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【青森県佐井村】本州の先っちょ「仏ヶ浦」は、多分異世界
仏ヶ浦という場所がある。
青森県の景勝地だ。
仏ヶ浦は下北半島(青森県の北東部の大きな半島)にある奇岩が並ぶ海食崖である。
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十和田湖や小川原湖の形が雑なのは許してほしい
奇岩と称される岩々の独特の形状は、脆く真っ白い凝灰岩が海に侵食されたことで生じており……
と、長々書いたところで自分の文章力ではまず伝わらない。
とにかく下の写真を見てほしい。
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あまりにも圧巻だった。
青森生まれ青森育ちというのに、青森に、というか「日本にこんな場所あったのか」と思った。
行った時期は4月の終わりで青森では一部の山野草が花を咲かせたばかりの時期ということもあり、生命の気配の少なさが静謐さを伴った独特の雰囲気を醸し出していた。
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海と空だけが鮮やかな青なのが異様に見える
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「凄いところに来ちゃったな」と思った。
遠くから眺めるのとは比べ物にならない迫力だ。
自分の知っている世界とは、全然違う世界の中にいる。まさに異世界だ。それもソ連の古いSF映画みたいなタイプの異世界。
学生時代にセルビアのウジツェでスポメニックを見たとき以来の衝撃だった。
絶対ファンタジー作品のロケ地とかになってるだろうと思っていたが、どうやら精霊の守人の最終回のロケ地がここだったらしい。流石NHK。
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中々に迫力満点
しかしこれだけのスポットというのに、同じ青森の観光地でも奥入瀬渓流や弘前城、十和田湖や蕪島といった面々と比べて県外での知名度が薄い気がする。
いやまあ、その理由はわかる。
アクセスがお世辞にもいいとはいえない
というかぶっちゃけ悪いのだ。
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まさに本州の先っちょである。
自家用車の場合はむつ市から車で1時間ほど。
ただでさえかなり山の中を走ることになるのだが、仏ヶ浦周辺の山々はこの辺りは仏ヶ浦同様に脆い凝灰岩でできているものが多い。
するとどうなるか。
山中の道路を走っていると、赤ちゃんの拳くらいのサイズの石が山肌から普通に転がってくる。
慣れると「山の中で車故障したら大変だし、うっかり踏んでパンクとかしないようにしないとな〜」程度なのだが、知らないでくるとかなりビビる。
実際デカめの落石で道路が通行止めということもちょくちょくあるらしいので気をつけよう。
うっかり傷をつけると怖いので、正直レンタカーでは行きたくない。
更に、駐車場は崖の上にあるので、結構急な山道(整備はされている)を片道30分ほどかけて歩くことになる。
公共交通機関を使う場合、最寄りの鉄道駅があるのはむつ市だ。
ここからバスで佐井村へ向かい、そこから日中に1時間に1本ほど出ている船で、天気のいい観光シーズン(大体4月末から10月いっぱい)は海から仏ヶ浦に向かうことができる。
(一応仏ヶ浦も佐井村に属しているが、集落は大間町と仏ヶ浦の中間あたりにある)
また、北海道の函館から大間まではフェリーが出ており1時間半ほどで行ける。
青森県外から仏ヶ浦に向かう場合、函館空港を利用して函館に向かい、そこからフェリーに乗って大間でバスに乗った方が楽だと思う。
……とまあ、簡単に書いたがむつ市から佐井村行きのバスは平日・土曜6本、日曜祝日5本。片道2時間強で最大料金2570円弱。
函館から大間までのフェリーは時期にもよるが片道で1日2本、料金は時期によるが片道2000〜3000円程度かかる。
(記事執筆時2023年8月現在)
更に観光船の料金も……と考えると、秘境とまではいかないまでもそれなりに勇気のいる時間と費用がかかってくる。
因みにググると脇野沢からも遊覧船が出るという話もちらほら出てくるが、こちらは30人以上の団体ツアーのみの受付らしい。
以下は自分が行った際、むつ市経由で自家用車で陸路から攻めた際の話である。
季節は4月の末。木々はまだ芽吹いていないが、天気は快晴で歩くのにもちょうど良かった。
一般的な観光シーズンではないだろうが、途中で5組ほどの他の観光客や地元の人らしき人たちとすれ違った。
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最初はこんな山道をひたすら進む
途中に休憩小屋や自販機もあったが小屋は廃墟と化しており、時期のせいかもしれないが自販機は稼働していなかった。
東屋やベンチはあるので座って休憩する場所は十分にあるが、飲み物については事前にコンビニなどでペットボトルを買っておいた方が無難だろう。もちろん空の容器は持ち帰ろう。
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仏ヶ浦に降りるときはかなりの距離を上り下りする。
写真はスロープだがこの下は急な階段が続く。
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そして……
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色といい大きさといい恐竜の卵っぽい。
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これが逆に趣がある。
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賽銭を入れようとしたが賽銭箱は閉まっていた
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帰る時はこれを登らないといけない。
いくら景色が綺麗と言っても、片道30分も山道や急な階段を上り下りするなら船で行った方がいいのではないかと賢明な読者の皆さんは思うだろう。
実際、体力に自信のない人や子供や高齢者連れにはまずおすすめできない。体力に自信のある人でも、スニーカーを履いていくなど歩きやすい格好で行くべき場所である。
いくら景色が綺麗だからと、サプライズで恋人をこんなところを連れ回したなら破局待ったなしだ。
しかし流石は仏ヶ浦。道中の上から眺めた景色も凄い。
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涼しい山の中にあるため、春先は様々な山野草も咲いている。
山道を散策するつもりで、道中の草木を眺めながら歩くのもなかなか楽しい。
まあ海からの景色も見たいし、次は絶対船で行くけれど。
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山道を歩いているときに見る花は一際可憐だ
また、下北半島はヒト以外のサルの生息の北限だ。
野生の生き物なので車で行けば絶対に会えるとは言い切れないが、むつ市から大間にかけて過去に通った際は毎回ニホンザルの群れに遭遇しているので、相当の数が生息しているのだろう。
恐らく、釧路湿原に行って野生のタンチョウを見れるくらいの確率で見れるはずだ。多分。
近年は数が増えたこともあり、農作物の被害や田畑どころか民家を直接荒らすことなどが問題になっている。
1人で山道を無防備に歩いていて、群れに遭遇したら確実に死を覚悟するだろう。
しかし、車の中からふとすれ違うと彼らがまた可愛いのだ。
動物園でニホンザルは何度も見てきたが、その際あまりニホンザルを可愛いと思ったことはなかった。
しかしふわふわの毛で覆われた人間の子供に似た動物の群れが、こちらには殆ど目もくれず橋の欄干で日向ぼっこしていたり毛繕いしあったりしている姿は近距離で見るとびっくりするほど愛らしい。
(※勿論可愛いからといって餌付けしたり、車から降りて写真撮影しようとしたりしては絶対にいけない)
流石に冬場は船も出ておらず、恐らく遊歩道の除雪はされていないだろうからアクセスは難しい、というかほぼ不可能だ。行くとするならば青森でも雪が溶けてくる4月の末から、初雪前の10月末辺りまでだろう。
独特の雰囲気を味わう目的なら4月の末〜ゴールデンウィークあたりのタイミングをお勧めしたい。
もちろん毎年6月ごろに行われる佐井村のウニ祭りに合わせていくのも、9月10月ごろの大間のマグロ漁が盛んな時期に合わせて行くのもいいだろう。
8月のねぶたのシーズンに思いっきり足を伸ばしまくって向かうというのもアリだ。
下北半島などの近場に住んでいなければ気軽に何度も行けるスポットではないが、本州の先端に広がるこの光景はぜひ一度は生で見てほしい。
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海底にはウニが沢山いるし沖では漁をしている。
ここも下北の豊かな自然の一部なのだ。
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