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クロワッサンはどのように誕生したのか

フランス生まれのクロワッサンはフランス人にこよなく愛されています。
クロワッサンとカフェオレの組み合わせはフランスの朝食の定番です。

サクサクとした食感は、クロワッサンの大きな魅力です。
バターをパン生地に塗り込んで焼くことで生まれます。

パン生地を伸ばしてバターを均一に挟み込んで折りたたみます。
その作業を繰り返すことで多重の薄い層ができるのです。

標準的な折りたたみ方をすると3×3×3の27層になるそうです。

クロワッサンはフランス語で「三日月」という意味ですが、
広義では「上弦の月」のことを指します。

「成長する」という意味の動詞「クロワートル」の派生語です。
満月に成長しつつある状態を示しています。

では、どうしてクロワッサンと名づけられたのでしょうか。

クロワッサンの語源については、いくつかの説があります。
オスマン帝国の国旗に由来するという説が有力です。

1683年、オスマン帝国軍がオーストリアを攻撃しました。
首都ウィーンは大軍によって包囲されてしまいました。

しかしヨーロッパ各地から続々と援軍がウィーンに駆けつけます。
激戦の末、ついにオーストリアが戦いに勝利しました。

その勝利を祝って作られたのが、小さな三日月形のパンです。
オスマン帝国の国旗に描かれた三日月を型取っています。

「敵を食う」という意味だったのかもしれません。

それ以来、三日月形のパンが広まったと伝えられていますが、
現在のクロワッサンとは異なるものとも言われています。

そもそもオスマン帝国の国旗に描かれた三日月の向きは、
上弦の月ではなく、下弦の月のように見えます。

フランス語で言うならば、「クロワッサン」ではなく、
「デルニエール・カルティエ」と呼ぶべきです。

もちろん、それは私の個人的な意見に過ぎません。
一般にクロワッサンはオスマン帝国の月を指します。

宗教的に重要なシンボルと考えられ、現在のトルコを始めとして
多くのイスラム教の国旗に受け継がれています。

ところで、クロワッサンの誕生にはもう一つ別の説があります。
マリー・アントワネットがフランスに製法を伝えたという説です。

マリー・アントワネットはオーストリアの出身です。
ルイ16世と結婚してフランス王妃となりました。

そのとき多くの宮廷料理人を本国から連れてきたと言われています。
いずれもヨーロッパ最高級の料理人ばかりです。

パンを担当したのは、当時最も人気の高かったデンマークの職人でした。
そのためデニッシュペストリーの生地がフランスに伝えられました。

それがクロワッサンの原型であるとも言われています。

デンマークは酪農の国ですから、バターなどの乳製品が豊富です。
バターをたっぷり使ったデニッシュペストリーは昔からの伝統です。

ところで、「デニッシュ」とは「デンマーク風の」という意味です。
デンマークではもちろんデニッシュペストリーとは呼びません。

香川県でうどんのことを「讃岐うどん」と呼ばないのと同じです。
言わなくても讃岐うどんに決まっているからです。

では、デンマークではデニッシュペストリーを何と呼ぶのでしょうか。

じつは「ヴィナーボズ」という名称で呼ばれているそうですが、
面白いことに、これは「ウィーン風のパン」という意味です。

どうやらデンマークでは、デニッシュペストリーの生地は、
オーストリアが発祥と考えられているようです。

そうなるとクロワッサンの誕生がますます謎に包まれてしまいます。


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