見出し画像

風雅な格言集『幽夢影』を愉しむ~「花を愛する心を以て美人を愛すれば・・・」

花を愛する心を以て美人を愛すれば
則ち領略すること自ずから別趣おお
美人を愛する心を以て花を愛すれば 
則ち護惜すること倍々ますます深情有り

(清・張潮『幽夢影』より)

――花を愛するような気持ちで美人を愛すれば、
その人をよりよく理解し、新たな情趣も湧いてくる。
美人を愛するような気持ちで花を愛すれば、
その花をますます愛惜し、深い感情が湧いてくる。

「花」と「美人」

『幽夢影』には、「花」を語った文章、「美人」を語った文章がたくさんあります。
その中から、「花」と「美人」が両方揃って出てくる文章をいくつか拾ってみました。

 賞花宜對佳人  花をでるには、美人と向かい合って賞でるのがよい
 醉月宜對韻人  月夜に酒を飲むには、風流な人と差しで飲むのがよい
 映雪宜對高人  
雪景色を眺めるには、高雅な人と共に眺めるのがよい

 月下談禪、旨趣益遠  月下に禅語を聴くと、意趣が益々深遠になる
 月下說劍、肝膽益真  
月下に剣術を語れば、凜然として益々真に迫る
 月下論詩、風致益幽  
月下に詩を論ずれば、風韻が益々幽玄になる
 月下對美人、情意益篤 
月下に美人と向き合えば、情思が益々篤くなる


 美人之勝於花者、解語也 美人が花に勝るのは、言葉を解することだ
 花之勝於美人者、生香也 
花が美人に勝るのは、芳しい香を放つことだ
 二者不可得兼      
両方を併せて得ることができないならば
 舍生香而取解語者也   
香を放つ者を捨てて言葉を解する者を取る


 買得一本好花   美しい花を一本手に入れただけでも
 猶且愛憐而護惜之 
人はそれを愛惜し大切に守ろうとする
 矧其為解語花乎  
ましてや言葉を解する花ならなおさらだ

以愛花之心愛美人
則領略自饒別趣
以愛美人之心愛花
則護惜倍有深情


この記事が参加している募集

#古典がすき

4,218件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?