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【広東語】スタイリッシュな香港映画『恋する惑星』のラストシーン♡♡


『恋する惑星』(原題『重慶森林』)は、1994年の香港映画。

先日、同じく香港映画の『ルージュ』(原題『胭脂扣』)についての記事を投稿した。

『ルージュ』は「隠れた名作」として紹介したが、『恋する惑星』の方は、香港でも日本でも、公開当初から大ヒットした話題作だ。


映画は、前半と後半に分かれ、2つの別々の物語のオムニバスだ。

前半の物語の舞台は、香港九龍地区の繁華街、尖沙咀(チムサーチョイ)にある雑居ビル「重慶大厦 Chungking Mansion」。

後半は、香港島蘭桂坊(ランカイフォン)にあるファストフード店「ミッドナイト・エクスプレス Midnight Expess」。

2組の男女の出会いと恋の行方をスタイリッシュに描いた異色の映画だ。

まずは、予告編を見てみよう。


キャストは、

林青霞(ブリジット・リン)
梁朝偉(トニー・レオン)
王菲(フェイ・ウォン)
金城武(かねしろたけし)

台湾、香港、中国、日本、と出身がバラバラの豪華メンバーが揃った。

林青霞
梁朝偉
王菲
金城武

前半は、失恋した刑事とドラッグディーラーの女の一夜限りの出会いと別れの物語。

エイプリルフールに5年付き合った恋人にふられた刑事モウ(金城武)は、自身の誕生日まで彼女が好きだったパイナップルの缶詰を買い続ける日々を送っていた。ある日、元カノを忘れるためにバーで酒を飲み、そこで最初に出会った女に恋をしようと決めた。そこへ金髪にサングラスの女(林青霞)が現れる。その女はドラッグ・ディーラーだった。インド人を運び屋に雇って密輸を謀るが、騙されて麻薬を詰めた荷物を持ち去られてしまっていた。バーで出会った二人はホテルに泊まるが、疲れ果てていた女はずっとベッドに横たわったままだった。翌日はモウの誕生日だった。ポケベルにすでに姿を消した女からのバースデイメッセージが届く。その頃、女は裏切った男を撃ち殺し、金髪のカツラを投げ捨てて去って行った。


後半は、恋人と別れたばかりの警官とファストフード店で働く女性の物語。

CAの恋人と別れたばかりの警官633(梁朝偉)は、ファストフード店ミッドナイト・エクスプレスで働いているフェイ(王菲)と出会う。633の元カノが彼宛ての手紙を店長に託すが、その手紙を開けてしまったフェイは、中に部屋の鍵があるのを見つける。恋心を抱いたフェイは633の部屋にこっそり忍び込んでは掃除や模様替えをする。やがてフェイの気持ちに気付き、好意を持ち始めた633はフェイをデートに誘う。ところが、待ち合わせの場所に彼女は姿を見せず、代わりに店長がフェイからの手紙を持って現れる。手紙の中には、紙ナプキンに手書きされた1年後の日付の搭乗券が入っていた。そして1年後、警官をやめて店を買い取った633が新装開店の準備をしていると、そこに現れたのはCAの姿をしたフェイだった。


さて、この映画のラストシーンを見てみよう。

633 に恋をしたフェイが、1年後、CA(キャビンアテンダント)になって彼と再会するシーンだ。


↑↑↑ この動画の1分40秒からのセリフを切り取ってみよう。

633 が開店準備をしていると、CA 姿のフェイが現れる。

633: 你 咪 去咗 加州 嘅?
             好 冇 玩 呀?

    カリフォルニアに行ったんじゃないのか?
    面白かった?

フェイ: 加州?    
     咪 又 係 噉,  冇 乜 特別 呃。
   
カリフォルニア?
   まあ、あんなもんね、どうってことないわ。

633: 你 着 制服 幾 好睇 吖。
   制服着てるとなかなか綺麗だね。

フェイ:   你 噉樣 着 都 唔錯 吖。
    あんたのその格好も悪くないわよ。

633: 食 唔 食 嘢 呀?
    何か食べる?

フェイ: 唔 食 喇。 我 聽朝 重 要 飛。
    いらない。 明日の朝また飛ばなきゃならないから。

633: 幾時 返 呀?    
      呢度 過 多 兩日 開張 嘅咯喎。
   いつ帰るの?
   ここはあと2日で開店だけど。

フェイ:   唔知 呢。 我 今次 可能 飛 好 耐 㗎。
     わかんないわ。 今度は長いフライトになるかもね。

633: 去到 嗰便 有 時間 寫 封 信 返嚟 吖。
    あっちに着いて、時間あったら手紙くれよ。

フェイ: 寫 你 都 唔 睇 㗎啦。
      書いたって読まないでしょ。

633: 欸,  有 啲嘢 問 你。
   そうだ、君に聞きたいことあるんだ。

633は、1年前、フェイが紙ナプキンに書いた搭乗券を持ってくる。

633:  如果 有 人 俾 張 噉 嘅 boarding pass 你, 
              你 會 唔 會 俾 佢 上機 呀?

      もし君にこんな搭乗券を渡す人がいたら、君なら乗せてやる?

    日子 係 今日 嘅。  不過 揼濕咗 吖。
    日付は今日なんだ。  でも濡れちゃってる。

              又 唔 知 去 邊。  你 知 唔 知 呀?
            どこ往きかもわからない。  君、わかる?

フェイ:    唔 知 呢。  不如 我 換過 張 俾 你 吖。
         わかんない。  なんなら取り換えてあげるわ。

633:  好 呃。
      いいね。

フェイ:    噉  你 想 去 邊 呀?
      じゃ、どこ行きたい?

633: 冇所謂  吖、
      你 想 去 邊 咪 去 邊。  
    どこでもいいよ、
    君が行きたい所なら。

フェイが紙ナプキンに搭乗券を書き始めると、王菲が歌う主題歌「夢中人」が流れ、エンドロールになる。


『恋する惑星』は、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の名を一躍世界に
知らしめた。

映画は、2組の男女の、どこにでもありそうな話。
ストーリーはごく単純だ。

魅力的なのは、4人の名優の絶妙な演技、至極自然で洒落たセリフ、そして目まぐるしい独特なカメラワークだ。

とても凝った作りで、心憎いばかりの細かい演出が随所に見られる。

美貌で名高い林青霞は、サングラスのまま一度も顔を見せない。

梁朝偉の扮する警官は、香港警察の認識番号 633 で呼ばれるだけで、一度も
名前が出てこない。

そんなところもまたスタイリッシュで好きだ。

『恋する惑星』は、映画全篇に90年代香港の体臭がむんむんと漂う。

映画には、いわゆる人気観光地のロケが一切ない。

グルメやショッピングでは見えてこないリアルな生の香港、まだ活気に溢れていた頃のカオスな香港が舞台になっている。

香港好きにはたまらない映画だ。

香港が変容してしまった今、香港が香港であった時代が恋しい。


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オリジナルの広東語版(中国語+英語字幕付)は、
こちらでも視聴可。
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