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大臺 序乃壱

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此のお話は日本が嫌いな日本人へ…。  日本を愚かと思う日本人へ…。  日本が貧しい国であったと思う日本人へ…。  日本人として誇りを持てぬ日本人へ届ける物語。  此れは我等が…
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大壹神楽闇夜 1章 倭 4灯りの消えた日5

大壹神楽闇夜 1章 倭 4灯りの消えた日5

 油芽果(ゆめか)と薙刀(なぎな)が無事潜入を果たしてからの話は良く分からない。ただ二人が潜入初日から七日間は身体中が腫れて寝込んでいた事、八重国の間者である事がバレてしまったと言う事は間違い無いようだった。
 間者である事がバレても処罰される事なく、逆に蘭泓穎(らんおうえい)は油芽果(ゆめか)を優遇していたらしい。後は今日は何を食べたとか、何が美味しかったとか詰まらぬ連絡が来る程度であった。
 

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大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇9

大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇9

「しかし…。倭人は何をしておるんじゃ。」
 コッソリと第二砦の様子を伺っている日美嘉が言った。三佳貞と日美嘉は倭人の動向を探るべく毎日の様に第二砦に赴いていた。其の中で泓穎を殺す算段をたてる為である。
「分かりよらん。迂駕耶に行きよらんのじゃかのぅ…。」
「今日で十五日じゃ。」
「じゃよ…。既に迂駕耶に立った後じゃぁ思うておったじゃかよ。」
「まったくじゃ…。しかし、こうも警備が厳重じゃと忍び込め

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大臺神楽闇夜 1章 倭 3 高天原の惨劇2

大臺神楽闇夜 1章 倭 3 高天原の惨劇2

「話はよう分かりよった。ー三佳貞、見事であった。」
 三佳貞の話を聞き終わり美佐江が言った。冷静に答えてはいるが美佐江の体は震えていた。大切な家族が二人も同時に命を落としたのだから当然である。共に話を聞いていた春吼矢達も必死に悲しみを押し殺し続けた。
「じゃ、じゃぁ言いよっても…。眞姫那と音義姉は…。」
「ー三佳貞…。其方は二十と二つ。じゃが眞姫那は二十と七つ。役目は残り三年。音義姉は今年で終いじ

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