつきました。

nコン中止を受けて、かつての参加者がオンラインで再結集してみた

自分たちが出場した時の課題曲を歌って、その動画を後輩たちに届けよう!そんなことを思いついたのでした。

自分たちが出場したのは、第79回nコンの中学生の部。

その時の課題曲は、YUIの『fight(ファイト)』。

生きていくことの難しさ、美しさを歌った非常に素敵な曲です。

この曲の歌詞は、非常に深く、大人になった今、様々なことを読み取ることができます。

頑張れ頑張れ
そうさ人生は引き返せない

いつか振り返る時
今日の若かりし日が
きっと懐かしくなるから
(fight 一部抜粋)


激変する世界に辟易として、自分の生き方に悩みを抱えて、何か大きな失敗をして立ち止まったりして…
でも人生は引き返すことができない旅。
時間がすぎて振り返ってみたら、きっと懐かしく感じることができるはず。
だから今はとにかく前に進み続けてみようよ。

大人になった今、こんなメッセージを感じ取ることができました。

日常が変わってしまった今にピッタリということで、この曲の楽譜を再び開くことにしたのです。

早速当時の仲間たちに企画の趣旨を説明したところ、多くの賛同を得ることができました。いよいよ企画が軌道に乗り始めたのです。この時はただみんなで再び歌えればいいやと軽い気持ちでしたが、後々思わぬことに出会います。


2.制作〜編集〜完成

動画を公開してから、編集方法について聞かれたので、今後同様の取り組みをなされる方に向けて、少し解説をさせて頂こうと思います。


まずは当時の伴奏を担当していた仲間に伴奏音源の依頼。

その弾いてもらった音源を聴きながら、仲間たちには歌っている様子を収録してもらい、編集担当である私に映像を送ってもらいます。

自分の元には続々と、収録された映像が届きます。

さすが、全国2位のチーム。↓受賞歴↓

(第79回NHK全国学校音楽コンクール中学校の部 関東甲信越ブロック銅賞)
(第65回全日本合唱コンクール中学混成の部 金賞 鹿児島市長賞 カワイ奨励賞 全国2位)

ブランクがあるとはいえ、みんなの歌唱力の高さに驚かされます。

今でも合唱に取り組んでいる仲間はいますが、ほとんどの仲間が合唱から離れてしまっています。そんな状態であるにも関わらずみんな上手いのです。

この様子だともしかしたら想像よりもいいものができるかもしれない。

そんなことを映像を整理しながら思っていました。


編集ソフトでそれぞれの音を重ねていきます。

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↑実際の編集ソフトの様子。タイムラインがすごいことになってます。

それぞれの音声データを聴きやすいように加工(環境音等の排除)をして、縦のラインを揃えていきます。ある程度揃えたら全体で聴いてみて、ズレがあったらその都度修正を加えていく…というような作業を繰り返し、この工程が終わったら各パート、人の音量のバランスを整えていきます。

合唱で大切なことは、いや大切なことというよりは理想形かもしれませんが、各パートの音が一本の声に聞こえることです。今回の動画ではこの点に力を注ぎました。

それぞれのパートで核となる声を決め、その声に合わせて周りの声を微調整していく…またこの作業の繰り返しです。

今回の反省としては、伴奏音源だけではなく、指揮をしている映像も合わせて共有を行えば、編集の手間がもう少し省けたのかなという点が挙げられます。一人で歌わなければならないので、同じ伴奏音源を聞いたとしてもどうしても微妙なズレが発生してしまう。今回の編集では、このズレの修正に一番時間を取られました。1フレームだけズレていたとしても、聴いている側としては非常に耳に障ります。

もしオンライン合唱に挑戦してみようという方が、このnoteを読んでいるならば是非この点にはご留意頂ければと思います。

かなり地道な編集となってしまい、結果として企画の開始から動画の完成まで約2ヶ月弱かかってしまいましたが、オンライン合唱として、かつ素人が挑戦したものにしては非常にレベルの高い合唱が出来上がったと思います。ぜひ聴いてみてください。

出演者に許可を取り、SNS等を通じて外部に公開することが決まりました。

その結果として、制作者の私は非常に温かい気持ちになるのです。

3.予想していなかった反響

去る7月17日に今回の動画をyoutube, Facebook, Twitter, instagram等のプラトフォームで公開、さらには中学校合唱団関係者、教員、合唱団以外の同期、後輩など様々な人たちに共有を行いました。

すると早速メッセージが届き始めます。以下いくつか紹介しますね。

オンラインで演奏したfight聞きました。
オンライン練習で下がっていた合唱のモチベ一気に上がったし、なんか元気でました。ありがとうございます。
見たよー🥳
なんか、嬉しくなっちゃたよ。
面白いことに、当時からおじさんだった僕にとっても、今「fight」を聴くのは新たな感慨を呼び起こしました。
きれいにハモってて、音だけでなく、心もハモってる感じが伝わってきて良かったです
動画拝見して、勇気もらえました。ありがとうございます。
めちゃくちゃ感動した!
合唱楽しそう。(あと技術と仲の良さがすごい。)めっちゃ良い。
コロナ禍なのに、いやコロナ禍だからこそ、煽り文句も熱い。

などなど、本当にありがたいメッセージをたくさんいただきました。

歌唱力、編集の技術を褒めていただくのも非常に嬉しいのですが、「勇気」をもらえた、「笑顔」になれた、仲の良さが伝わってきたというようなメッセージがかなり多くあったのです。

当初は後輩たちにエールを届けようと思って始めた企画。

しかしながらいざ動画を公開してみると、後輩たちだけでなく、色々な人にエールを届ける結果になったのです。

これは予想外でした。本当にビックリしました。

でもすごい嬉しい。

自分たちが作った動画が、僅かとはいえ誰かの生きる糧となる。

こんな素晴らしいことがあるでしょうか。

動画を見た人たちからのメッセージを読んで、自分たちが作った動画の持つ力の大きさを知らされることになったのです。

自分たちが当たり前であると思っていた関係性、言葉にはできない何かを当たり前のように感じていましたが、決してそんなことはない。当たり前じゃないものを持つことができていることを、本当に感謝しないといけない。そしてこれはこれから先ずっと自分にとって重要なものになるから、大切にし続けないといけない。絶対に蔑ろにしてはいけない。

企画して、制作して、公開することを通じて、今まで見えていなかったことに気づくことができたので、やり切ってよかったなと心の底から思うことができました。

4.偶然にも「志」を見つけた私

今回の

「nコン中止を受けて、かつての参加者がオンラインで再結集してみた」

企画で図らずも多くの人に「元気」と「笑顔」を届け

それまで見えていなかったことに気づくことになった

よねだなつき。

予想していない結果に驚きを多少は感じながらも、どこか喜びや嬉しさを噛み締めている自分もいる。

いろんな人に「元気」と「笑顔」を届けること。

もしかしたらこれが自分のやりたいこと、作りたい社会なのではないかと。そんなことを感じたのです。

2019年の後半になってから、自分のことが分からなくなることが往々にしてありました。その結果として、気持ちが保守的になり、非常に気持ちが内向的になり、それまで持っていた関係から逃げたり、何もかも一人で解決しようとしたりと、色々悪循環に陥っていたなあ。

自分は何をしていきたいのだろう。どんな人間なのだろう。何ができるのだろうか、何を今しているのか。なーんて無限ループにいるような気がします。心の浮き沈みがこれまでになく激しかった。
(まあおそらく、小中高とのほほーんと生きてきたから、それまで積んで来なかった「苦労」が今になってたくさん降りかかってきて、その対処をどうしたらいいのか分からなくなっていたのだと思いますが…)

いろんな活動はしていたけど、どこか気持ちが散漫になっていた気がする。

でも今回の企画によって、かつての仲間たちと再び繋がれたことで、自分の気づいていなかったことに気づいたことで、自分のやりたいこと、作りたいもの、貢献したいことが少し見えたような気がします。

自分はいつまでも仲間を大切にして、一緒にいろんなことに全力で取り組んでいたいのだと。

一人で笑っている世界ではなく、みんなで笑っている世界を作りたいんだと。いつまでも「笑顔」で「元気」でいられるような世界を作っていきたいんだと。

そのアプローチがどのようなものになるのかは分かりません。

経済学なのか、メディアなのか、アカデミックなのか、地域なのか、、

いろんなキーワードが思い浮かびますが、まだまだ決めきれていません。

でもきっとこの想いの実現のためなら、すっごい頑張れそうって直感で思います。

まだまだ世界を語れるほど、経験は多くありませんが、少しでもこの想いが形になるように、次のステージへと道を走り続けます。

というか次に向けて、現在準備中です。

決まり次第きちんと報告させて頂きます。


走りながら「人間」として、もっともっと成長します。


きっと大丈夫。

今回の企画も思いついて形にすることができたのだから。

でも忘れないようにしないと。

絶対に仲間は蔑ろにしてはいけない。その時蔑ろにした繋がりが後々辛いものに変わってしまうかもしれない。だからその瞬間は辛くてもきちんと向き合わないといけない。無理して全員と仲良くする必要は全然ないと思うけど、本気で向き合った関係性、きっとそれは財産になる。

何かをするとき一人ではできないことばかり。誰かに頼っても良いんだよってことを。最後に自分で決めることができればそれでOK!だから色々頼っていってもいいんだよってことを。


思いつきで始めた企画のおかげで、色々なことを見つけられた2020年の夏でした。やっと自分の前の霧が晴れた感じ。よかった。

最後に『fight(ファイト)』の歌詞を再び引用します。

頑張れ頑張れ
限りある日々に…
花を咲かせる
花を咲かせる

(fight 一部抜粋)

人生は有限。

その中で少しでも意味のある花を咲かせようと思います。


ここ最近で色々ご迷惑をおかけしたり、助けてくれた皆さん、たくさんありがとうございます。より一層成長していきますので、これからも変わらずよろしくお願い致します。

今回の動画を見てくださった皆さんに少しでも「笑顔」と「元気」が届くことを心から祈っております。

何回もリンク貼ってしつこいですが、是非ご覧ください!


よねだなつき




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