哲学的キャリア論のススメ12~進めば進むほど不安になるものなーんだ?~
「働く、生きるを、HAPPYに」をビジョンに掲げる株式会社ミライフで、キャリアデザイナー兼事業企画として働いている菅野(かんの)による「哲学的キャリア論」、第12回です!
「なぜキャリアデザイナーはChatGPTを使うのが上手いのか?」について考えてみた第11回はこちらをご覧ください!
※内容はどこから読んでも大丈夫ですのでご安心ください。
なお、このnoteでは「哲学的」という言葉をとても広い意味で使っています。
もう少しちゃんとした哲学の話が知りたいよ!という方は、Voicyで配信しているこちらの番組をお聞きいただけると嬉しいです。
それでは、さっそく始めていきましょう!
「進めば進むほど不安になるもの」って?
突然なぞなぞ風に始めてみましたが、「最初はテンション高いけど、いざ始めてみたら不安になって早く終わってほしいもの」ってありますよね?
もちろん、大好きな人は違うかもしれませんが、例えばジェットコースターとかお化け屋敷とか、乗ったり入ったりする前はワクワクしていても、いざ始まると「早く終われ~!」と思う方、いらっしゃるんじゃないでしょうか。
そして、転職活動も、そんなものの1つじゃないかな、と思っています。
新しい環境や仕事に対する期待や楽しみから、最初は高揚感でワクワクしているのに、だんだんと不安になってくる。
そして進めば進むほど「本当にこれでいいんだっけ?」「なんでこんなことしてるんだろう・・・?」という不安が増してくる。
ですが、この「進めば進むほど不安になる」現象、実はとても自然で健全なプロセスだと気づきました。
とはいえ、なぜそんなことが起きるのか、そしてどう向き合えばいいのか。
今回はこの「進めば進むほど不安になる」現象を、一緒に紐解いていきましょう。
応募時点の期待と不安のバランス
転職活動を始める場合、多くの人は以下のような気持ちを抱えていると感じます。
ただ、基本的には「新しい職場や環境に対する期待感や興奮」が高まりやすく、「次の会社ではこんな仕事がしたい」「新しい同僚たちとこんなことをしてみたい」といった希望や夢が膨らんでいくタイミングですので、前向きな気持ちを原動力にアクションを行っていくことができます。
逆に言えば、応募する段階では、まだその会社や転職活動の全貌が見えていないため良い部分に目が向きやすく、期待が上回る状態だからこそ、転職活動をスタートできる、という流れもあると思います。
※あまりにも不安が上回ったり、期待が持てない場合は「やっぱり現職に居た方がいいんじゃないか」という決断になりますよね。
情報が増えるにつれて見えてくる現実
しかし、活動が進むにつれて、状況は変わっていきます。
面接や説明会、オフィス見学などで会社との接点が増えるにつれて、次第にその企業の現実が見えてきます。
もちろん「思った以上に事業が健全に伸びていた」「話してみたらすごく雰囲気がよかった」などの良い部分も見えてきますが、自分には合わない部分や期待していたものと違う部分も当然見えてきます。
例えば、企業文化や働き方、同僚の雰囲気など、表面的には分からない内部の情報が増えていくことで、最初に抱いていた期待感とのギャップが生じると、不安を感じるようになります。
実際に、ミライフでは面接の後に基本的には「企業に感じた魅力と懸念」の両方を教えていただくようにしています。
というのも、よほどのことがない限り「どちらかだけが100で、一方が0ということは無い」からです。
※転職活動を複数回していたり、ある程度期待値を下げていた方だと「懸念は今のところありません」と仰る場合もあります。
最近、奥さんがバチェロレッテ3を見ていて、その進捗を随時教えてくれていたのですが笑、こうした変化は「最初は相手の良いところが見えたり、行動や発言の真意が分からないからこそ、惹かれる部分がある。でも、理解が深まるにつれて、「え、こんな一面があったの?」なんてネガティブに思うこともある」といった、恋愛というか、まさに人間関係の深まり方に近いものが、転職活動にもあるのかな、なんて感じます。
内定をもらってからの意思決定の不安
さて、転職活動がさらに進み、面接を繰り返す中で「この会社は受かるかな?」や「どこが自分に合うかな?」といった比較をしているうちは、実はまだ余裕があります。
この段階では、まだ具体的な決断を迫られているわけではないので、「思ったよりちゃんと評価されるじゃないか!」など、ポジティブな評価を楽しむこともできるかもしれません。
ですが、いざ内定をもらって意思決定のフェーズに入ると、これまでとは違う不安が押し寄せてきます。
「本当に今の会社をやめるのか?」
「本当にこの会社を選んでいいのか?」
「何か見落としていることはないか?」
こんな疑問や懸念が色々と湧き上がってくるのです。
これは当然のことで、意思決定フェーズに入ると、本当の意味で「転職」という「いまの自分の選択」が「将来の自分」にどのような影響を与えるのか、に目が向くようになります。
そして、これまで積み重ねてきたキャリアではなく、異なる環境に飛び込む決断は、誰にとっても大なり小なり不安を伴うものです。
「完璧」はありえない。なぜなら、変化するものだから
ここで重要なのは、100点満点の完璧な会社は存在しない、ということを理解することです。
これは「どの会社も良いところもあれば悪いところもある」ということではありません。
そうではなく、会社と個人は常に相互作用しており、会社が変われば個人も変わり、個人が変われば会社も変わる。
この動的な関係において、常に変わらない100点満点の状態を維持すること自体が、そもそもあり得ない想定なのです。
では、なぜ人はわざわざ転職するのでしょうか?
それは、「現在と未来の自分にとって、相対的により良い環境」に移るためだと思います。
10年前であれ1年前であれ、そのタイミングで入った会社が今の自分にとって最適であるかは分かりませんし、10年後に同じ会社にいることが最適かも分かりません。
状況や環境は常に変化しますし、特に結婚や出産などのライフイベントや、上場や事業の統廃合など、会社の大きな変化が起きた際に、「今の自分にとって今の環境が本当にベストなのか?」と考えることは、とても重要なことです。
私たちは常に変化し続けていますし、会社だって変わっていきます。
そして、その変化に合わせて、自分の居場所を見直し、調整していくことが、現代における「転職」の意義ではないでしょうか。
不確実な未来と、キャリアデザイナーの役割
未来のことを考えるといつでも楽しい!と思う人が居ることは事実です。
ただ、多くの人は不安になることもまた、事実だと思います。
未来は不確実で、予測不可能だからです。
特に、新しい会社に入社する際には、100%理解して入れるわけではありません。
お試し入社のような制度が一般的になれば状況は変わるかもしれませんが、それでも完全に把握することは難しいでしょう。
なぜなら、会社というのは単なる「仕事をする場所」を超えて、一つの「生態系」のようなものだからです。
そうした、常に変化し続ける生態系を正しく捉えて、自分自身が抱えている変化と重ね合わせることは、なかなか簡単にできるものではありません。
だからこそ単純化して「今のスキルを一番高く売れる求人はこれだ」と、自分も会社も静的なものとして捉えてしまえば、転職活動も単純明快、不安の少ないものになるかもしれません。
ですが、本当に自分の生きている環境をまるごと捉えようとするなら、たくさんの「変化」に向き合う転職活動は、進めば進むほど不安になるものです。
だからこそ、適切な伴走者としての「キャリアデザイナー」という存在が重要になってきます。
求人情報をお伝えしたり、スケジュールの調整を行ったりすること以上に、転職活動における「個人の変化」「企業の変化」に目を配り、その変化を重ね合わせていく。
関係者の不安に寄り添い(個人のことを中心に書きましたが、企業だって不安を抱えていますよ!)、客観的な視点を提供し、意思決定のプロセスをサポートする。
単なるサポート役にとどまらず、「いま」と「未来」の変化をリアルに想像して、より良い変化を起こすためには?をきちんと考えられる存在だからこそ、不安が増していく中でも一歩一歩前に進んでいただくことができ、自分達がいる意味や価値があるのではないか。
そんなことを考えながら、日々キャリアデザイナーとしての仕事をしています。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は「進めば進むほど不安になる」という切り口から、転職活動における「変化」と「それを適切に捉えること」について考えてみました。
不安は、新しいステップを踏み出す際には避けられないものです。
ですが、「不安を感じている」というそのこと自体には、実はポジティブな意味も隠れています。
というのも、不安を感じる方向こそ、自分が本当に向き合うが「何か」がある方向であることが多いんです。
それが「乗り越えるべき壁」なのか、「受け入れるべき過去の自分」なのか、それ自体は人それぞれなのですが、その不安と向き合い、味わい尽くすことで、事前には考えられなかったような、人生を変えるほどの体験が起こることだってあります。
転職活動という枠組みを超えて、「自分の変化に向き合い、いまと未来の自分にとってより良い環境に出会いたい」という方がいましたら、ぜひ気軽にこちらのフォームからご連絡いただけたら嬉しいです。
それでは次回も、どうぞよろしくお願いいたします!
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