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皮膚病のジュクジュク(滲出液)は毒素なの? 酷い場合は放置しておいて大丈夫?
結論から言います
皮膚(身体)から出るジュクジュク(滲出液)は
『毒素や身体に溜まったステロイドではありません』
『放置することはお勧めしません』
皮膚病やアトピーの相談をお受けすること非常に多いのですが
特に
・アトピーだと中等症以上(症状が酷い)
・ステロイド軟膏の長期使用後→使用を中止(リバウンド)
のお客様に『ジュクジュク(滲出液)』でお悩みの方が多いです
そんなお客様と話していて驚くのが
「ネットにジュクジュクは体の中の毒素だと書いてあった」
「これは長期使用したステロイド軟膏の悪い成分が出てきているんですよね」
「体の中からステロイドの成分がなくなるまでジュクジュクが続くのでしょうか」
「毒素を出し切るまでは余計なことはするなと指導を受けました」
とおっしゃるお客様が非常に多いことです
先ほども申しましたがその『ジュクジュク(滲出液)』は
『毒素や身体に溜まったステロイドではありません』
じゃあなに?
わかりやすく説明しますね
①中等症以上(症状が酷い)のアトピーや
ステロイド軟膏の長期使用後に急に使用を中止(リバウンド)
↓
②強い炎症症状(赤みの強い肌)が続く
↓
③炎症により毛細血管が拡張
(みかんのネットをイメージして下さい。みかんのネットを広げると穴が大きくなります。血管も拡張(広がる)すると穴が大きくなります)*あくまでもイメージ
↓
④血管の穴が広がり色々なものが通過しやすくなる
↓
⑤本来なら血管から漏れ出ない血液成分や組織液、タンパク質
(・アルブミン・グロブリン・フィブリノーゲン)が漏れ出ます
↓
⑥中等症以上のアトピーやステロイドの長期連用は肌が薄くなり
搔き壊しなど少しの刺激で肌に傷がつく
↓
⑦その傷から⑥が漏れ出す
↑
⑧この漏れ出したタンパク質を含む血液成分や組織液が
『ジュクジュク(滲出液)の正体です』
私はお客様のご希望はできるだけ尊重しながら相談に応じるスタンスです
『ジュクジュク(滲出液)』が非常に酷い場合、
私からのアドバイスとして
「一度ステロイド軟膏でジュクジュク(滲出液)を抑えませんか?」
「一度病院に行きジュクジュク(滲出液)をコントロールしながら漢方薬やスキンケアをしまんか?」とご提案します。
ですが頑なに
「滲出液を出し切れば良くなります」
「ステロイドはまた毒素を増やすだけ」
とおっしゃるお客様が稀にいらっしゃいます。
もちろん私はお客様の希望を尊重は致しますが…
以下のことだけは必ずご説明いたします
「滲出液が異常に酷い」状況を放置する事は非常に危険なんです
何が危険か?それはズバリ
『感染症』です!
*掻きこわして傷があり*炎症がひどく*『ジュクジュク(滲出液)』が出る場所は簡単に言うと皮膚表面の皮をむかれたような状態(極端に言うとです)で細菌やウイルスが容易に侵入してきます。
もう一つ、先ほど記載したように『ジュクジュク(滲出液)』した場所は
タンパク質を含む血液成分や組織液です。このタンパク質が細菌の餌になり菌の繁殖を促してしまうことがあるんです。
以下は2000年に発表された論文です
「感染性心内膜炎を併発し死亡したアトピー性皮膚炎の1例」
なんと27歳の男性です。普通に考えれば体力もあり、感染症にも強いイメージがありますよね。ですがこの方の場合、頑なにアトピー治療を拒んだことで体内に細菌が侵入し
細菌など体に有害な感染源が血液の中に入り込んで異常に増殖
↓
播種性血管内凝固症候群(血管の中で血栓(血の塊)ができやすくなる)発症
↓
脳出血
この方の場合
既往歴に感染症の原因になる
・心疾患・抜歯・手術・外傷
などがなかったため
アトピー性皮膚炎の適切な治療を行わなかったことによる感染症が死亡の原因とされました。
長年、ただただステロイド軟膏を使用する治療で症状が改善せず、それどころか症状が徐々に悪化し、辛い時間を過ごし
『もうこれ以上ステロイド軟膏は使いたくない』
その気持ちとてもよくわかります。私もできることならステロイド軟膏を使わせたくはありません。ただ以下の場合は放置せずに早めに医療機関(病院)を受診ください。
酷い感染症は医療機関(病院)での対応しかありません。
アトピー性皮膚炎は命に関わることはないと思われるかもしれません。
ですがあまりにも酷い症状を放置することは
悲しい結果に繋がることが稀の稀にあるんです。
中医学(漢方医学)にも西洋医学にもスキンケアにもいいところと悪いところがあります。それぞれのいいとこどりが一番です。
アトピー性皮膚炎は
完治を目指すのではなく
「日常生活を不自由なく過ごすことができる」を目標にしてください。
また「毒素が出る」「毒素が溜まる」「ステロイドが体に溜まる」と言うワードが出るような皮膚病やアトピー改善法にはご注意ください。
論文:「感染性心内膜炎を併発し死亡したアトピー性皮膚炎の1例」 皮膚・第42巻・第2号・2000年4月 参照
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