【香港雑記】広東語の「数字」をイヤでも覚えられる歌
香港の歌手、林子祥(ジョージ・ラム)の「數字人生」という歌、
耳にたこができるくらい、ひたすら数字を並べている。
広東語の「数字」をイヤでも覚えられる歌、
と、無責任な呼び込みをしてしまったが、
せっかくなので、騙されたと思って、ちょっとお聴きいただきたい。
まるで、数字を学ぶ児童唱歌みたいな歌だが、
実は、この歌、林子祥の代表曲の一つにも数えられる有名な歌である。
林子祥は、押しも押されぬ、香港の大御所歌手、
歌詞を作った潘源良も、著名な作詞家だ。
数字以外は、わずか数行の歌詞だが、
どこか哲学的で、洒落たセリフになっている。
数字に振り回されて生きている現代人。
学校の成績、仕事の収入、株の配当、賭博の儲け・・・
一生、齷齪と数字を追い求め、
その挙げ句、数字に纏わり付かれ、数字に支配されている。
なんと皮肉な話ではないか・・・
と、本末転倒の人生の悲哀を歌っている。
この曲は、およそ40年前、1986年のアルバムに収録された。
資本主義の先鋒、金融の中心として、香港が元気満々だった時代、
香港の人々は、目が回るほどテンポの速い社会の中で、
成績アップのため、生活向上のため、立身出世のため、
数字を追い求めて、休むことなく走り続けていた。
この歌は、淡々とした、軽妙なタッチで、
そうした、数字に取り憑かれた香港人の姿を風刺している。
「デジタル社会」という言い方がされるようになって久しい。
デジタル(digital)は「数字で表示する」という意味だ。
デジタル社会の幕開けは、80年代後半、個人用コンピュータの普及と、
インターネットの商業的利用が始まった時期を指す。
この歌が書かれたのは、1986年、ちょうどその頃だ。
上に掲げた歌詞の最後に「計數機」が出てくるが、これは、電子計算機、
つまり電卓のことだ。この頃は、まだ、パソコンが庶民のものではなく、「電脳」という言葉も、一般的ではなかった。
作詞家は、そんな時代に、いち早く、現代社会の馬鹿らしさを悟っていた、
ということなのだろうか。
【歌詞】
作詞:潘源良
作曲:Sandy Linzer / Denny Randell
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5 34202 13942
4314 0624
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5 34202 13942
4314 0624
填滿一生 全是數字
誰會真正知是何用意
煩惱一生 全為數字
圓滿的掌握問誰可以
明明刨正23 為何彈出41
誰人能夠預知 4點34價位暴升 變咗1004
憑號碼來認識 你的IQ 你的身家 你的體魄 你的一切
人與數字有許多怪事
看看計數機裡 幽禁幾多人質
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0646 0646 0878 0878
0515 0515 0242 0242
0696 0696 0272 0272
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0434 0434 0232 0232
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0515 0515 0242 0242
0696 0696 0272 0272
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0646 0646 0878 0878
0515 0515 0242 0242
0696 0696 0272 0272
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3 0624770
5 34202 13943 13424
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