杜甫「飲中八仙歌」~唐代酔っ払い列伝 13 泉聲悠韻 2024年3月10日 22:26 杜甫に「飲中八仙歌」という詩があります。 世に名高い8人の呑兵衛の飲みっぷりを歌ったものです。賀知章がちしょう~飲むと井戸に落ちる御老体知章騎馬似乘船 知章ちしょうが馬うまに騎のるは 船ふねに乗のるに似にたり眼花落井水底眠 眼め花くらみ 井いに落おち 水底すいていに眠ねむる李璡りしん~麹にヨダレを垂らす呑気な皇族汝陽三斗始朝天 汝陽じょようは三斗さんと 始はじめて天てんに朝ちょうす道逢麹車口流涎 道みちに麹車きくしゃに逢あえば 口くちに涎よだれを流ながす恨不移封向酒泉 恨うらむらくは 封ほうを移うつして酒泉しゅせんに向むかわざるを李適子りてきし~百川を吸う鯨のような大酒豪左相日興費万錢 左相さしょう 日興にっきょうに万錢ばんせんを費ついやす飲如長鯨吸百川 飲のむこと 長鯨ちょうげいの百川ひゃくせんを吸すうが如ごとし銜杯樂聖稱避賢 杯はいを銜ふくみ 聖せいを楽たのしみ 賢けんを避さくと称しょうす崔宗之さいそうし~気取って杯を挙げるイケメン宗之瀟灑美少年 宗之そうしは 瀟灑しょうしゃたる美少年びしょうねん舉觴白眼望青天 觴さかずきを挙あげ 白眼はくがんにて 青天せいてんを望のぞむ皎如玉樹臨風前 皎きょうとして 玉樹ぎょくじゅの風前ふうぜんに臨のぞむが如ごとし蘇晋そしん~酔っ払って座禅を組む仏弟子蘇晉長齋繍佛前 蘇晋そしんは長斎ちょうさいす 繍佛しゅうぶつの前まえ醉中往往愛逃禪 酔中すいちゅう 往往おうおうにして 逃禅とうぜんを愛あいす李白りはく~泥酔して天子を袖にする酒中の仙李白一斗詩百篇 李白りはくは一斗いっと 詩し百篇ひゃっぺん長安市上酒家眠 長安ちょうあん 市上しじょう 酒家しゅかに眠ねむる天子呼来不上船 天子てんし呼よび来きたれど 船ふねに上のぼらず自称臣是酒中仙 自みずから称しょうす 臣しんは是これ酒中しゅちゅうの仙せんなりと張旭ちょうきょく~髪を乱して筆を揮う酔狂の書家張旭三杯草聖傳 張旭ちょうきょくは三杯さんばい 草聖そうせいと伝つたう脱帽露頂王公前 帽ぼうを脱だっし頂ちょうを露あらわす 王公おうこうの前まえ揮毫落紙如雲煙 毫ふでを揮ふるい 紙かみに落おとせば 雲煙うんえんの如ごとし焦遂しょうすい~五斗の酒で雄弁家に変身する普通の人焦遂五斗方卓然 焦遂しょうすいは五斗ごと 方まさに卓然たくぜん高談雄辨驚四筵 高談こうだん雄弁ゆうべん 四筵しえんを驚おどろかす ダウンロード copy この記事が参加している募集 #古典がすき 4,697件 #酒 #古典がすき #中国古典 #漢詩 #李白 #杜甫 13 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート