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豊子愷の1コマ漫画 「大地のこどもたち」

豊子愷

豊子愷(ほうしがい 1898~1975)は、中国近代の画家・随筆家・翻訳家・教育家です。
中国の大地に生きる庶民の日常を素朴なタッチで描いた1コマ漫画で知られています。
漫画は、毛筆の絵画に短い語句が添えられています。稚拙にさえ見える素描には独特の趣があり、何の変哲もない言葉には含蓄があり、どこか懐かしい温かな人間味を感じさせます。

切符売場

買票  (切符を買う)


積み木

建築的起源   (建築の起源)


煙草

爸爸耳朵裏一枝鉛筆   (パパの耳に鉛筆)


いたずら

爸爸不在的時候   (パパがいない間に)


だぶだぶ

穿了爸爸的衣服    (パパの服着たよ)


お習字

姊弟  (姉と弟)


凧と飛行機

一樣大   (同じ大きさ)


おんぶにだっこ

晚歸  (遅い帰宅)


お月さま取って

要!  (ほしい!)


モデル

被寫生的時候   (写生されてるとき)


あれ?

?! 


大晦日

今夜两歲,明朝三歲   (今夜は2歳、明朝は3歳)


飢寒

貧民窟之冬 (貧民窟の冬)


赤ちゃんポスト

最後的吻  (最後のキス)


小弟弟的出殯  (幼い弟の出棺)


ここに描かれているのは、1920年代から30年代、激動の時代を生きた庶民の平々凡々な日常です。

豊子愷は、純真なこどもたちの世界を温かい眼差しで見つめながら、当時の人々の哀歓を活写しています。

*『子愷漫画選』(香港・中外出版社、1975年刊)より




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