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その肌 『ステロイド皮膚症』かもしれませんよ
*今回の記事には炎症の激しい皮膚病の写真が掲載されています
*ステロイド軟膏の使用を否定するものではありません
*ステロイド軟膏は適切に使用すれば皮膚病にとても有効な薬です
①その症状はなにが原因か?
以下3枚の写真をご覧ください
いずれもステロイド軟膏を数ヶ月から数年使用
ご来店時もステロイド軟膏を使用中のお客様です
![](https://assets.st-note.com/img/1668487686580-hcZQKdGKfV.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1668488067374-uSVtxBo7BP.jpg)
![](https://assets.st-note.com/img/1668487845459-Tio5biPAFI.jpg)
3枚の写真とも肌の炎症を改善するためステロイド軟膏を長期連用されています
3人の皆さんの写真を見て皮膚炎が良くなっているように見えるでしょうか?
上記写真のお客様3名ともに
*アトピー性皮膚炎と診断
*ステロイドを使い始めた時より症状がひどい
*ステロイド軟膏の使用範囲が広がっている
と同じことをおっしゃいます
私は薬剤師ですので診断はできません
上記3つの皮膚病がアトピー性皮膚炎だとして
大変問題なのはステロイドを長期に連用すると
☆アトピー性皮膚炎が悪化しているのか
それともステロイド軟膏連用により
☆『ステロイド皮膚症』となり症状の悪化を招いているのか
わからなくなってしまうことなのです
(上の写真のような場合はほぼステロイド皮膚症なのですが…)
そう言われても
『ステロイド皮膚症』って一体なに?ってことですよね
② 『ステロイド皮膚症』とは
簡単に言うと
*「ステロイド軟膏を中止した時に皮膚炎が急激に悪化する肌の状態」
* 長期連用により・ステロイドざ瘡・皮膚萎縮・毛細血管拡張を 生じた状態(ステロイド使用中から肌の症状悪化を招く)
このステロイド皮膚症
やっかいなポイントが3つあるんです
【やっかいポイント1】
ステロイド軟膏をやめてみないと症状が悪化するかどうかわからない
(ステロイド軟膏を連用していた全員が悪化するわけではない)
これは私の感覚(申し訳ありません統計をとったわけではありません)ですが
ステロイド軟膏の連用後
10人中8人は症状の悪化を招きます←ステロイド皮膚症
ですが残りの2人は特に症状変化もなくすんなりステロイドをやめられます
つまり残りの2人は←ステロイド皮膚症ではないと言うことになります
【やっかいポイント2】
どのぐらいの期間使用すればステロイド皮膚症になるかわからない
「私は3週間しかステロイド軟膏使ってないからリバウンド(症状悪化)は起きないですよね」とおっしゃるお客様がいました。
ステロイド軟膏使用中止して1週間後に急激な症状の悪化にみまわれました。
そうなんです
年単位で長く連用したからステロイド皮膚症になる
短い期間だからステロイド皮膚症にならない
とは限らないんです
連用し中止後なる人はなるしならない人はならないとしか言えません
(もちろん長期連用者の方がステロイド皮膚症になる確率は高いです)
【やっかいポイント3】
ステロイド使用部位以外も中止により悪化することがある
ステロイド皮膚症は
基本はステロイドを使用していた部位が使用中止により悪化します
ですがアトピー性皮膚炎の基礎疾患がある場合
ステロイド皮膚症で症状が悪化した場所以外の炎症も悪化する場合があります
③ ステロイド皮膚症になるかどうかどうやって予測するか
これは非常に難しいです
結論から言うと「わかりません」としか言えないのですが
しいて言えば
上記写真のお客様がおっしゃっていた3つのポイント+αがあるかどうか
*アトピー性皮膚炎と診断
*ステロイドを使い始めた時より症状がひどい
*ステロイド軟膏の使用範囲が広がっている
+α 首より上にステロイドを連用
ステロイド皮膚症は
□アトピー性皮膚炎の基礎疾患がある方に出やすい傾向があるようです
他の皮膚病へのステロイド連用でも出るのですが
アトピー性皮膚炎に対するステロイド軟膏連用が引き金になりやすいです
□首から上へのステロイド軟膏連用は中止後に高確率で症状が悪化します
この場合はアトピー性皮膚炎の基礎疾患がなくても
ステロイド皮膚症が起こりやすくなり非常に注意が必要です
④実際のステロイド皮膚症の事例
事例1 顔への連用
![](https://assets.st-note.com/img/1668499480631-DOm37ZWLPN.jpg?width=800)
左の写真が初来店時です ステロイド軟膏を半年以上使用
ポイントは
・顔にステロイドを連用してしまっている
・左の写真のようにステロイドを使用しても症状が改善していない
・アトピー性皮膚炎との診断がある
この状況ではステロイド皮膚症になる条件は揃っているため注意が必要です
右の写真を見てください
鼻から上 目の周り おでこ
左の写真より炎症の度合いも範囲も広いことがわかると思います
この女の子は目の周りとおでこにステロイドを連用していたことがわかります
以下に改善後の写真も掲載しております
事例2 作用の強いステロイド軟膏の長期使用
![](https://assets.st-note.com/img/1668501283704-qzw66phFCC.jpg?width=800)
このお客様はアトピー性皮膚炎ではありません
老人性の皮膚掻痒症に5年以上マイザー軟膏(非常に強い)を使用
痒みが治まらずご友人に勧められた皮膚科に行くもマイザー軟膏のジェネリック
(名前は違うがマイザー軟膏と同じ成分の薬)を出され
引き続き数年ご使用されてしまった方です
ポイントは
・とにかく長期間 作用の強いステロイド軟膏を使用
・背中全体にクリームのように使用
・使用範囲は腰回りだったのが背中全体にどんどん広がる
この場合もステロイド皮膚症になっている可能性は大いにあります
右はステロイド使用中止14日後の写真です
炎症が背中全体に広がっていることがわかります
ただここで注意
・強いステロイドを非常に長期間使用
・高齢の方のステロイド連用
の場合
肌質が完全に元に戻ることが難しい場合が多々あると言うことです
このお客様も炎症や痒みは落ち着き喜んでいただけましたが
肌の黒ずみは多少残ってしまった状態です
![](https://assets.st-note.com/img/1668502111703-p1N59WRNZj.jpg?width=800)
事例3 ニキビへの誤ったステロイドの使用
![](https://assets.st-note.com/img/1668574181504-yZIZfOQ1tt.jpg?width=800)
写真のお客様は顔にデルモゾールGを3ヶ月以上使用しました
そもそもニキビにステロイド軟膏を使用するのは要注意です
デルモゾールGはニキビにも使用するゲンタシンと言う抗生物質も入ってはいます
ですがステロイド軟膏成分はニキビに連用すべきではありません
ポイントは
・ 顔にステロイドを連用してしまっている
・ ニキビにステロイド軟膏を使用
左の写真は使用中ですが
左の写真の状態からステロイド皮膚症(ステロイドざ瘡)が疑われます
(ステロイドざ瘡は白い脂の塊様の症状が出ます)
右の写真はステロイド使用中止10日後です
ステロイド皮膚症になっているため中止により症状の悪化を招きました
下に改善後の写真も掲載しております
④結論
以上のように一旦ステロイド皮膚症になってしまうと
ステロイド軟膏を減らす過程で症状の悪化を伴い非常に辛い状況になります
またステロイド休薬後の症状悪化改善までかかる時間は
ステロイドを長く使用しているから長くかかる
ステロイド使用期間が短いから早く良くなる
な〜んて簡単にはいかないんです
使用期間が短くても改善まで時間がかかる場合もあれば
使用期間が長くても短期で良くなる場合もあるんです
(基本的には長期使用の場合は改善まで長くかかる場合が多いです)
で・す・か・ら
ステロイド軟膏を使用する場合はステロイド皮膚症に陥らないようにすること
その為にはなにが必要か!
*ステロイドを使い始めた時より症状がひどい
*ステロイド軟膏の使用範囲が広がっている
+α 首より上にステロイドを連用
↑
この状況にさせない事が非常に重要です
【ステロイド軟膏を使用する場合の注意点】
・皮膚症状が改善したら休薬日を増やし保湿を強化する(普段から保湿は強化)
・治っていないのに長期連用しない(他の治療方法を探す)
・「そのうち治るだろう」の連用は避ける
・顔には基本2週間以上使わない
・ニキビへの使用は慎重に(基本ニキビには使わない)
・体の場所にあったランクのステロイド軟膏を使う
参考になりましたでしょうか?
ステロイド皮膚症で悩む方を一人でも多く減らしたい!
なんども言いますがステロイド軟膏は上手に使えばいい薬なんですよ
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